10:00 〜 12:00
[PD43] 教師の授業内コミュニケーションと授業改善の関連2
教師の授業内コミュニケーションの実際
キーワード:教師の指導行動, 授業内コミュニケーション, 授業改善
目 的
小学校の教師が,授業内にどのようなコミュニケーションをとっているのかを,ポスター1に示した行動コーディングにより分類し,課題と授業改善について考察する。
方 法
1 対象となる授業・教師と実施時期
対象者及び授業;A地域内立小学校学級担任教師及びB地域内の公立小学校教師各1名の同じ学年の同じ単元の国語の授業の1単位時間
実施時期 2017年2月
2分析方法
撮影した授業の画像及び音声からトランスクリプトを作成し,教師の言語的コミュニケーションをポスター1に示した言語コミュニケーションの分類項目に従って,研究者2名が協議し,分類・整理した。今回は,授業改善との関連を考察することを目的としたため,業務的カテゴリーについての検討を行った。
結 果
1 全体的な傾向
教師Aの方が,授業内の発話が多い。単純比較では教師Bの1.5倍の発話量があった。
2 項目ごとの実態
(1)学習内容伝達スキル
教師A教師B共に,「指示」の回数が
最も多く,次いで「提示」となっており,「オ
「オリエンテーション」,「説明」の回数は,
少ない。
(2)理解把握スキル
「確認」が最も多く,「閉じられた質問1」「閉じられた質問2」の順となっている。
(3)学習カウンセリングスキル
「学習上の助言」の回数が最も多かった。
考 察
小学校教師の授業内のコミュニケーションは,
ションは,同じ学年,同じ教材を扱っていても
大きく異なっている。教師Aは,小刻みに「指示」「質問」を与えることによって,子どもの活動の枠組みを,細かく作っている。
教師Bは,教師Aに比べて「指示」「提示」は多くないが,区切りごとに「説明」「オリエンテーション」を入れ,一つの課題から次の課題へと転換させていた。
授業時間全体では,教師Bよりも教師Aの「学習上の助言(机間指導)」の時間の占める割合が多く,教師Bは,「確認」が多かった。
教師Aの発話は,子どもの話し合い活動に向けての「指示」「質問」で構成されているのに対し,教師Bの発話は,「文章を要約する」仕方についての「確認」「説明」で構成されていた。
こうした質的な違いは,授業の目的への志向性によってさらに検討する必要があると考える。例えば,この国語の授業は,文章の要約をすることについての理解や要約するスキルを扱うものである。教材をどのように子どもに提供していくのかについての考え方が,授業内の教師のコミュニケーションの違いとして現れている。
教師は,自らの授業内の発話を,子どもたちに向けた,かつ授業の目標達成という志向性をもったコミュニケーションとして,明確に意識しているとは言えない。授業内コミュニケーションは,子どもの学習の理解に深く関わっている。今後,教師の授業内コミュニケーションの意味を明らかにすることによって,授業改善の手がかりを得たいと考えている。
小学校の教師が,授業内にどのようなコミュニケーションをとっているのかを,ポスター1に示した行動コーディングにより分類し,課題と授業改善について考察する。
方 法
1 対象となる授業・教師と実施時期
対象者及び授業;A地域内立小学校学級担任教師及びB地域内の公立小学校教師各1名の同じ学年の同じ単元の国語の授業の1単位時間
実施時期 2017年2月
2分析方法
撮影した授業の画像及び音声からトランスクリプトを作成し,教師の言語的コミュニケーションをポスター1に示した言語コミュニケーションの分類項目に従って,研究者2名が協議し,分類・整理した。今回は,授業改善との関連を考察することを目的としたため,業務的カテゴリーについての検討を行った。
結 果
1 全体的な傾向
教師Aの方が,授業内の発話が多い。単純比較では教師Bの1.5倍の発話量があった。
2 項目ごとの実態
(1)学習内容伝達スキル
教師A教師B共に,「指示」の回数が
最も多く,次いで「提示」となっており,「オ
「オリエンテーション」,「説明」の回数は,
少ない。
(2)理解把握スキル
「確認」が最も多く,「閉じられた質問1」「閉じられた質問2」の順となっている。
(3)学習カウンセリングスキル
「学習上の助言」の回数が最も多かった。
考 察
小学校教師の授業内のコミュニケーションは,
ションは,同じ学年,同じ教材を扱っていても
大きく異なっている。教師Aは,小刻みに「指示」「質問」を与えることによって,子どもの活動の枠組みを,細かく作っている。
教師Bは,教師Aに比べて「指示」「提示」は多くないが,区切りごとに「説明」「オリエンテーション」を入れ,一つの課題から次の課題へと転換させていた。
授業時間全体では,教師Bよりも教師Aの「学習上の助言(机間指導)」の時間の占める割合が多く,教師Bは,「確認」が多かった。
教師Aの発話は,子どもの話し合い活動に向けての「指示」「質問」で構成されているのに対し,教師Bの発話は,「文章を要約する」仕方についての「確認」「説明」で構成されていた。
こうした質的な違いは,授業の目的への志向性によってさらに検討する必要があると考える。例えば,この国語の授業は,文章の要約をすることについての理解や要約するスキルを扱うものである。教材をどのように子どもに提供していくのかについての考え方が,授業内の教師のコミュニケーションの違いとして現れている。
教師は,自らの授業内の発話を,子どもたちに向けた,かつ授業の目標達成という志向性をもったコミュニケーションとして,明確に意識しているとは言えない。授業内コミュニケーションは,子どもの学習の理解に深く関わっている。今後,教師の授業内コミュニケーションの意味を明らかにすることによって,授業改善の手がかりを得たいと考えている。