[PD57] 子どもの学ぶ資質と発達(3)
学ぶ力の基盤になる個人の強みと情動知能
Keywords:学ぶ資質, 個人の強み, 情動知能
社会で活躍できる個人の資質や,持続的な幸福を得る個人の強みが注目されている(タフ,2013; Heckman,2013)。思考力や創造性といった認知能力にもまして,やり抜く意欲や我慢強さ,自制心といった情動面も社会的な有能性には欠かせない。そういった非認知的な能力をスキルや態度として考えるだけでなく,パーソナリティ変数としても詳しく調べる必要がある。本研究では,子どもの学びに関わる認知能力と非認知能力のいずれも「学ぶ資質」ととらえて基本的な概念を整理し,学ぶ資質の発達の道筋を探る。
方 法
対象者:中等教育を修了した者の約半数が現実の社会で働き始めることを顧慮すれば,それ迄に学びの資質が確立されることが期待されるので,大学の新入生247名(男126名,女121名)と保育系専門学校の新入生46名(男11名,女35名)を対象にした。質問紙は入学直後の授業中に学習課題の一環で配布し,回答者自身で個人集計して自己分析させた。
測定尺度:セリグマンの強みテスト簡略版(2014)の各下位尺度は5件法の2項目で構成され,得点範囲は0点から8点である。情動知能(EQS, 2001)は対応因子の水準で分析し,各下位尺度は5件法の8項目から12項目で構成され,得点範囲は0点から32点若しくは48点である。
主な結果と考察
有意な相関をTable 1に示す。客観的思考や思慮深さは情動知能との関連がなく,創造性,大局観,ユーモアは状況や対人の対応領域と関連があり,これらは幼児期からでも育める可能性がある。自制心や我慢強さは自己対応に関連し,向学心や好奇心は対人対応の領域で関連が認められた。動機づけである意欲と未来志向は,いずれの対応領域でも制御に関連することから,学び方に関して自己決定や目標追求,協力や調整などが必要なグループによる課題解決や学習が有効だと考えられる。
方 法
対象者:中等教育を修了した者の約半数が現実の社会で働き始めることを顧慮すれば,それ迄に学びの資質が確立されることが期待されるので,大学の新入生247名(男126名,女121名)と保育系専門学校の新入生46名(男11名,女35名)を対象にした。質問紙は入学直後の授業中に学習課題の一環で配布し,回答者自身で個人集計して自己分析させた。
測定尺度:セリグマンの強みテスト簡略版(2014)の各下位尺度は5件法の2項目で構成され,得点範囲は0点から8点である。情動知能(EQS, 2001)は対応因子の水準で分析し,各下位尺度は5件法の8項目から12項目で構成され,得点範囲は0点から32点若しくは48点である。
主な結果と考察
有意な相関をTable 1に示す。客観的思考や思慮深さは情動知能との関連がなく,創造性,大局観,ユーモアは状況や対人の対応領域と関連があり,これらは幼児期からでも育める可能性がある。自制心や我慢強さは自己対応に関連し,向学心や好奇心は対人対応の領域で関連が認められた。動機づけである意欲と未来志向は,いずれの対応領域でも制御に関連することから,学び方に関して自己決定や目標追求,協力や調整などが必要なグループによる課題解決や学習が有効だと考えられる。