[PE48] 児童養護施設における直接処遇職員のストレスに関する研究(1)
子どもとの関わりに関する勤務年数短群と長群の比較
Keywords:児童養護施設, 直接処遇職員, ストレス
問題と目的
虐待を受けた子どもたちは,児童養護施設に保護されることが多い。児童養護施設の直接処遇職員(保育士と児童指導員)は,被虐待児からの日々繰り返される不適応行動等の対応に疲労困憊している現状が推測される。本研究では,半構造化面接により,児童養護施設で働く直接処遇職員の勤務年数短群と長群のストレッサーを明らかにする。
調査方法
1.調査対象と調査方法
調査対象:関東圏内の児童養護施設で働く直接処遇職員,勤務年数短群・7名(男性4名,女性3名),勤務年数長群・8名(男性5名,女性3名)の15名が対象であった。なお,直接処遇職員の勤務年数は5年未満が約52%と職場定着率が低いことから,勤務年数短群と長群の分け方は,勤務年数5年未満を短群,5年以上を長群とした。
調査方法:施設長の許可を得て,対象とした直接処遇職員への半構造化面接を行った。倫理的配慮として1)調査の趣旨,2)プライバシーの保護,3)ICレコーダーやメモの許可,4)結果報告を行うことについて説明を行い,了承を得た。
2.調査内容
調査対象の直接処遇職員に,属性(性別・年代・勤務年数・施設の形態等)を尋ねた。続いて,働くなかでどのようなことがストレッサーになっているか,難しい対応について等,質問した。
3.調査時期と場所
2008年6月中旬から8月上旬にかけて各施設で実施した。
4.手続きと分析方法
ICレコーダー等を使用して発話を録音し,逐語録を作成した。SCATを参考に逐語録から重要だと思われる箇所を抽出し,概念化した。抽出された概念はカテゴリーとしてまとめた。
結果と考察
1.被験者の基本属性
被験者の基本属性をTable 1にまとめた。勤務年数については,5年未満・46.7%(7名),5年以上10年未満・26.7%(3名),10年以上15年未満・20%(4名),15年以上20年未満・6.7%(1名)であった。
2.半構造化面接の結果と考察
児童養護施設で働く直接処遇職員のストレッサーは,大きく3つのカテゴリーに分類された。出現頻度の高い順にあげると「子どもとの関わり」,「他職員との関わり」,「労働環境等」であった。本稿では,「子どもとの関わり」について報告する。
1)子どもとの関わりと対応では,短群は一日の生活支援が最もストレッサーになっていた。長群では他の職員と比較されること等がストレッサーとなっていた。2)対応困難な子どもとの関わりでは,短群は愛着障害や低年齢児で発達障害を伴った子どもへの関わり等,ストレッサーであった。長群では,人格障害と知的障害を持つ子どもへの関わり等が挙げられた。3)性的虐待を受けた子どもへの関わりは,長群の事例である。支援をするなかで自信喪失し,子どもへのケアの限界を感じ退職に至っている。4)変化する入所児童との関わりでは短群・長群共に,愛着障害・発達障害の子どもへの対応に苦慮している。
虐待を受けた子どもたちは,児童養護施設に保護されることが多い。児童養護施設の直接処遇職員(保育士と児童指導員)は,被虐待児からの日々繰り返される不適応行動等の対応に疲労困憊している現状が推測される。本研究では,半構造化面接により,児童養護施設で働く直接処遇職員の勤務年数短群と長群のストレッサーを明らかにする。
調査方法
1.調査対象と調査方法
調査対象:関東圏内の児童養護施設で働く直接処遇職員,勤務年数短群・7名(男性4名,女性3名),勤務年数長群・8名(男性5名,女性3名)の15名が対象であった。なお,直接処遇職員の勤務年数は5年未満が約52%と職場定着率が低いことから,勤務年数短群と長群の分け方は,勤務年数5年未満を短群,5年以上を長群とした。
調査方法:施設長の許可を得て,対象とした直接処遇職員への半構造化面接を行った。倫理的配慮として1)調査の趣旨,2)プライバシーの保護,3)ICレコーダーやメモの許可,4)結果報告を行うことについて説明を行い,了承を得た。
2.調査内容
調査対象の直接処遇職員に,属性(性別・年代・勤務年数・施設の形態等)を尋ねた。続いて,働くなかでどのようなことがストレッサーになっているか,難しい対応について等,質問した。
3.調査時期と場所
2008年6月中旬から8月上旬にかけて各施設で実施した。
4.手続きと分析方法
ICレコーダー等を使用して発話を録音し,逐語録を作成した。SCATを参考に逐語録から重要だと思われる箇所を抽出し,概念化した。抽出された概念はカテゴリーとしてまとめた。
結果と考察
1.被験者の基本属性
被験者の基本属性をTable 1にまとめた。勤務年数については,5年未満・46.7%(7名),5年以上10年未満・26.7%(3名),10年以上15年未満・20%(4名),15年以上20年未満・6.7%(1名)であった。
2.半構造化面接の結果と考察
児童養護施設で働く直接処遇職員のストレッサーは,大きく3つのカテゴリーに分類された。出現頻度の高い順にあげると「子どもとの関わり」,「他職員との関わり」,「労働環境等」であった。本稿では,「子どもとの関わり」について報告する。
1)子どもとの関わりと対応では,短群は一日の生活支援が最もストレッサーになっていた。長群では他の職員と比較されること等がストレッサーとなっていた。2)対応困難な子どもとの関わりでは,短群は愛着障害や低年齢児で発達障害を伴った子どもへの関わり等,ストレッサーであった。長群では,人格障害と知的障害を持つ子どもへの関わり等が挙げられた。3)性的虐待を受けた子どもへの関わりは,長群の事例である。支援をするなかで自信喪失し,子どもへのケアの限界を感じ退職に至っている。4)変化する入所児童との関わりでは短群・長群共に,愛着障害・発達障害の子どもへの対応に苦慮している。