10:00 〜 12:00
[PA75] 保育実践力に及ぼす保育実習後の保育に対する自信の影響
子どもや保育者への関わりに関する自信に注目して
キーワード:保育実践力, 保育実習, 自信
平成20年改訂の幼稚園教育要領や保育所保育指針では,現代の大きく変動する子どもの保育・教育環境を踏まえて,今まで以上に保育者の資質向上が求められ,保育者養成段階においても保育実践力を向上させていくことが大きな課題となっている。これを実現するためには,保育者志望学生の保育実践力向上にどのような要因が関与しているかを明らかにし,その要因をサポートするための教育環境や教育的処遇の具体的なあり方を改めて考え直す必要がある。そこで,本研究では保育実践力の重要な要素の一つであると考えられる子どもや保育者との関わりの側面に注目し,保育実習時におけるこれらに対する自信が保育実践力にどのように関与しているかについて検討する。
方 法
被調査者 被調査者は近畿地方にあるA大学の保育者養成学部の3年生130人であった。
調査内容 保育実習後に子どもや保育者とうまく関われた自信の程度を尺度評定で尋ねた。加えて,保育実習の直後に木村・田村・谷村(2016)の「保育実践力スタンダード(子どもとのかかわり編)」の“実践に必要なコミュニケーション能力”に関する33項目,“保育を計画する力”に関する17項目,“保育を展開する力”に関する16項目,について「非常によくあてはまる」から「全くあてはまらない」の6段階評定尺度での回答を求めた。
結果と考察
実習後の保育実践力を従属変数とし,「実習前の子どもへの関わりに対する自信」と,「実習前の保育者との関わりに対する自信」を独立変数とした重回帰分析を行った。表はその結果を示したものである。実習後の保育実践力(子どもとの関わり編)と実習後の子どもや保育者との関わりに関す
る自信との関係については,「実習後の子どもへの
関わりに対する自信」(β=0.456***),「実習前の保育者との関わりに対する自信」(β=0.386***)
との間にはともに影響が確認された(R2=0.508)。3つの因子との関係については,いずれの因子に関してもある程度の説明率が得られ,保育実践力の個々の構成因子への影響が確認された(コミュニケーション力:R2=0.455, 保育計画力:R2=0.437, 保育展開力:R2=0.341)。
これらの結果から,実習時の「子どもへの関わりに対する自信」や「保育者との関わりに対する自信」が保育実践力にポジティブな影響力を持つことが明らかにされた。つまり,保育者養成の段階では,保育実習時に子ども理解や子どもとの関わり方に関する知識や技能を高めることや,実習先の保育者とうまく関わる経験が不可欠であり,これらの経験によって,保育者志望学生の保育に関わる自信を高めることが重要であることが示唆されたといえよう。保育者養成段階においては,特に保育者志望学生が実習時に子どもへの関わりや保育者との関わりに自信を持てるように具体的なサポートのあり方を考えていくことが極めて重要であるといえる。そのためには,講義や演習を通して保育者志望学生に保育実践に関わる知識・技能を向上させることに加えて,保育実習先との連携をより密にし,実習時に学生が自信を持つことに繋がる実習指導のあり方を考えていく必要があることが示唆されたといえよう。
引用文献
木村直子・田村隆宏・谷村宏子(2016)「保育実践力スタンダード(子どもとのかかわり編)」作成に関する研究,日本保育学会第69回大会発表論文集,p299.
方 法
被調査者 被調査者は近畿地方にあるA大学の保育者養成学部の3年生130人であった。
調査内容 保育実習後に子どもや保育者とうまく関われた自信の程度を尺度評定で尋ねた。加えて,保育実習の直後に木村・田村・谷村(2016)の「保育実践力スタンダード(子どもとのかかわり編)」の“実践に必要なコミュニケーション能力”に関する33項目,“保育を計画する力”に関する17項目,“保育を展開する力”に関する16項目,について「非常によくあてはまる」から「全くあてはまらない」の6段階評定尺度での回答を求めた。
結果と考察
実習後の保育実践力を従属変数とし,「実習前の子どもへの関わりに対する自信」と,「実習前の保育者との関わりに対する自信」を独立変数とした重回帰分析を行った。表はその結果を示したものである。実習後の保育実践力(子どもとの関わり編)と実習後の子どもや保育者との関わりに関す
る自信との関係については,「実習後の子どもへの
関わりに対する自信」(β=0.456***),「実習前の保育者との関わりに対する自信」(β=0.386***)
との間にはともに影響が確認された(R2=0.508)。3つの因子との関係については,いずれの因子に関してもある程度の説明率が得られ,保育実践力の個々の構成因子への影響が確認された(コミュニケーション力:R2=0.455, 保育計画力:R2=0.437, 保育展開力:R2=0.341)。
これらの結果から,実習時の「子どもへの関わりに対する自信」や「保育者との関わりに対する自信」が保育実践力にポジティブな影響力を持つことが明らかにされた。つまり,保育者養成の段階では,保育実習時に子ども理解や子どもとの関わり方に関する知識や技能を高めることや,実習先の保育者とうまく関わる経験が不可欠であり,これらの経験によって,保育者志望学生の保育に関わる自信を高めることが重要であることが示唆されたといえよう。保育者養成段階においては,特に保育者志望学生が実習時に子どもへの関わりや保育者との関わりに自信を持てるように具体的なサポートのあり方を考えていくことが極めて重要であるといえる。そのためには,講義や演習を通して保育者志望学生に保育実践に関わる知識・技能を向上させることに加えて,保育実習先との連携をより密にし,実習時に学生が自信を持つことに繋がる実習指導のあり方を考えていく必要があることが示唆されたといえよう。
引用文献
木村直子・田村隆宏・谷村宏子(2016)「保育実践力スタンダード(子どもとのかかわり編)」作成に関する研究,日本保育学会第69回大会発表論文集,p299.