[PC74] SNSの利用による学校適応感への影響
キーワード:学校適応感, SNS
目 的
スマートフォンの普及に伴いLINEなどの無料通話アプリ等のソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下「SNS」という。)を利用する児童生徒が増加しており,インターネット上でのつながりは日常的な営みとなっている。このような状況の中において,児童生徒の学校における適応感は,どのような実態になっているのであろうか。
そこで,本研究では,SNSの利用状況が児童生徒の学校適応感に及ぼしている影響を当教育センターが開発した「学校楽しぃーと」の調査から分析し,児童生徒の学校適応感を高める指導・支援の在り方について考察した。
方 法
調査対象 鹿児島県内の小学6年生698名,中学2年生655名,高校1年生480名,高校2年生474名の計2307名。
質問紙 質問紙は,「学校楽しぃーと」の質問項目に,SNS利用実態の質問項目を併せて構成したマークシート形式による質問紙で実施した。
調査時期 調査は2015年6~7月に実施。
結果・考察
学年ごとに「SNSを利用するグループ」と「SNSをしないグループ」に分けて,「学校楽しぃーと」の6観点の平均値及び標準偏差値を算出し,平均値の差が有意なものかをt検定を行った(Table1)。分析の結果,小学6年生は,「友達との関係」の観点において,SNSをするグループの平均値がSNSをしないグループの平均値より有意に高いことが示された。中学2年生では,小学6年生と同じく「友達との関係」の観点においてSNSをするグループがSNSをしないグループの平均値より有意に高いことが示されたが,「心身の状態」,「教師との関係」,「学習意欲」の観点については,SNSをするグループがSNSをしないグループの平均値より有意に低いことが示された。高校1年生では,「自己肯定感」,「学級集団における適応感」,「友達との関係」の観点において,SNSをするグループがSNSをしないグループの平均値より有意に高いことが示された。そして,高校2年生では,「学級集団における適応感」,「友達との関係」の観点において,SNSをするグループがSNSをしないグループの平均値より有意に高いことが示された。
以上の結果から,調査した全ての学年においてSNSをする児童生徒の「友達との関係」は有意に高い平均値になっていたことから,SNSをしない児童生徒は友達関係に悩んでいることが明らかとなった。また,SNSの利用者が多い高校生においては,SNSを利用しない生徒は,学級集団における適応感も低くなることが明らかとなった。このようなことから,SNSを利用しない児童生徒は,学級集団に対して疎外感をもち人間関係が希薄になりやすいことから,学校適応感を高める指導・支援には交友関係を育む取組みが必要になっていることが明らかになった。
スマートフォンの普及に伴いLINEなどの無料通話アプリ等のソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下「SNS」という。)を利用する児童生徒が増加しており,インターネット上でのつながりは日常的な営みとなっている。このような状況の中において,児童生徒の学校における適応感は,どのような実態になっているのであろうか。
そこで,本研究では,SNSの利用状況が児童生徒の学校適応感に及ぼしている影響を当教育センターが開発した「学校楽しぃーと」の調査から分析し,児童生徒の学校適応感を高める指導・支援の在り方について考察した。
方 法
調査対象 鹿児島県内の小学6年生698名,中学2年生655名,高校1年生480名,高校2年生474名の計2307名。
質問紙 質問紙は,「学校楽しぃーと」の質問項目に,SNS利用実態の質問項目を併せて構成したマークシート形式による質問紙で実施した。
調査時期 調査は2015年6~7月に実施。
結果・考察
学年ごとに「SNSを利用するグループ」と「SNSをしないグループ」に分けて,「学校楽しぃーと」の6観点の平均値及び標準偏差値を算出し,平均値の差が有意なものかをt検定を行った(Table1)。分析の結果,小学6年生は,「友達との関係」の観点において,SNSをするグループの平均値がSNSをしないグループの平均値より有意に高いことが示された。中学2年生では,小学6年生と同じく「友達との関係」の観点においてSNSをするグループがSNSをしないグループの平均値より有意に高いことが示されたが,「心身の状態」,「教師との関係」,「学習意欲」の観点については,SNSをするグループがSNSをしないグループの平均値より有意に低いことが示された。高校1年生では,「自己肯定感」,「学級集団における適応感」,「友達との関係」の観点において,SNSをするグループがSNSをしないグループの平均値より有意に高いことが示された。そして,高校2年生では,「学級集団における適応感」,「友達との関係」の観点において,SNSをするグループがSNSをしないグループの平均値より有意に高いことが示された。
以上の結果から,調査した全ての学年においてSNSをする児童生徒の「友達との関係」は有意に高い平均値になっていたことから,SNSをしない児童生徒は友達関係に悩んでいることが明らかとなった。また,SNSの利用者が多い高校生においては,SNSを利用しない生徒は,学級集団における適応感も低くなることが明らかとなった。このようなことから,SNSを利用しない児童生徒は,学級集団に対して疎外感をもち人間関係が希薄になりやすいことから,学校適応感を高める指導・支援には交友関係を育む取組みが必要になっていることが明らかになった。