日本教育心理学会第58回総会

講演情報

ポスター発表 PF(01-64)

ポスター発表 PF(01-64)

2016年10月9日(日) 16:00 〜 18:00 展示場 (1階展示場)

[PF02] 就職活動目標,情報探索方略,成果の関連

内定獲得有無の視点からの検討

小菅清香 (学習院大学大学院)

キーワード:目標, 就職活動, 情報探索

目   的
 就職活動時の目標は行動,成果に影響するとされ(Saks, Brown and Lent, 2005),目標では将来のビジョンである雇用目標が,行動については情報探索方略といった方略の有効性が示されてきた。しかし,大学生が内定獲得という直近の成果のためにもつ「就職活動中に自身はどのように行動したいか」といった就職活動目標と,当該目標が情報探索方略へ与える影響を検討した研究はない。中でも,就職活動を行う学生は様々な進捗状況にあると想定され,その状況により目標と情報探索方略の関連は異なると考えられる。したがって,本研究では,活動進捗の異なる大学生がもつ就職活動目標,情報探索方略,成果の関連について検討することを目的とした。
方   法
 調査協力者 関東圏内の私立大学4校,国立大学2校において,回答に不備がなく,進路希望を就職とし就職活動に従事する大学4年生・博士前期課程2年生の79名を分析対象とした(男性33名,女性46名;平均年齢21.8歳,SD=1.0)。
 実施手続き 2015年7月初旬に私立大学一校の講義時間を利用して一斉調査,8月中には知り合いを通じて質問紙を手渡して回収し,回収が難しい場合は,8月末日までを期限に返送させた。
 調査内容 ①内定獲得数②就職活動目標:内定獲得者に対するインタビューをもとに小菅(2015)が作成。5件法。③情報探索方略:Stevens & Turban(2001)が提唱した焦点型方略,探索型方略,場当たり型方略についての16項目を邦訳して用いた。5件法。④成果:エントリーシート(以下ES)通過率はES送付数のうちESが通過した数を,最終面接通過率は面接を受けた数のうち最終面接に進んだ数を算出した。
結   果
 内定獲得有無により,内定無群(N=58)と内定有群(N=21)とに分類した。内定獲得の有無により,就職活動目標,情報探索方略,成果との相関が異なった(表1参照)。
考   察
 活動が順調にいっていないと考えられる内定無群をとりあげて考察する。この群は,企業を知るとの目標と場当たり型方略に正の相関,当該方略と最終面接通過率に負の相関があったことから,様々な企業をみることを重視するがゆえに,場当たり的に企業を探索し,その方略使用のために最終面接通過率が低くなることが考えられた。企業についての知識を得ることは推奨されるものの,一つの企業に対して深い情報を得られないことで成果をもたらさない可能性が示唆され,今後活動進捗にあわせた目標の効果について考える必要性が示唆された。