15:30 〜 17:30
[PC67] 子ども同士で感謝と賞賛を伝え合うPPR(Positive Peer Reporting)の有効性の検討
カードの記入枚数に着目した分析
キーワード:感謝, 賞賛, 学級経営
問題と目的
近年,子どものポジティブな行動に多くの関心がもたれ,研究が進められている(村上・西村・櫻井, 2016)。他者のポジティブな行動に対して感謝や賞賛を伝え合うことで,伝える側,伝えられる側ともに向社会的行動を動機づける(McCullough et al., 2001)。そして,二者関係において感謝や賞賛を伝え合うことで,その両者はその他の第三者に対してもポジティブな行動を取り,恩送り(pay it forward)が実現するという(Grant & Gino,2010)。ポジティブな友人関係を築くことによって,学習に対する意欲や学業達成が向上されていることも明らかにされている(Berndt,1999)。
このように,子ども同士での感謝や賞賛の伝え合いは有効であると推測されるが,これまでの研究で具体的にわが国の学校現場において検証された研究は見当たらない。
そこで本研究は,子ども同士で感謝と賞賛を伝え合うことを目的としてアメリカの学校現場で取り組まれているPPR(Positive Peer Reporting)に取り組み,子どもが記入したカード枚数が対人的感謝と学校適応に及ぼす影響を検討することを目的とした。
方 法
1.対象者:関西の都
市部近郊の公立小
学校5年生1学級30名を実施群とした。なお,本研究を開始するにあたり,学校長から研究の実施と研究成果の公表に関する承諾を得た。
2.実施スケジュール:授業実践はX年10月1日から29日までであった。質問紙調査は実施群,統制群に対して,実践前
の9月上旬(pre),実践後の11月下旬(post),フォローアップが実践開始5カ月後のX+1年2月下旬(follow-up)に行った。
3.質問紙:カード枚数が感謝と学校適応に及ぼす影響を検討するために対人的感謝尺度(藤原・村上・西村・濱口・櫻井, 2014)と,学校適応感尺度(山田・米沢, 2011)を用いた。実施群に対し取り組みを受けた感想について,記述を求めた。
結 果
カード枚数を説明変数,対人的感謝得点と学校環境適応感の各因子の得点を目的変数とした重回帰分析の結果をFigure1に示した。また対人的感謝尺度と,学校環境適応感尺度の平均値と標準偏差を算出し,カード枚数平均以上の多群とカード枚数平均未満の少群の事前,事後,フォローアップ,それぞれの1要因分散分析を行った分析の結果をTable2に示した。
考 察
結果より,ポジティブカードを多く記入することで,対人的感謝,友人サポートや向社会的行動,非侵害的関係が向上することが示された。このような開発的な取り組みを継続的に行うことは,学校教育において重要な視点であると指摘できる。Murphyら(2014)はPPRによって問題行動の低減と向社会的行動の増加という効果が考えられると指摘することから,問題行動や向社会的行動の実際を具体的に検討することも今後必要であろう。
近年,子どものポジティブな行動に多くの関心がもたれ,研究が進められている(村上・西村・櫻井, 2016)。他者のポジティブな行動に対して感謝や賞賛を伝え合うことで,伝える側,伝えられる側ともに向社会的行動を動機づける(McCullough et al., 2001)。そして,二者関係において感謝や賞賛を伝え合うことで,その両者はその他の第三者に対してもポジティブな行動を取り,恩送り(pay it forward)が実現するという(Grant & Gino,2010)。ポジティブな友人関係を築くことによって,学習に対する意欲や学業達成が向上されていることも明らかにされている(Berndt,1999)。
このように,子ども同士での感謝や賞賛の伝え合いは有効であると推測されるが,これまでの研究で具体的にわが国の学校現場において検証された研究は見当たらない。
そこで本研究は,子ども同士で感謝と賞賛を伝え合うことを目的としてアメリカの学校現場で取り組まれているPPR(Positive Peer Reporting)に取り組み,子どもが記入したカード枚数が対人的感謝と学校適応に及ぼす影響を検討することを目的とした。
方 法
1.対象者:関西の都
市部近郊の公立小
学校5年生1学級30名を実施群とした。なお,本研究を開始するにあたり,学校長から研究の実施と研究成果の公表に関する承諾を得た。
2.実施スケジュール:授業実践はX年10月1日から29日までであった。質問紙調査は実施群,統制群に対して,実践前
の9月上旬(pre),実践後の11月下旬(post),フォローアップが実践開始5カ月後のX+1年2月下旬(follow-up)に行った。
3.質問紙:カード枚数が感謝と学校適応に及ぼす影響を検討するために対人的感謝尺度(藤原・村上・西村・濱口・櫻井, 2014)と,学校適応感尺度(山田・米沢, 2011)を用いた。実施群に対し取り組みを受けた感想について,記述を求めた。
結 果
カード枚数を説明変数,対人的感謝得点と学校環境適応感の各因子の得点を目的変数とした重回帰分析の結果をFigure1に示した。また対人的感謝尺度と,学校環境適応感尺度の平均値と標準偏差を算出し,カード枚数平均以上の多群とカード枚数平均未満の少群の事前,事後,フォローアップ,それぞれの1要因分散分析を行った分析の結果をTable2に示した。
考 察
結果より,ポジティブカードを多く記入することで,対人的感謝,友人サポートや向社会的行動,非侵害的関係が向上することが示された。このような開発的な取り組みを継続的に行うことは,学校教育において重要な視点であると指摘できる。Murphyら(2014)はPPRによって問題行動の低減と向社会的行動の増加という効果が考えられると指摘することから,問題行動や向社会的行動の実際を具体的に検討することも今後必要であろう。