16:00 〜 18:00
[PF46] 就職活動中の大学3年生における大学受験の捉え方とキャリア選択自己効力の関係(2)
就職活動期間の縦断的研究
キーワード:キャリア選択自己効力, 大学受験, 就職活動
目 的
秋山(2017)はキャリア選択自己効力に影響する要因として,同じ進路選択行動であり時間的にも近い大学受験を取り上げ,就職活動中の大学生を対象に検討を行った。その結果,大学受験の捉え方の下位因子の内,努力経験のみ自己効力と正の相関が認められ,就職活動中の大学生においても,大学受験を一生懸命頑張ったと認識していることと就職活動において困難にあっても頑張れる自信とが関連していることが示唆された。また,同じく下位因子である受験期不安経験と努力経験の間には正の相関が示された。しかし,それら努力経験と不安経験の関係と自己効力との詳細な分析には至っていない。
そこで本研究では,就職活動中の大学生を対象に努力経験と受験期不安経験の高低によって群分けを行い,就職活動中の自己効力との関係について4回にわたる縦断データを元に検討する。
方 法
参加者 関東圏内の私立大学A・Bに通う就職活動中の大学生110名のうち,全4回の調査に参加し,第4回調査までに就職活動の行動指標が0と回答した1名を除いた 77名(男性52名,女性25名)を分析対象とした。
調査時期と手続き 第1回調査:2016年3月下旬~5月,第2回:同6月下旬~7月,第3回:8月下旬~9月,第4回:10月下旬~12月の計4回において,心理学の授業を履修していた学生を対象に事前に調査協力依頼を行い,同意を得られた参加者に対してWeb上での回答を依頼した。回答は参加者自身がPC及びスマートフォンを利用して,回答を行った。
使用測度 1.大学受験の捉え方:秋山(2017)での因子分析の結果得られた14項目(努力経験6項目,受験期不安経験6項目,結果の解釈2項目)を採用した。5件法。2.キャリア選択自己効力:安達(2001),花井(2008)より就職活動を粘り強く遂行する自信があるかを尋ねる12項目を使用した。5件法。その中から,項目間の相関係数が低かった2項目を除いた10項目を分析の対象とした。
結果と考察
初めに,大学受験の捉え方から努力経験(M=3.00)と受験期不安経験(M=3.28)の各平均値を基準に群分けを行い,努力高・不安高群(n=32),努力高・不安低群(n=12),努力低・不安高群(n=15),努力低・不安低群(n=18)を設定した。
次に,設定した各群を独立変数,各調査回のキャリア選択自己効力を従属変数とした一元配置の分散分析を行った。その結果,第1回調査(F(3,73)=2.887,p<.05)と第3回調査(F(3,73)=3.092, p<.05)で有意差が認められた。多重比較を行ったところ,第1回調査では努力高・不安低群(M=3.95)>努力低・不安高群(M=3.14),第3回調査では努力高・不安高群(M=3.72)>努力低・不安高群(M=2.99)の間で有意差がみられた。各調査回における自己効力の平均値と多重比較の結果をTable1に示す。
以上の結果から,就職活動の開始時期においては,大学受験で努力をしていたと感じ,受験期間にあまり不安を感じていなかった人の方が,受験であまり努力しなかったと感じ,不安を高く感じていた人よりも,就職活動に粘り強く取り組む自信が高いことが示された。これはBandura(1977)の説明とも一致する結果となった。
一方,就職活動の終盤においては,受験期間に不安を同じように高く感じていたとしても,大学合格のために努力をしていたと感じている人の方がそうでない人よりも,就職活動を粘り強く遂行することへの自信が高いことが示された。このことから,長期にわたる活動の終盤においては,以前の関連する遂行での不安の有無よりも,一生懸命努力していたという認識こそが,現在の遂行への自信にとって重要であると考えられる。
秋山(2017)はキャリア選択自己効力に影響する要因として,同じ進路選択行動であり時間的にも近い大学受験を取り上げ,就職活動中の大学生を対象に検討を行った。その結果,大学受験の捉え方の下位因子の内,努力経験のみ自己効力と正の相関が認められ,就職活動中の大学生においても,大学受験を一生懸命頑張ったと認識していることと就職活動において困難にあっても頑張れる自信とが関連していることが示唆された。また,同じく下位因子である受験期不安経験と努力経験の間には正の相関が示された。しかし,それら努力経験と不安経験の関係と自己効力との詳細な分析には至っていない。
そこで本研究では,就職活動中の大学生を対象に努力経験と受験期不安経験の高低によって群分けを行い,就職活動中の自己効力との関係について4回にわたる縦断データを元に検討する。
方 法
参加者 関東圏内の私立大学A・Bに通う就職活動中の大学生110名のうち,全4回の調査に参加し,第4回調査までに就職活動の行動指標が0と回答した1名を除いた 77名(男性52名,女性25名)を分析対象とした。
調査時期と手続き 第1回調査:2016年3月下旬~5月,第2回:同6月下旬~7月,第3回:8月下旬~9月,第4回:10月下旬~12月の計4回において,心理学の授業を履修していた学生を対象に事前に調査協力依頼を行い,同意を得られた参加者に対してWeb上での回答を依頼した。回答は参加者自身がPC及びスマートフォンを利用して,回答を行った。
使用測度 1.大学受験の捉え方:秋山(2017)での因子分析の結果得られた14項目(努力経験6項目,受験期不安経験6項目,結果の解釈2項目)を採用した。5件法。2.キャリア選択自己効力:安達(2001),花井(2008)より就職活動を粘り強く遂行する自信があるかを尋ねる12項目を使用した。5件法。その中から,項目間の相関係数が低かった2項目を除いた10項目を分析の対象とした。
結果と考察
初めに,大学受験の捉え方から努力経験(M=3.00)と受験期不安経験(M=3.28)の各平均値を基準に群分けを行い,努力高・不安高群(n=32),努力高・不安低群(n=12),努力低・不安高群(n=15),努力低・不安低群(n=18)を設定した。
次に,設定した各群を独立変数,各調査回のキャリア選択自己効力を従属変数とした一元配置の分散分析を行った。その結果,第1回調査(F(3,73)=2.887,p<.05)と第3回調査(F(3,73)=3.092, p<.05)で有意差が認められた。多重比較を行ったところ,第1回調査では努力高・不安低群(M=3.95)>努力低・不安高群(M=3.14),第3回調査では努力高・不安高群(M=3.72)>努力低・不安高群(M=2.99)の間で有意差がみられた。各調査回における自己効力の平均値と多重比較の結果をTable1に示す。
以上の結果から,就職活動の開始時期においては,大学受験で努力をしていたと感じ,受験期間にあまり不安を感じていなかった人の方が,受験であまり努力しなかったと感じ,不安を高く感じていた人よりも,就職活動に粘り強く取り組む自信が高いことが示された。これはBandura(1977)の説明とも一致する結果となった。
一方,就職活動の終盤においては,受験期間に不安を同じように高く感じていたとしても,大学合格のために努力をしていたと感じている人の方がそうでない人よりも,就職活動を粘り強く遂行することへの自信が高いことが示された。このことから,長期にわたる活動の終盤においては,以前の関連する遂行での不安の有無よりも,一生懸命努力していたという認識こそが,現在の遂行への自信にとって重要であると考えられる。