The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PC(01-64)

ポスター発表 PC(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 3:30 PM - 5:30 PM 展示場 (1階展示場)

[PC27] 弦名譜の読譜学習に洋楽器経験が与える影響

演奏上達と反復回数の関係

後藤靖宏 (北星学園大学)

Keywords:弦名譜, 読譜学習, 楽器経験

 箏の楽譜として用いられている弦名譜は,縦書きで,かつ漢字で記すというように,一般的な五線譜とは異なる特徴を持っている。しかし,読譜という行為をメタ的に捉え直した場合,譜面に記されている情報を認識し,その指示通りに楽器を演奏するという一連の行動それ自体は,五線譜であれ弦名譜であれ両者の間に本質的な違いはない。
 本研究では,洋楽器経験の違いが弦名譜の読譜能力にどのように影響するかということを,箏の演奏の上達速度を用いて検討する。具体的には,洋楽器経験者と未経験者に対し,箏で同じ曲を繰り返し演奏させる課題を課した。そしてその演奏のミス回数や演奏にかかった時間等を従属変数とすることにより,演奏の上達度を検討した。
方   法
 被験者 箏の演奏経験がない,洋楽器経験者15名と,洋楽器未経験者15名 (男性1名,女性14名,平均年齢20.7歳)であった。洋楽器経験者は定期的に楽器を演奏している者,洋楽器未経験者は学校における音楽教育以外に楽器を弾いたことがない者とした。
 実験計画 2要因の混合計画を用いた。第1要因は洋楽器経験要因であり,経験あり vs.経験なしの2水準であった。第2要因は試行回数要因であり,1回~6回の6水準であった。
 装置 箏を一面使用した。また,実験中に演奏している被験者の手元を録画するために,HDDビデオカメラを使用した。
 材料 2~3分程度の単純な未知曲5曲であった。
 手続き 実験は1名ずつ,防音設備の整った部屋で行った。練習試行の後,1分休憩を挟みながら6回連続で同じ曲を演奏させた。
結   果
 ミス回数を従属変数として分散分析を行った結果,試行回数要因の主効果が認められた (図1)。
 また,被験者の演奏した様子を動画に撮影し,その“出来栄え”を評価させたところ洋楽器経験要因と試行回数要因の主効果が認められた (図2)。
考   察
 実験の結果,全体を通しては,洋楽器経験に関わらず箏の演奏を繰り返すことによる上達が見られた。洋楽器経験と弦名譜の読譜習得は互いに影響を及ぼさなかったものの,試行回数間で差が見られる箇所が観察された。また,未経験者に比べると,洋楽器経験者の方が上達速度が速いことも確認された。
 今後は,試行回数を増やすことで,未経験者が経験者と同じ程度にまで上達するのに必要な練習量を見いだす必要があろう。また,読譜のみならず,楽器を思い通りにコントロールし,なおかつ音楽を表現するという運動技術との関連についても検討する必要があろう。そのためには,事熟達者による実験も有効であると考えられる。本研究は北村友香 (2014年卒業) との共同による。