The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF(01-64)

ポスター発表 PF(01-64)

Sun. Oct 9, 2016 4:00 PM - 6:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PF35] 幼稚園教育実習事後指導における自己評価から見た学生の現状と課題

課題克服への具体的手立ての記述から

橋村晴美1, 塚本恵信2 (1.中部学院大学, 2.日本福祉大学)

Keywords:幼稚園教育実習指導, 自己評価

問   題
 教育実習事後指導では,学生に自身の活動を評価的に振り返らせて現状を認識させ,今後に向けての課題の発見と,その解決に向けての具体的な手段を考察させて,改善への取り組みを促す指導が必要となる。だが,自己評価や課題認識の適切性や,課題克服への手段の具体化や有効性が不十分であれば,その場限りの反省を表明させるばかりで終わってしまう。養成段階の学生であればこその認識不足があるのは自明だが,彼らの自己評価の検討を通して学生の現状を把握しながら,改善への取り組みを適切かつ具体的なものへと促していく指導が求められよう。
 本研究では,幼稚園教育実習事後指導における学生たちの自己評価の記述から,その現状と課題について検討し,指導のあり方を考察することを目的とする。
方   法
対象者 A大学保育者養成課程に所属する2年次の男女学生44名。
日時 2016年2月実施の幼稚園実習(1)事後指導において実施。
評価項目 実習事後指導における振り返り(自己評価)の項目として,「1.これまでの実習で自信がついたこと」「2.今後の課題」「3.課題に対する具体的手立て」の3項目を用いた。
手続き 幼稚園実習(1:2週間)の事後指導において,指導の一環として振り返りの自己評価を学生に回答させた。まず自己実践の肯定的な側面について回答させた上で(項目1),現時点での改善課題を考察させ(項目2),さらに課題克服に向けての具体的な手立てを考案させた(項目3)。回答にあたっては,3年次6月実施予定の幼稚園実習(2:2週間)に向けた準備を想定しながら考察するように教示した。
 なお,回答の回収後には,個別の記述内容に関する助言指導を加えて,各学生に返却・指導した。さらに以後の展開として,幼稚園実習(2)の事前事後指導の際にも,その後の経過に関する自己評価と振り返りを実施するものとした。
結   果
1.自己の肯定的評価
 項目1「これまでの実習で自信がついたこと」について回答(n=116)を分類したところ,「子ども理解:関わり方」に関する記述が最も多く(n=34; 29.3%),次いで「保育実践法:絵本」(n=16; 13.8%),「子ども理解:内面理解」(n=12; 10.3%)の評価が多かった。
2.自己評価:今後の課題
 項目2「今後の課題」について回答(n=104)を分類したところ,「子ども理解:関わり方」「保育実践法:指示の出し方」「積極性」に関する記述がそれぞれ多く(各n=14; 13.5%),次いで「記録」(n=11; 10.6%),「保育者の模倣」(n=10; 9.6%)の評価が多かった。
3.自己評価:改善への取り組み
 項目3「課題に対する具体的手立て」についての回答(n=104)を分析したところ,解決への方向性を示すのみで,取り組みとしての具体性に欠ける記述が多く見られた(n=29; 27.9%)。また,項目2で課題として挙げられた内容について,項目3で具体的な手立てが記述されていない回答も見られた(n=8; 7.7%)。具体的な手立てが記述された回答では,次回の実習内での留意事項を掲げたものが多く,実習「事前」の準備としての取り組みを具体的に想定できない現状にあることが示された。
考   察
 実習事後指導における学生の現状として,目先の課題や抱負を述べるに留まることが示唆された。実際的な振り返りを促していくためにも,彼らの現状認識に「問い」を発して熟考させるような指導が必要だろう。