日本教育心理学会第59回総会

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ポスター発表 PB(01-83)

ポスター発表 PB(01-83)

2017年10月7日(土) 13:00 〜 15:00 白鳥ホールB (4号館1階)

13:00 〜 15:00

[PB61] アドベンチャー教育における体験学習サイクルのスパイラルアップと参加者の学びをより深化させる「学業支援ツール」の開発およびその活用事例

リフレクションと自己対峙の充実を目指して

石川国広1, 関智子2 (1.東京工業大学, 2.帝塚山大学)

キーワード:グループカウンセリング, 体験学習サイクル(ELC), 学業支援ツール(ELST)

はじめに
 我々は,長年に渉り体験教育・野外教育の実践と研究を行ってきた。その中で更なる傾聴能力と介入方法の向上を目指して,産業カウンセラー資格の取得や関連学会等の主宰する認知行動療法(CBT)や対人関係療法(IPT),体験学習研究会などの研修やワークショップを多数受講し,体験教育における場創りの改善とファシリテーション能力を磨いてきた。
 今回の発表では,所期の目標の達成を目指す一助として「学業支援ツール」を開発し,大学授業実践における事例を蓄積してきたので,その一部を報告する。

学業支援ツール(ELST)開発の背景
 体験教育・野外教育等の領域では,J.DeweyやD.A.Kolbらを始めとするELCをコアコンセプトとし,その循環と日常生活への応用を意図した教育実践や研究が多数蓄積されてきたことは,周知の事実である。
 しかし,その一方でELCがどの程度「参加者に意識化」され,考え方が理解され,日常生活に活用されているか等の検証には,まだまだ議論の余地が残る。
 近接する領域で経営学習論や経営組織論を専門とする中原(2010)や松尾(2011,2015)らは,我々と同様にELCに注目しつつ,大人の学びや職場で経験学習についてその詳細を探求・研究し,興味深い成果を公表している。
 そこで我々は,大学教育におけるリベラルアーツ領域のウェルネス科目(近接分野:保健体育 / 健康・スポーツ科目)や心理学部の専門教育,一般教養科目に分類される実習をより充実させるために,学業支援ツールの開発を試み(石川:2007,2014,2016),これまで試行錯誤を繰り返してきた。
ELSTの概要とその活用事例
 ELSTとは,参加者に対して,ELCをより意識化させると同時に,体験的な学習を繰り返しながらELCの理解を深めるために開発された支援ツールである。
 ELCは,一般的に「具体的経験」→「内省的観察」→「抽象的概念化」→「能動的実験」のサイクルを循環させる一連の流れのことであるが,このプロセスを具現化してリフレクションや内省を促すには,ファシリテーションスキルの質の高さは当然求められるが,併せて学生の学びを支援するツールを開発・活用した方が,学生の学びの深化に繋がっていくことを多くの教育実践から確認してきた。
 具体的な形式は,CBTを行う際の基本であるコラム表のようなもので,ごくシンプルであったとしても,確実に治療や学修に役立つものの開発が可能であり,授業内容や展開との連動を図れば,大きな成果が期待できる。
 今回の発表でご紹介する学業支援ツールは,「やったこと」→「感じたこと」→「気づいたこと・考えたこと」→「学んだこと」→「さて,次はどうする?」という流れで,リフレクション用のシートが作成されている。
 一連のトライアルの結果としては,当該科目のシラバスや配布資料等で取り上げている学修内容に関する学生の学びは当然あったが,それだけに止まることなく,それらを超越した振り返りや学びの深化,学びの個性化等の事例が多数あり,学生が自己や他者と対峙する一助となっていることが確認できた。
 発表では,それらの点も含めたより具体的な事例について取り上げながら,学生のリフレクションの内容について,皆さまと吟味・共有できるようにご報告する予定である。