10:00 AM - 12:00 PM
[PD33] 看護学生の学習における困難要因へのコーチング教育の効果の検討
Keywords:コーチング教育
はじめに
教員は,看護学生個々の個性や能力,つまりその人自身と真っ向から向き合い,看護学生が自ら学習課題を見出すきっかけや困難さへの対応について,効果的な教育方法を考えていかなければならいと実感している。そこで,看護学生の学習過程における困難要因を明らかにし,その解決法の手段や課題を見出し,効果的な教育活動を行うための礎にする。
概 要
文献検索は,医中誌web,CiNiiを用いて,2005年から2015年までの文献から「コーチング」「看護学生」「教育」をキーワードにし,看護文献,原著論文に絞り検索した。また,上記と同じデータベースを用いて同期間の文献から,「看護教育」「コーチング教育」をキーワードにし,看護文献,原著論文に絞り検索した。
結果,考察
「コーチング」「看護教育」において文献検索を実施し,医中誌1篇,CiNiiで9篇がヒットし,この中から重複論文,総説,会議録等を除外し9篇を分析対象とした。また,「コーチング」「看護学生」「教育」において文献検索を実施し,医中誌13篇,CiNiiで2篇がヒットし,この中から重複論文,総説,会議録等を除外し8篇を分析対象とした。 さらに両方の共通の文献を洗い出し,「看護学生」に関する文献8件を最終分析対象とした。分析対象の特性は,臨床実習を対象にした研究は4篇(50%),講義・演習を対象にした研究は2篇(25%),SAT療法を用いた事例研究は2篇(25%)であった。実験研究は1篇,質的研究は1篇であった。量的研究は4篇,事例研究は2篇,であった。講義・演習を対象にした研究では,いずれも車椅子に関連する研究であった。看護学生の車椅子移乗技術習得過程におけるコーチングソフトウェアを用いた熟練者の映像と学習者の映像を同時に再生するビデオフィードバックの有効性を明らかにする研究と「車椅子移乗」と「水平移動」に着目し,初学者の学習過程における困難要因を明らかにし,その解決法の手段としての看護技術の可視化の有効性を明らかにする研究であった。SAT療法を用いた事例研究では,看護学生にとって臨地実習は特殊な学習環境であり,学びも多いがストレスフルな状況であり,この中で,ストレスから学び,成長,助け合いなどという自己から評価や報酬をえて,その人らしいキャリア形成へと成長する過程を観察しながら看護学実習前後の介入効果を検証していた。臨床実習を対象にした研究は最も多く,いかに実習の場が,学生にとってストレスフルな環境であり,教員側においては体験から通した学びは学生にとって大きいため,サポートしながら,実習を進めていくことで,学生の自己表現度が高まり,相手の気質を理解したケアができるように成長していったことも示唆されている。また,一方では,看護学生に情動への介入とSAT気質コーチング法を行った。仮定法を用い,無条件に守護されるイメージと母親の代理表象により,母親の情緒的支援認知度が高まり,自己肯定的なイメージが持続し,思考が変容した。その結果,メンタヘルスが改善したと示唆されている。看護学生にとって臨地実習は特殊な学習環境であり,学びも多いがストレスフルな状況にあり,そのような状況の中で,メンタルヘルスを悪化させる傾向にある。この中で,ストレスから学び,成長,助け合いなどという自己から評価や報酬をえて,喜びをもてる自己になる必要がある。それには他者から評価や報酬を得るために周りに察しを求める(対人依存型行動特性),自分の感情を犠牲にする(自己抑制型行動特性),問題を先送りする(問題回避型行動特性)などの他者報酬型行動特性を低減させる必要がある。これを念頭においてSAT気質コーチング法とSATイメージ療法の介入により,臨地実習というストレスフルな環境であっても,肯定的自己イメージが持続するので,SAT法を用いた介入が有効であったことから,様々な視点で看護学生へのコーチング教育は行われ,効果得ていると判断できた。
ま と め
看護学生のコーチング教育を行う上で,どのような状況下で,看護学生がストレスフルな場に置かれているのかを見極めたり,学生が困難を示す場面において,どのような介入や期間,時間を要すればよいのか,個別や集団での学生に合わせた対応による目的達成等,コーチング教育に可能性を見出すことができたのではないかと考える.学生の心理面やレディネス等の関連性も考慮したコーチングについて,今後の課題とする。
参考文献・引用文献
1)内海千鶴,掛橋千賀子,藤野文代,臨地実習における看護学生の患者へのケアリングの実践,ヒューマンケア研究学会誌,7(2),19-25,2016。2)渡部洋子,SAT法を用いた看護学生のキャリア教育看護学実習前後の介入効果,ヘルスカウンセリング学会年報(15),23-30,2009。
教員は,看護学生個々の個性や能力,つまりその人自身と真っ向から向き合い,看護学生が自ら学習課題を見出すきっかけや困難さへの対応について,効果的な教育方法を考えていかなければならいと実感している。そこで,看護学生の学習過程における困難要因を明らかにし,その解決法の手段や課題を見出し,効果的な教育活動を行うための礎にする。
概 要
文献検索は,医中誌web,CiNiiを用いて,2005年から2015年までの文献から「コーチング」「看護学生」「教育」をキーワードにし,看護文献,原著論文に絞り検索した。また,上記と同じデータベースを用いて同期間の文献から,「看護教育」「コーチング教育」をキーワードにし,看護文献,原著論文に絞り検索した。
結果,考察
「コーチング」「看護教育」において文献検索を実施し,医中誌1篇,CiNiiで9篇がヒットし,この中から重複論文,総説,会議録等を除外し9篇を分析対象とした。また,「コーチング」「看護学生」「教育」において文献検索を実施し,医中誌13篇,CiNiiで2篇がヒットし,この中から重複論文,総説,会議録等を除外し8篇を分析対象とした。 さらに両方の共通の文献を洗い出し,「看護学生」に関する文献8件を最終分析対象とした。分析対象の特性は,臨床実習を対象にした研究は4篇(50%),講義・演習を対象にした研究は2篇(25%),SAT療法を用いた事例研究は2篇(25%)であった。実験研究は1篇,質的研究は1篇であった。量的研究は4篇,事例研究は2篇,であった。講義・演習を対象にした研究では,いずれも車椅子に関連する研究であった。看護学生の車椅子移乗技術習得過程におけるコーチングソフトウェアを用いた熟練者の映像と学習者の映像を同時に再生するビデオフィードバックの有効性を明らかにする研究と「車椅子移乗」と「水平移動」に着目し,初学者の学習過程における困難要因を明らかにし,その解決法の手段としての看護技術の可視化の有効性を明らかにする研究であった。SAT療法を用いた事例研究では,看護学生にとって臨地実習は特殊な学習環境であり,学びも多いがストレスフルな状況であり,この中で,ストレスから学び,成長,助け合いなどという自己から評価や報酬をえて,その人らしいキャリア形成へと成長する過程を観察しながら看護学実習前後の介入効果を検証していた。臨床実習を対象にした研究は最も多く,いかに実習の場が,学生にとってストレスフルな環境であり,教員側においては体験から通した学びは学生にとって大きいため,サポートしながら,実習を進めていくことで,学生の自己表現度が高まり,相手の気質を理解したケアができるように成長していったことも示唆されている。また,一方では,看護学生に情動への介入とSAT気質コーチング法を行った。仮定法を用い,無条件に守護されるイメージと母親の代理表象により,母親の情緒的支援認知度が高まり,自己肯定的なイメージが持続し,思考が変容した。その結果,メンタヘルスが改善したと示唆されている。看護学生にとって臨地実習は特殊な学習環境であり,学びも多いがストレスフルな状況にあり,そのような状況の中で,メンタルヘルスを悪化させる傾向にある。この中で,ストレスから学び,成長,助け合いなどという自己から評価や報酬をえて,喜びをもてる自己になる必要がある。それには他者から評価や報酬を得るために周りに察しを求める(対人依存型行動特性),自分の感情を犠牲にする(自己抑制型行動特性),問題を先送りする(問題回避型行動特性)などの他者報酬型行動特性を低減させる必要がある。これを念頭においてSAT気質コーチング法とSATイメージ療法の介入により,臨地実習というストレスフルな環境であっても,肯定的自己イメージが持続するので,SAT法を用いた介入が有効であったことから,様々な視点で看護学生へのコーチング教育は行われ,効果得ていると判断できた。
ま と め
看護学生のコーチング教育を行う上で,どのような状況下で,看護学生がストレスフルな場に置かれているのかを見極めたり,学生が困難を示す場面において,どのような介入や期間,時間を要すればよいのか,個別や集団での学生に合わせた対応による目的達成等,コーチング教育に可能性を見出すことができたのではないかと考える.学生の心理面やレディネス等の関連性も考慮したコーチングについて,今後の課題とする。
参考文献・引用文献
1)内海千鶴,掛橋千賀子,藤野文代,臨地実習における看護学生の患者へのケアリングの実践,ヒューマンケア研究学会誌,7(2),19-25,2016。2)渡部洋子,SAT法を用いた看護学生のキャリア教育看護学実習前後の介入効果,ヘルスカウンセリング学会年報(15),23-30,2009。