[PE43] 理学療法士養成課程3年間の学習動機づけの特徴と指導方針の検討
学習動機2要因モデルの枠組みから
Keywords:学習動機の2要因モデル, 内容関与的動機, 内容分離的動機
目 的
大学時代は自ら学ぶ意欲は最も充実し,教育の担い手は主に大学の教員であるが,自分自身も自分の教育の担い手となる時期であるとされている。本研究では理学療法士養成校の学生1年次から卒業時に至るまでの学習動機づけの状態や変化を探索し,学業成績との関係を明らかにする。そして各学年での指導の指針を得ようとする。
方 法
理学療法士養成校3年制短期大学を卒業していく31名と,在学中の3年生28名,2年生20名,1年生56名の計135名を対象に「人はなぜ勉強するのか。自分の場合はどうか。」という学習の動機や目的を自由に書いてもらった。学生の記述を収集し,市川(2013)の「学習動機の2要因モデル」6つの動機づけに分類した。本調査は、白鳳短期大学 倫理委員会の承認を得たうえで、対象者に研究の趣旨を説明し文書による同意を得て実施した。
結果と考察
学習の重要性については,学年が上がるごとに内容関与的動機が上がり,内容分離的動機は下がっていくものであった。
6つの動機づけ分類においては,どの学年においても実用志向の動機づけが一番多かった。充実志向の動機づけは,学年が上がるごとに高くなっていくものの,卒業直前の学生ですら15%程度であった。訓練志向の動機づけは,1年次では低いが,2年次に上昇し,卒業時まで一定である。関係志向の動機づけは,学年が低いほど多く,3年次や卒業時にはほぼなくなるようである。自尊志向の動機づけは,1年次に存在し,2年次・3年次には低下するが,卒業時には再び上昇している。
また学習の功利性の面では,内容関与的動機内での学習の功利性が一番高いのは1年次であった。卒業時は功利性に関係なく,3志向すべてを兼ね備えた動機づけができることもわかった。内容分離的動機内での学習の功利性は,1年次・2年次では功利性に関係なく,どの動機づけも存在する者が有意に多かった。3年次や卒業生はそもそも内容分離的動機がない者が多い。
続いて,学習内容の重要性と学業成績の関係では,どの学年においても内容関与的動機,内容関与的・分離的混合型,内容分離的動機との間で有意差は認められなかった。しかし,どの学年においても,内容関与的・分離的混合型よりも内容関与的動機をもつ学生の方が学業成績は高い傾向を示した。教員は学習内容の重要性を伝えていく講義や普段からの指導が必要であるといえる。
また,内発的動機づけの典型(充実志向)と学業成績の関係においては,1年次・3年次は内発的動機づけがない学生の方が学業成績は良く,2年次・卒業時では内発的動機づけがある学生の方が学業成績は良かった。国家試験に合格するためには,内発的動機づけに転換していくことが望ましいと推測できるが,必ずしも内発的動機づけだけではなく,生活と直結する実用志向の方が力を発揮しやすいのではないだろうか。
外発的動機づけの典型(報酬志向)と学業成績の関係では,有意差は認められなかった。1年次では報酬志向がない学生の方が成績は高い傾向を示し,2年次では報酬志向がある学生の方が成績は高い傾向を示した。2年次には報酬を求めて学習することも悪くないのかもしれない。中間学年では目標を見失いかけることもあり,学習に対する動機づけが外発的でもよいから学習に向かうという姿勢の方が大事なのではないだろうか。そして,内発的動機づけに立て直せる教員の誘導や学生の意識の変革が必要ではないだろうか。
大学時代は自ら学ぶ意欲は最も充実し,教育の担い手は主に大学の教員であるが,自分自身も自分の教育の担い手となる時期であるとされている。本研究では理学療法士養成校の学生1年次から卒業時に至るまでの学習動機づけの状態や変化を探索し,学業成績との関係を明らかにする。そして各学年での指導の指針を得ようとする。
方 法
理学療法士養成校3年制短期大学を卒業していく31名と,在学中の3年生28名,2年生20名,1年生56名の計135名を対象に「人はなぜ勉強するのか。自分の場合はどうか。」という学習の動機や目的を自由に書いてもらった。学生の記述を収集し,市川(2013)の「学習動機の2要因モデル」6つの動機づけに分類した。本調査は、白鳳短期大学 倫理委員会の承認を得たうえで、対象者に研究の趣旨を説明し文書による同意を得て実施した。
結果と考察
学習の重要性については,学年が上がるごとに内容関与的動機が上がり,内容分離的動機は下がっていくものであった。
6つの動機づけ分類においては,どの学年においても実用志向の動機づけが一番多かった。充実志向の動機づけは,学年が上がるごとに高くなっていくものの,卒業直前の学生ですら15%程度であった。訓練志向の動機づけは,1年次では低いが,2年次に上昇し,卒業時まで一定である。関係志向の動機づけは,学年が低いほど多く,3年次や卒業時にはほぼなくなるようである。自尊志向の動機づけは,1年次に存在し,2年次・3年次には低下するが,卒業時には再び上昇している。
また学習の功利性の面では,内容関与的動機内での学習の功利性が一番高いのは1年次であった。卒業時は功利性に関係なく,3志向すべてを兼ね備えた動機づけができることもわかった。内容分離的動機内での学習の功利性は,1年次・2年次では功利性に関係なく,どの動機づけも存在する者が有意に多かった。3年次や卒業生はそもそも内容分離的動機がない者が多い。
続いて,学習内容の重要性と学業成績の関係では,どの学年においても内容関与的動機,内容関与的・分離的混合型,内容分離的動機との間で有意差は認められなかった。しかし,どの学年においても,内容関与的・分離的混合型よりも内容関与的動機をもつ学生の方が学業成績は高い傾向を示した。教員は学習内容の重要性を伝えていく講義や普段からの指導が必要であるといえる。
また,内発的動機づけの典型(充実志向)と学業成績の関係においては,1年次・3年次は内発的動機づけがない学生の方が学業成績は良く,2年次・卒業時では内発的動機づけがある学生の方が学業成績は良かった。国家試験に合格するためには,内発的動機づけに転換していくことが望ましいと推測できるが,必ずしも内発的動機づけだけではなく,生活と直結する実用志向の方が力を発揮しやすいのではないだろうか。
外発的動機づけの典型(報酬志向)と学業成績の関係では,有意差は認められなかった。1年次では報酬志向がない学生の方が成績は高い傾向を示し,2年次では報酬志向がある学生の方が成績は高い傾向を示した。2年次には報酬を求めて学習することも悪くないのかもしれない。中間学年では目標を見失いかけることもあり,学習に対する動機づけが外発的でもよいから学習に向かうという姿勢の方が大事なのではないだろうか。そして,内発的動機づけに立て直せる教員の誘導や学生の意識の変革が必要ではないだろうか。