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[PA31] 大学生の共食に対する態度の測定と共食教材の効果の検討
Keywords:大学生, 孤食, 共食
食の簡便化,生活形態の多様化,家族形態の変化により孤食(一人で食事をする)化が進んでおり,コミュニケーションの欠如,社会性・協調性の低下,精神的不安定などの影響も心配される。孤食に対して食行動(食べる,つくる,情報交換,食生活を営み伝承する)を共有する共食の重要性が強調されている。これからの食文化の新たな担い手となる青年が共食についてどう考え,行動するのかが問われている。
本研究では,大学生対象の孤食・共食などの食事形態に関する調査研究と,共食促進教材による共食意識の上昇が図れるかを確認した研究を報告する。以下,一人での食事を「孤食」,家族での食事を「共食」,友達の食事を「友食」とする。
研究1
【目的】共食場面,友食場面,孤食場面に対する態度を,感情的なイメージで調査検討した。
【方法】<調査時期>2016年7月下旬<対象者>A大学の学生142名(男性41名,女性79名)
<質問紙>①性別,年齢,居住形態②食事に関する感情調査34項目②状況別の食事形態の評価③共食意識④食事場面選好の質問紙調査。<刺激>「孤食」,「友食」,「共食」のイメージ写真を教示中に提示。<手続き>心理学の講義時に,質問紙を一斉配布し教示を行って評価を求めた。回答について個人が特定されないこと,回答を中止する権利があることなど,説明を加えた。
【結果】34項目の感情評定から,主因子法Varimax回転で4因子を得た。第1因子「ポジティブ感情」,第2因子「孤食ネガティブ感情」,第3因子「対人ネガティブ感情」,第4因子「リラックス」と名付けた。4つの感情因子に対する尺度得点を計算し,3つの食事形態を比較した結果,①孤食は対人ネガティブ因子が高い,②友食にはポジティブ因子が高く,「緊張する」「落ち着かない」「疲れる」などの感情も高い,③共食はポジティブ因子とリラックス因子が有意に高い,という結果を得た。
共食意識の結果から,家族バラバラの食事を「よくない」,家族で食事をすることに「良い」と思う結果が得られ,過半数が共食や友食をしたいと思うと回答した。同時に,一人で食事をすることを好む大学生がいることも明らかになった。
研究2
【目的】共食教材を作成し,大学生の共食感の変化を測定した。
【方法】<調査時期>2016年12月<対象者>大学生48名(男性18名,女性25名)<質問紙>①性別,年齢,居住(下宿・実家)②共食感③食習慣,食事意識④食事場面選択動機⑤食事満足感からなる調査<共食促進教材>共食促進動画と共食についてのプレゼンテーション<手続き>国立大学Aにおける講義時に実施。事前質問紙に記入し,共食促進教材を視聴した後,事後調査を実施。
【結果】 共食感,食事意識について対応のあるt検定で検討した。共食,友食で有意に(したい方向に)変化した(p< .05)。一方,孤食は,事前より事後の点数が有意(p<.05)に減少していた(Fig.1)。共食促進教材の効果が示めされた。
<謝辞>本研究の実施について,平成28年度富山大学人間発達科学部卒業生古川みらいさんの協力を得ました。
本研究では,大学生対象の孤食・共食などの食事形態に関する調査研究と,共食促進教材による共食意識の上昇が図れるかを確認した研究を報告する。以下,一人での食事を「孤食」,家族での食事を「共食」,友達の食事を「友食」とする。
研究1
【目的】共食場面,友食場面,孤食場面に対する態度を,感情的なイメージで調査検討した。
【方法】<調査時期>2016年7月下旬<対象者>A大学の学生142名(男性41名,女性79名)
<質問紙>①性別,年齢,居住形態②食事に関する感情調査34項目②状況別の食事形態の評価③共食意識④食事場面選好の質問紙調査。<刺激>「孤食」,「友食」,「共食」のイメージ写真を教示中に提示。<手続き>心理学の講義時に,質問紙を一斉配布し教示を行って評価を求めた。回答について個人が特定されないこと,回答を中止する権利があることなど,説明を加えた。
【結果】34項目の感情評定から,主因子法Varimax回転で4因子を得た。第1因子「ポジティブ感情」,第2因子「孤食ネガティブ感情」,第3因子「対人ネガティブ感情」,第4因子「リラックス」と名付けた。4つの感情因子に対する尺度得点を計算し,3つの食事形態を比較した結果,①孤食は対人ネガティブ因子が高い,②友食にはポジティブ因子が高く,「緊張する」「落ち着かない」「疲れる」などの感情も高い,③共食はポジティブ因子とリラックス因子が有意に高い,という結果を得た。
共食意識の結果から,家族バラバラの食事を「よくない」,家族で食事をすることに「良い」と思う結果が得られ,過半数が共食や友食をしたいと思うと回答した。同時に,一人で食事をすることを好む大学生がいることも明らかになった。
研究2
【目的】共食教材を作成し,大学生の共食感の変化を測定した。
【方法】<調査時期>2016年12月<対象者>大学生48名(男性18名,女性25名)<質問紙>①性別,年齢,居住(下宿・実家)②共食感③食習慣,食事意識④食事場面選択動機⑤食事満足感からなる調査<共食促進教材>共食促進動画と共食についてのプレゼンテーション<手続き>国立大学Aにおける講義時に実施。事前質問紙に記入し,共食促進教材を視聴した後,事後調査を実施。
【結果】 共食感,食事意識について対応のあるt検定で検討した。共食,友食で有意に(したい方向に)変化した(p< .05)。一方,孤食は,事前より事後の点数が有意(p<.05)に減少していた(Fig.1)。共食促進教材の効果が示めされた。
<謝辞>本研究の実施について,平成28年度富山大学人間発達科学部卒業生古川みらいさんの協力を得ました。