[PF18] 表情認知における受け取る側の情況と文脈判断
コミュニケーション場面を手がかりに
キーワード:表情認知, 文脈判断, コミュニケーション
目 的
他者との円滑なコミュニケーションにおいて重要である表情認知に関して,特に「曖昧」とされるものに対して表情を受け取る側が何を手がかりとして認知しているかを調査することを目的とする。
方 法
実験参加者:女子大学生180名
手続き:AさんとBさんという架空の人物のコミュニケーションの様子を,手書きの刺激図(Figure 1)と刺激文で呈示し,質問に回答してもらった。刺激図は,2人が向かい合って話している情況で,Bさんの表情を無表情に設定した。会話は文脈がそれぞれ異なる3場面(情況①~③)設定し,それぞれ異なる実験参加者で課題を行った。情況は,Bさんからの申し出をAさんが①「受理できない」,②「受理できない(2度目)」,③「受理できる」の3通りである。
どの情況にも共通する質問として,「絵の人物(Bさん)の表情に合った感情」を次の7段階で評価してもらうものを設定した。
【1:嬉しい 2:悲しい 3:嫌悪 4:怒り 5:驚き 6:恐怖 7:その他】
「7:その他」を選んだ場合は,その理由を記載してもらった。
結 果
情況①,②では,刺激図の表情は「2:悲しい」を選択した人が一番多かった。情況③では,「1:嬉しい」を選択した人が一番多かった。しかし,情況①~③の間で有意差は見られなかったため,「7:その他」で理由として記述されている内容を分析し,ネガティブ感情(グループ1)とポジティブ感情(グループ2)で分けて統計分析を行った。同じ絵に対して,情況に応じて見え方が異なるか調べるために,独立性の検定を行ったところ,有意差が認められた(x^2(2,N=180)=104.71,p<.05)。
また,情況①,②,③間の有意を調べるために,分散分析を行ったところ【情況①-③】,【情況②-③】の間に有意差が認められた。Table 1は情況①~③の表情認知の差の平均値と標準偏差を表している。
考 察
コミュニケーション場面の文脈が異なることによって,同じ表情でも認知のされ方が異なることが分かった。刺激図は同じだったにも関わらず,ポジティブな情況ではポジティブ感情に,ネガティブな情況ではネガティブな感情に認知された。つまり,人はコミュニケーション場面において,文脈を一つの手がかりとして相手の感情や表情を読み取っているのではないかと考える。
他者との円滑なコミュニケーションにおいて重要である表情認知に関して,特に「曖昧」とされるものに対して表情を受け取る側が何を手がかりとして認知しているかを調査することを目的とする。
方 法
実験参加者:女子大学生180名
手続き:AさんとBさんという架空の人物のコミュニケーションの様子を,手書きの刺激図(Figure 1)と刺激文で呈示し,質問に回答してもらった。刺激図は,2人が向かい合って話している情況で,Bさんの表情を無表情に設定した。会話は文脈がそれぞれ異なる3場面(情況①~③)設定し,それぞれ異なる実験参加者で課題を行った。情況は,Bさんからの申し出をAさんが①「受理できない」,②「受理できない(2度目)」,③「受理できる」の3通りである。
どの情況にも共通する質問として,「絵の人物(Bさん)の表情に合った感情」を次の7段階で評価してもらうものを設定した。
【1:嬉しい 2:悲しい 3:嫌悪 4:怒り 5:驚き 6:恐怖 7:その他】
「7:その他」を選んだ場合は,その理由を記載してもらった。
結 果
情況①,②では,刺激図の表情は「2:悲しい」を選択した人が一番多かった。情況③では,「1:嬉しい」を選択した人が一番多かった。しかし,情況①~③の間で有意差は見られなかったため,「7:その他」で理由として記述されている内容を分析し,ネガティブ感情(グループ1)とポジティブ感情(グループ2)で分けて統計分析を行った。同じ絵に対して,情況に応じて見え方が異なるか調べるために,独立性の検定を行ったところ,有意差が認められた(x^2(2,N=180)=104.71,p<.05)。
また,情況①,②,③間の有意を調べるために,分散分析を行ったところ【情況①-③】,【情況②-③】の間に有意差が認められた。Table 1は情況①~③の表情認知の差の平均値と標準偏差を表している。
考 察
コミュニケーション場面の文脈が異なることによって,同じ表情でも認知のされ方が異なることが分かった。刺激図は同じだったにも関わらず,ポジティブな情況ではポジティブ感情に,ネガティブな情況ではネガティブな感情に認知された。つまり,人はコミュニケーション場面において,文脈を一つの手がかりとして相手の感情や表情を読み取っているのではないかと考える。