[PH21] 幼少期の生物や自然に対する興味関心と経験との関係
女子大生の回顧調査から
Keywords:理科, 興味関心, 体験
目 的
OECD生徒の学習到達度調査などの国際的な調査をはじめ,様々な調査において日本の生徒の理科学習に対する課題が浮き彫りとなり,理科離れを探るための調査研究が盛んに行われている。本研究でも理科離れ解決の糸口を模索する一つの方法として,幼少期の生物や自然に対する興味関心とそれらに関する経験がどのように関係しているのかを検討する。研究調査を行うにあたり,幼少期の興味関心についても調査するため,理科ではなく理科的事象とし,また,理科的事象と言っても科学・物理・生物・地学など幅が広いため,幼少期に興味を抱きやすいと想定される自然と生物に限定することにした。
方 法
【調査対象者】女子大学生122名【調査時期】2011年11月【調査方法】質問紙調査(回顧)1.幼少期の「自然・生物」志向についての質問5項目(表1参照)4件法,2.幼少期の自然・生物に関する経験の頻度と誰と経験したかについての質問 国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する実態調査」(白木.2011)の自然体験項目を参考に作成(表2参照)について尋ねた。質問紙配付時に調査の趣旨を説明し,同意の上で行った。
結 果
幼少期の「自然・生物」志向性尺度を主因子法にて因子分析した結果,2因子構造が妥当と判断された(表1)。なお,1項目は共通性が低かったので除外した。
因子Ⅰを「動物志向」,因子Ⅱを「植物志向」と命名した。各因子を構成する項目のアルファ係数を求めると,動物志向がα=.885,植物志向が α=.844で十分な値であった。次に2つの因子の下位尺度得点と,自然・生物に関する経験及び頻度との相関を表2に示す。
有意な相関がみられた項目について,誰と経験することが多かったのかを見ていくと,「1.生き物を飼育した。」(N=120)では一人1.7%,家族66.7%,友人6.7%,学校25.0%,「3.植物を育てた。」(N=119)では一人0.8%,家族39.5%,友人3.4%,学校56.3%,「16.生き物や自然の本や図鑑を読んだ。」(N=112)では一人53.6%,家族17.9%,友人13.4%,学校15.2%となった。
考 察
生物・自然の志向性と栽培・飼育には有意な相関が認められたが,そうした体験を伴った相手は家庭と学校の割合が大半を占めていた。このことは,幼児期の生き物や植物の飼育・栽培の多くは大人の管理下で行われることを示しており,幼少期の自然・生物の志向性の育成には大人の役割が大きいことが示唆される。さらに,植物志向も生物志向も生き物や自然の本や図鑑を読むという行為と有意な相関があったことから,そうした環境設定も重要であろう。
OECD生徒の学習到達度調査などの国際的な調査をはじめ,様々な調査において日本の生徒の理科学習に対する課題が浮き彫りとなり,理科離れを探るための調査研究が盛んに行われている。本研究でも理科離れ解決の糸口を模索する一つの方法として,幼少期の生物や自然に対する興味関心とそれらに関する経験がどのように関係しているのかを検討する。研究調査を行うにあたり,幼少期の興味関心についても調査するため,理科ではなく理科的事象とし,また,理科的事象と言っても科学・物理・生物・地学など幅が広いため,幼少期に興味を抱きやすいと想定される自然と生物に限定することにした。
方 法
【調査対象者】女子大学生122名【調査時期】2011年11月【調査方法】質問紙調査(回顧)1.幼少期の「自然・生物」志向についての質問5項目(表1参照)4件法,2.幼少期の自然・生物に関する経験の頻度と誰と経験したかについての質問 国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する実態調査」(白木.2011)の自然体験項目を参考に作成(表2参照)について尋ねた。質問紙配付時に調査の趣旨を説明し,同意の上で行った。
結 果
幼少期の「自然・生物」志向性尺度を主因子法にて因子分析した結果,2因子構造が妥当と判断された(表1)。なお,1項目は共通性が低かったので除外した。
因子Ⅰを「動物志向」,因子Ⅱを「植物志向」と命名した。各因子を構成する項目のアルファ係数を求めると,動物志向がα=.885,植物志向が α=.844で十分な値であった。次に2つの因子の下位尺度得点と,自然・生物に関する経験及び頻度との相関を表2に示す。
有意な相関がみられた項目について,誰と経験することが多かったのかを見ていくと,「1.生き物を飼育した。」(N=120)では一人1.7%,家族66.7%,友人6.7%,学校25.0%,「3.植物を育てた。」(N=119)では一人0.8%,家族39.5%,友人3.4%,学校56.3%,「16.生き物や自然の本や図鑑を読んだ。」(N=112)では一人53.6%,家族17.9%,友人13.4%,学校15.2%となった。
考 察
生物・自然の志向性と栽培・飼育には有意な相関が認められたが,そうした体験を伴った相手は家庭と学校の割合が大半を占めていた。このことは,幼児期の生き物や植物の飼育・栽培の多くは大人の管理下で行われることを示しており,幼少期の自然・生物の志向性の育成には大人の役割が大きいことが示唆される。さらに,植物志向も生物志向も生き物や自然の本や図鑑を読むという行為と有意な相関があったことから,そうした環境設定も重要であろう。