The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PD(01-64)

ポスター発表 PD(01-64)

Sun. Oct 9, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PD15] 大学生の未来の視野の広がりと人生に対する積極性との関連

日潟淳子 (姫路大学)

Keywords:未来展望, 青年期, 人生に対する積極性

目   的
 日潟(2015)は,大学生の未来展望に対する視野の広がりについての検討を行い,大学生が未来を展望する上で意識する視点として6側面があることをとらえた。未来に対して広い視野で展望できることは積極的に人生を生きようとする姿勢につながることが考えられ,それらがどのように関連するのかをとらえることにより,大学生のキャリア形成における支援に対する新たな視点を与えることが可能となると考える。そこで本研究では未来展望に対する視野の広がりと,人生に対する積極的態度がどのように関連しているのかを学年ごとにとらえ,発達的に検討する。
方   法
1)調査対象者:私立大学1校の大学生 1年生41名(男性21名 女性20名 平均年齢18.68歳 SD=.47),2年生45名(男性26名 女性19名 平均年齢19.71歳 SD=.46),3年生43名(男性20名 女性23名 平均年齢20.67歳 SD =.52)。
2)調査時期:2014年11月-2015年1月。
3)調査内容:(1) 未来展望の明るさ:「とても明るい」(7点)から「とても明るくない」(1点)の7件法で実施した。(2)未来展望の質的広がり:Nuttin(1995)のINOM尺度(The Inventory of Motivatio- nal Objects)を参考に作成した日潟(2015)の未来展望をとらえる64項目,7件法。下位尺度「社会的評価(17項目)」「社会貢献(17項目)」「自己実現(11項目)」「自分らしさ(9項目)」「自己成長(5項目)」「他者とのつながり(5項目)」(3)人生に対する積極的態度尺度(海老根,2010):25項目,5件法。下位尺度「目標・夢(5項目)」「向上心(4項目)」「肯定的(7項目)」「時間重視(6項目)」「自分らしさ(3項目)」 (4)フェイス項目:学年 性別 年齢 今までサークル等の所属の有無 目標としている人の有無など
結果と考察
1)人生に対する積極的態度尺度の平均値とSD
 各学年で一要因の分散分析を行ったところ,すべての下位尺度において有意な差は見られなかった。また,下位尺度の平均値は海老根(2010)の結果とほぼ同様であった(Table 1)。
2)未来展望の明るさ,および,未来の視野の広がりと人生に対する積極性尺度との相関(Table 2)
 学年の特徴として,1年生は未来に対して他者とのつながりが大切だと感じること,社会貢献の意識を持つことと人生に対する積極性が関連した。2年生は自己実現,社会貢献,自己成長などに関連がみられたが,他学年よりも関連がみられたものは少なかった。3年生は他者とのつながり以外は,関連を示し,未来の視野の広がりが人生に対する積極性を生み出すことが推測された。
引用文献
海老根理絵(2010).青年期における人生に対する積極的態度に関する研究-KJ法による検討と尺度の構成を中心として 東京大学大学院教育学研究科紀要 50,149-158.
日潟淳子(2015).大学生の未来展望の視野の広がりとその関連要因の検討 近大姫路大学教育学部紀要,8,109-114.