[PF52] 提供される学生支援の質が大学生活への適応感に及ぼす影響の検討
Keywords:学校適応感, 学生支援
はじめに
本研究では,学生に提供する学生支援の質的向上を図るために,大楽生活に対する適応感(大学が居心地の良いであると感じること)に影響を与える要因を探ることを目的とした。
方 法
調査対象者 千葉県内の私立大学に在籍している日本人学生776名(男性:588名 女性:188名)であった。
材料 ①大学生の生活と意識(武内ら,2013)を参考に大学生活全般と大学生活への取り組み方について尋ねる質問(36項目)を作成した。②青年適応感尺度(大久保,2005)から「居心地の良さの感覚」を測定する11項目を使用した。①と②を合わせて「大学の生活と意識に関する調査票」として使用した。
手続き 2016年1月11日から2月2日の期間に大学の授業時間の一部(基礎演習または専門演習)を使用して調査を実施した。調査票の配布と回収は演習を担当する教員に依頼した。依頼された教員が対象者(以下,学生とする)への教示を読みあげた後に調査票を配布し,調査票への回答を求めた。学生は調査票にある指示に従って回答した。調査票への回答に要した時間は約15分であった。
結 果
本調査では,居心地の良さを測定する11項目の合計点(以下,適応感得点とする)を算出し,大学生活に対する適応感の指標とした。適応感得点の最低点は11点,最高点は55点である。本調査における学生の適応感得点の平均値は39.13点(SD=10.07)であった。
学生の基本属性(学年・性別・所属)によって適応感得点に差がみられるか否かを確認するために,適応感得点の平均値を学年ごと,性別ごと,所属ごとに比較したところ,所属5の学生の適応感得点が所属1と所属4の学生よりも有意に高いことが示された(F(4, 766)=3.88,p<.01)。学年および性別による適応感得点の差はみられなかった(F(3, 764)=0.65,n.s.; t(776)=1.28,n.s.)。
学生の適応感得点に影響する要因を探るために授業への満足度・大学内における人間関係での満足度ごとに学生の適応感得点を比較した。その結果,(1) 授業への満足度が高い学生ほど適応感得点が高いこと(F(4, 765)=34.14,p<.01),(2) 大学内(部活やサークル)での友人関係や教員との人間関係に対する満足度が高い学生の適応感得点が高いこと(F(4, 761)=49.16,p<.01; F(4, 763)=40.65,p<.01),(3) 大学内に友人の多い学生の適応感得点が学外の友人が多い学生よりも高いことが示された(F(2, 765)=36.28,p<.01)。
考 察
本調査では,学生全体の適応感得点の平均値が39.13点であったことから,学生は大学生活全般に対して中適度の適応感 (非常に満足しているわけでもないが,大きな不満もない) を得ていると考えられる。また,授業に対する満足度が高い学生・同じ大学内に友人が多く,大学における人間関係に満足感を感じている学生の満足感得点が有意に高かったことから,学生が大学を居心地の良いものと感じ,大学生活に適応するためには授業への満足感と人間関係の充実が必要であることが示唆されたといえる。
本研究では,学生に提供する学生支援の質的向上を図るために,大楽生活に対する適応感(大学が居心地の良いであると感じること)に影響を与える要因を探ることを目的とした。
方 法
調査対象者 千葉県内の私立大学に在籍している日本人学生776名(男性:588名 女性:188名)であった。
材料 ①大学生の生活と意識(武内ら,2013)を参考に大学生活全般と大学生活への取り組み方について尋ねる質問(36項目)を作成した。②青年適応感尺度(大久保,2005)から「居心地の良さの感覚」を測定する11項目を使用した。①と②を合わせて「大学の生活と意識に関する調査票」として使用した。
手続き 2016年1月11日から2月2日の期間に大学の授業時間の一部(基礎演習または専門演習)を使用して調査を実施した。調査票の配布と回収は演習を担当する教員に依頼した。依頼された教員が対象者(以下,学生とする)への教示を読みあげた後に調査票を配布し,調査票への回答を求めた。学生は調査票にある指示に従って回答した。調査票への回答に要した時間は約15分であった。
結 果
本調査では,居心地の良さを測定する11項目の合計点(以下,適応感得点とする)を算出し,大学生活に対する適応感の指標とした。適応感得点の最低点は11点,最高点は55点である。本調査における学生の適応感得点の平均値は39.13点(SD=10.07)であった。
学生の基本属性(学年・性別・所属)によって適応感得点に差がみられるか否かを確認するために,適応感得点の平均値を学年ごと,性別ごと,所属ごとに比較したところ,所属5の学生の適応感得点が所属1と所属4の学生よりも有意に高いことが示された(F(4, 766)=3.88,p<.01)。学年および性別による適応感得点の差はみられなかった(F(3, 764)=0.65,n.s.; t(776)=1.28,n.s.)。
学生の適応感得点に影響する要因を探るために授業への満足度・大学内における人間関係での満足度ごとに学生の適応感得点を比較した。その結果,(1) 授業への満足度が高い学生ほど適応感得点が高いこと(F(4, 765)=34.14,p<.01),(2) 大学内(部活やサークル)での友人関係や教員との人間関係に対する満足度が高い学生の適応感得点が高いこと(F(4, 761)=49.16,p<.01; F(4, 763)=40.65,p<.01),(3) 大学内に友人の多い学生の適応感得点が学外の友人が多い学生よりも高いことが示された(F(2, 765)=36.28,p<.01)。
考 察
本調査では,学生全体の適応感得点の平均値が39.13点であったことから,学生は大学生活全般に対して中適度の適応感 (非常に満足しているわけでもないが,大きな不満もない) を得ていると考えられる。また,授業に対する満足度が高い学生・同じ大学内に友人が多く,大学における人間関係に満足感を感じている学生の満足感得点が有意に高かったことから,学生が大学を居心地の良いものと感じ,大学生活に適応するためには授業への満足感と人間関係の充実が必要であることが示唆されたといえる。