3:30 PM - 5:30 PM
[PC68] 通常学級における集団随伴性の適用
授業開始時の適応行動の増加を目指した取り組み
Keywords:PBS, 学級経営, 適応行動
問題と目的
学校における子どもの問題行動の増加が注目されている。特に教室内では,授業を受けることが難しい児童や,他の児童の学習を妨害する児童が見られる。このような問題を抱えた児童が増加することによる学級崩壊という現象は,わが国において大きな問題となっている(河村, 1999)。
近年,日本の通常学級において応用行動分析に基づく学級マネジメントに関する介入研究が実践され,その効果が実証されている。その中の一つに「集団随伴性」を用いた介入研究があり,授業妨害行動の減少に対する効果が実証されている(田中・鈴木・嶋崎・松見, 2010)。本研究では,小学4年生の通常学級において,授業開始時の適応行動(話を聞く,必要物を用意する)の増加のために,集団随伴性を用いた「グーチャレンジ」の手続きを含む介入パッケージを実施し,その効果を検証した。
方 法
1.対象者: 公立小学校の4年生31名であった。
2.実施スケジュール: ベースライン及び導入と介入は,20XX年10月から2月まで行った。
3.標的行動: 標的行動は授業準備行動と授業開始時に全ての児童が静かになるまでの時間であった。
4.行動の指標: 授業開始時に全ての児童が静かになる(発言の非生起)までの時間と,授業開始3分後の授業準備行動(必要物を机上に出す)を算数の少人数担当教員が測定した。なお,静かになるまでの時間の測定は3分が上限だった。
5.介入: 導入期では,上手な話の聞き方の授業実施後に,上手な話の聞き方(5項目)の掲示を行った。介入期では,これに加えて,集団随伴性を用いた「グーチャレンジ」の手続きを実施した。グーチャレンジでは,授業開始直後,一定時間 (30秒)内に授業準備と上手な聞き方ができたグループに対してポイント(花びら)が提示された。児童は,担任からの聞く準備の合図(グーをした手を挙げる)に対して,授業準備と上手な聞き方ができたことを同様の合図によって担任に知らせた。担任は,合図を示した児童に対して,積極的に言語賞賛を行った。ポイントは5ポイントたまると,花になり,学級の花丸の1つに換算された。花丸が100個たまると,学級内で宿題なしや席替えなど,が提示された。
結果及び考察
Figure 1に授業開始時に全ての児童が静かになるまでの時間と3分以内に授業準備ができた人数の割合の推移を示す。授業開始時に全ての児童が静かになるまでの時間は,ベースライン期は平均して139秒かかっていたが,導入期では平均60秒,介入期では平均81秒とベースライン期と比較して短縮した。また,3分以内に授業準備ができた人数の割合は,ベースライン期は平均11%,導入期では平均0%であったが,介入期では平均90%とベースライン期と比較して増加した。結果から,集団随伴性を用いた「グーチャレンジ」の手続きを含む介入パッケージが,授業開始時の適応行動の改善に対して効果があることが示された。
学校における子どもの問題行動の増加が注目されている。特に教室内では,授業を受けることが難しい児童や,他の児童の学習を妨害する児童が見られる。このような問題を抱えた児童が増加することによる学級崩壊という現象は,わが国において大きな問題となっている(河村, 1999)。
近年,日本の通常学級において応用行動分析に基づく学級マネジメントに関する介入研究が実践され,その効果が実証されている。その中の一つに「集団随伴性」を用いた介入研究があり,授業妨害行動の減少に対する効果が実証されている(田中・鈴木・嶋崎・松見, 2010)。本研究では,小学4年生の通常学級において,授業開始時の適応行動(話を聞く,必要物を用意する)の増加のために,集団随伴性を用いた「グーチャレンジ」の手続きを含む介入パッケージを実施し,その効果を検証した。
方 法
1.対象者: 公立小学校の4年生31名であった。
2.実施スケジュール: ベースライン及び導入と介入は,20XX年10月から2月まで行った。
3.標的行動: 標的行動は授業準備行動と授業開始時に全ての児童が静かになるまでの時間であった。
4.行動の指標: 授業開始時に全ての児童が静かになる(発言の非生起)までの時間と,授業開始3分後の授業準備行動(必要物を机上に出す)を算数の少人数担当教員が測定した。なお,静かになるまでの時間の測定は3分が上限だった。
5.介入: 導入期では,上手な話の聞き方の授業実施後に,上手な話の聞き方(5項目)の掲示を行った。介入期では,これに加えて,集団随伴性を用いた「グーチャレンジ」の手続きを実施した。グーチャレンジでは,授業開始直後,一定時間 (30秒)内に授業準備と上手な聞き方ができたグループに対してポイント(花びら)が提示された。児童は,担任からの聞く準備の合図(グーをした手を挙げる)に対して,授業準備と上手な聞き方ができたことを同様の合図によって担任に知らせた。担任は,合図を示した児童に対して,積極的に言語賞賛を行った。ポイントは5ポイントたまると,花になり,学級の花丸の1つに換算された。花丸が100個たまると,学級内で宿題なしや席替えなど,が提示された。
結果及び考察
Figure 1に授業開始時に全ての児童が静かになるまでの時間と3分以内に授業準備ができた人数の割合の推移を示す。授業開始時に全ての児童が静かになるまでの時間は,ベースライン期は平均して139秒かかっていたが,導入期では平均60秒,介入期では平均81秒とベースライン期と比較して短縮した。また,3分以内に授業準備ができた人数の割合は,ベースライン期は平均11%,導入期では平均0%であったが,介入期では平均90%とベースライン期と比較して増加した。結果から,集団随伴性を用いた「グーチャレンジ」の手続きを含む介入パッケージが,授業開始時の適応行動の改善に対して効果があることが示された。