15:30 〜 17:30
[PC21] 看護学生の死生観に関する調査
死別体験の有無による比較
キーワード:看護学生, 死生観
目 的
文部科学省(2004)は看護学教育の在り方に関する検討会の報告で,卒業時の到達度を項目ごとに示している。その中で「終末期にある人への援助」では,①身体的苦痛の除去,②死にゆく人の苦悩の緩和,③基本的欲求の充足,④死にゆく人の自己実現(希望の実現)への支援,⑤看取りをする家族への支援の5項目で構成されており,看護基礎教育でターミナルケアの充実が望まれている。終末期看護については,概念・理念,看護ケアに関する講義や演習を行う機会はあるが,死にゆく患者のプロセスに関わる時,患者の苦悩を傾聴し,受け入れ,共に歩む姿勢など看護師としての資質と,看護師自身の死生観が重要となってくる。
看護学生においての死生観は形状途上であり,生死についての考えや価値観については,祖父母や親せきなどの死別体験による自己洞察から影響される。本研究では,身近な人との死別体験の有無によって,看護学生の死生観に違いがあるかを調査することを目的とする。
研究方法
A短期大学3回生で同意が得られた80名を対象とした。平成29年4月に対象者に対し,無記名自記式質問紙調査を行った。調査内容は,年齢,身近な人の死別体験の有無,平井らが作成した死生観尺度の質問紙を使用し,また自己の死生観について自由記述を求めた。死生観尺度は,「死後の世界観」4項目,「死への恐怖・不安」4項目,「解放としての死」4項目,「死からの回避」4項目,「人生における目的意識」4項目,「死への関心」4項目,「寿命感」の3項目から構成された。各項目に対して「当てはまる」(7点)から「当てはまらない」(1点)の7件法で回答を求めた。死生観の下位尺度得点を死別体験の有無でt検定を用いて比較し,分析には,SPSS21.OJ for Windowsを用いて,有意水準を5%に設定した。
倫理的配慮
対象者に研究の目的,意義,方法,自由意思に
よる調査参加と不参加による不利益がし生じないことを保障した。また,目的以外にデータは使用しないことを口頭で説明し,質問紙の回収によって同意が得られたものとした。この研究は大阪信愛女学院短期大学の生命倫理委員会の承認を受け実施した。
結 果
尺度の妥当性を検討するために,α係数を算出し,「死への恐怖・不安」と「寿命感」から1項目ずつ削除して下位尺度得点を求めた。身近な人の死別体験の有無群の下位尺度得点(平均値とSD)をα係数とともに表1に表す。t検定の結果,「死後の世界観」「死への恐怖・不安」「解放としての死」「人生における目的意識」「死への関心」「寿命感」には差は見られなかったが,「死からの回避」に差がみられた。
考 察
「死からの回避」のみ差が見られた。これは,身近な人の「死」という体験により「死」に対して,危機を認知しているため,避けようとしているのではないかと考える。死生観は生まれ育った環境が大きく影響するといわれている。自由記述にも,「祖母が急変し死に対する恐怖を感じた。」「母親が亡くなり,怖くて未来が見えなくなった。」などと書かれており,身近な人の死別体験によって,死が対人援助における負の重要事項ととらえていることが考えられる。看護師は多様化した生死の場面に関わることも多いため,終末期看護の授業では,身近な人の死を受け入れられるように死への恐怖や思いついて語ること,また死別体験のない学生には,死を現実的にイメージ化させていくことが,死生観を深めることに繋がると考える。
文部科学省(2004)は看護学教育の在り方に関する検討会の報告で,卒業時の到達度を項目ごとに示している。その中で「終末期にある人への援助」では,①身体的苦痛の除去,②死にゆく人の苦悩の緩和,③基本的欲求の充足,④死にゆく人の自己実現(希望の実現)への支援,⑤看取りをする家族への支援の5項目で構成されており,看護基礎教育でターミナルケアの充実が望まれている。終末期看護については,概念・理念,看護ケアに関する講義や演習を行う機会はあるが,死にゆく患者のプロセスに関わる時,患者の苦悩を傾聴し,受け入れ,共に歩む姿勢など看護師としての資質と,看護師自身の死生観が重要となってくる。
看護学生においての死生観は形状途上であり,生死についての考えや価値観については,祖父母や親せきなどの死別体験による自己洞察から影響される。本研究では,身近な人との死別体験の有無によって,看護学生の死生観に違いがあるかを調査することを目的とする。
研究方法
A短期大学3回生で同意が得られた80名を対象とした。平成29年4月に対象者に対し,無記名自記式質問紙調査を行った。調査内容は,年齢,身近な人の死別体験の有無,平井らが作成した死生観尺度の質問紙を使用し,また自己の死生観について自由記述を求めた。死生観尺度は,「死後の世界観」4項目,「死への恐怖・不安」4項目,「解放としての死」4項目,「死からの回避」4項目,「人生における目的意識」4項目,「死への関心」4項目,「寿命感」の3項目から構成された。各項目に対して「当てはまる」(7点)から「当てはまらない」(1点)の7件法で回答を求めた。死生観の下位尺度得点を死別体験の有無でt検定を用いて比較し,分析には,SPSS21.OJ for Windowsを用いて,有意水準を5%に設定した。
倫理的配慮
対象者に研究の目的,意義,方法,自由意思に
よる調査参加と不参加による不利益がし生じないことを保障した。また,目的以外にデータは使用しないことを口頭で説明し,質問紙の回収によって同意が得られたものとした。この研究は大阪信愛女学院短期大学の生命倫理委員会の承認を受け実施した。
結 果
尺度の妥当性を検討するために,α係数を算出し,「死への恐怖・不安」と「寿命感」から1項目ずつ削除して下位尺度得点を求めた。身近な人の死別体験の有無群の下位尺度得点(平均値とSD)をα係数とともに表1に表す。t検定の結果,「死後の世界観」「死への恐怖・不安」「解放としての死」「人生における目的意識」「死への関心」「寿命感」には差は見られなかったが,「死からの回避」に差がみられた。
考 察
「死からの回避」のみ差が見られた。これは,身近な人の「死」という体験により「死」に対して,危機を認知しているため,避けようとしているのではないかと考える。死生観は生まれ育った環境が大きく影響するといわれている。自由記述にも,「祖母が急変し死に対する恐怖を感じた。」「母親が亡くなり,怖くて未来が見えなくなった。」などと書かれており,身近な人の死別体験によって,死が対人援助における負の重要事項ととらえていることが考えられる。看護師は多様化した生死の場面に関わることも多いため,終末期看護の授業では,身近な人の死を受け入れられるように死への恐怖や思いついて語ること,また死別体験のない学生には,死を現実的にイメージ化させていくことが,死生観を深めることに繋がると考える。