The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PE(01-64)

ポスター発表 PE(01-64)

Sun. Oct 9, 2016 1:30 PM - 3:30 PM 展示場 (1階展示場)

[PE37] 幼稚園教諭による子どもの意思決定支援プロセスの質的分析

川嶋健太郎1, 北原靖子2, 蓮見元子3 (1.東海学院大学, 2.川村学園女子大学, 3.川村学園女子大学)

Keywords:意思決定支援, 幼稚園教員, M-GTA

 幼稚園において子どもは保育者の指示に従うだけではなく,子ども自身の好みや希望に基づいて様々な選択をする機会がある。例えば,何で遊ぶか,誰と遊ぶか,制作で何を作るか,色紙は何色にするかなどについて意思決定をしている。この時,子どもは常に自分一人で意思決定をするのではなく,保育者の支援を受けながら意思決定をする場面も多いと考えられる。しかし,保育者による子どもの意思決定に対する支援行動は子ども–保育者の2者関係の文脈の中で行われており,外部から保育者の支援の意図や理由を推測することは困難と思われる。
 そこで本研究ではM-GTAを用いて,幼稚園教諭による子どもの意思決定支援のプロセスを検討する。幼稚園における意思決定場面を保育者に確認した上で,子どもに対する保育者自身の行動を意思決定・選択の支援という観点から語ってもらった。
方   法
参加者 東海地方にある幼稚園の幼稚園教諭9名がインタビューに協力した(女性・常勤 非常勤)
手続き 2015年8月に勤務先の幼稚園の一室において,一人ずつおよそ30分から50分程度インタビューを行い,ICレコーダーによって録音を行った。
分析方法 M-GTAを分析方法に用いた。分析焦点者を幼稚園教諭とし,分析テーマを「幼稚園教諭による子どもの意思決定支援のプロセス」とした。分析焦点者・分析テーマを意識し,逐語録を読み,分析ワークシートを作成した。生成した概念間の関係性からカテゴリーにまとめ,結果図を作成した。
結果と考察
 26の概念が生成され,5つのカテゴリーおよび5つのサブカテゴリーにまとめられた。図1はカテゴリー間の関係を表す結果図である。
 〈支援の準備〉では,毎日のふれあいから【子どもの個性を理解する】こと,支援の行い方を【学年によって接し方を変える】こと,および【子どもの知識・技能を準備する】ことで子どもが意志決定できる前提条件を整えていた。〈子どもが選べる選択肢の設定〉では(保育者による選択肢の設定)と(子どもによる選択肢作りの援助)が行われていた。〈迷いへの支援〉では(迷う子どもへの初期対応)を行った後に(子どもの自主性を保つ援助)として決められるまで待っているが,【時間制限により待てない】場合には(子どもの参加を維持する援助)としてとにかくやらせてみたり,【選択肢の提案をする】がなされていた。〈拒否への支援〉では【拒否の理由を聞く】や,様子見をするなどした後に子どもが意志を変えなければ【説得する】が行われる場合があった。〈こだわりへの支援〉として間接的に適切な正しい選択肢へ誘導が行われるが,最後までこだわる場合にはそれを認めて【大人が折れる】ことや,子どもの【願いを叶える】ことが行われた。