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[PG04] 心理教育“サクセスフル・セルフ”を活用した 小学校低学年の保護者への子育て支援に関する検討
キーワード:心理教育, 親子コミュニケーション, 子育て支援
はじめに
近年,子育て支援への様々なアプローチが注目されている(所,2004)が,親子コミュニケーションを図ることが親子関係作りの重要なポイントになり子育て支援に繋がることが明らかになっている(米澤,2004)。“サクセスフル・セルフ”は,いじめやうつ等の心理行動上の問題を予防し,心の健康を保持する可能性が示されている心理教育である(安藤,2015)。プログラム実践と合わせて実施される親子で行うホームワークは,親子の良好なコミュニケーションを育む可能性が示されている(岡﨑・安藤,2014)。今回は,この取組みでの子育て支援への可能性を検討することを目的とした。
方 法
対象:中国地方のA小学校1年生2学級児童48名とその保護者48名,2年生2学級児童36名とその保護者36名である。
実施方法:“サクセスフル・セルフ”は,2016年9月から11月に凡そ週1回,1時限(45分)で2時限,学級担任のサポートのもと養護教諭によって学級単位で行われた。親子で行うホームワークは,“サクセスフル・セルフ”で学習したことをもとに,親子間コミュニケーションを図ることを目的に,各レッスン終了後の2回(1週間毎日)取り組んだ。表1に1,2年生のレッスンのテーマ,ねらい,ホームワークの内容を示した。
評価:児童と保護者は同じワークシート内に1週間毎日,取組みを「よくできた◎」「できた〇」「できなくて残念△」で自己評価し,さらに1週間の感想を記述した。また,保護者は取組みが子育てのヒントに「なった=4」から「ならなかった=0」の5段階で評価した。
倫理的配慮:本取組みに関しては,保護者への理解と協力,実施校の管理者および学級担任,児童への理解と同意を得て行われた。
結果と考察
心理教育“サクセスフル・セルフ”の1回目,2回目の各目標に対する児童と保護者の自己評価得点の平均(得点範囲0~2)は児童1.17~1.75,保護者1.23~1.41,保護者の子育てのヒントになった程度の評価得点の平均(得点範囲0~4)は3.13~3.48で,いずれも中程度以上に目標を達成できたと評価していた。
感想についてはKJ法(川喜田,1967)にて内容分析を行った。保護者では「子育ての課題の発見」「行動改善の転機」等のカテゴリが生成された。
親子で行うホームワークを取り入れた“サクセスフル・セルフ”の実践は,親子間コミュニケーションの促進の支援になるだけでなく,保護者の子育て支援に繋がる可能性が示唆された。
文 献
安藤美華代.(2015).児童生徒のいじめ・うつを予防する心理教育“サクセスフル・セルフ”第2版.岡山大学出版会.
川喜田二郎.(1967).発想法:創造性開発のために.中央公論社.
岡﨑由美子,安藤美華代.(2014).心理教育サクセスフル・セルフ”を活用した小学校低学年の親子コミュニケーション支援の試み.岡山大学教師教育開発センター紀要.4巻p56-62.
近年,子育て支援への様々なアプローチが注目されている(所,2004)が,親子コミュニケーションを図ることが親子関係作りの重要なポイントになり子育て支援に繋がることが明らかになっている(米澤,2004)。“サクセスフル・セルフ”は,いじめやうつ等の心理行動上の問題を予防し,心の健康を保持する可能性が示されている心理教育である(安藤,2015)。プログラム実践と合わせて実施される親子で行うホームワークは,親子の良好なコミュニケーションを育む可能性が示されている(岡﨑・安藤,2014)。今回は,この取組みでの子育て支援への可能性を検討することを目的とした。
方 法
対象:中国地方のA小学校1年生2学級児童48名とその保護者48名,2年生2学級児童36名とその保護者36名である。
実施方法:“サクセスフル・セルフ”は,2016年9月から11月に凡そ週1回,1時限(45分)で2時限,学級担任のサポートのもと養護教諭によって学級単位で行われた。親子で行うホームワークは,“サクセスフル・セルフ”で学習したことをもとに,親子間コミュニケーションを図ることを目的に,各レッスン終了後の2回(1週間毎日)取り組んだ。表1に1,2年生のレッスンのテーマ,ねらい,ホームワークの内容を示した。
評価:児童と保護者は同じワークシート内に1週間毎日,取組みを「よくできた◎」「できた〇」「できなくて残念△」で自己評価し,さらに1週間の感想を記述した。また,保護者は取組みが子育てのヒントに「なった=4」から「ならなかった=0」の5段階で評価した。
倫理的配慮:本取組みに関しては,保護者への理解と協力,実施校の管理者および学級担任,児童への理解と同意を得て行われた。
結果と考察
心理教育“サクセスフル・セルフ”の1回目,2回目の各目標に対する児童と保護者の自己評価得点の平均(得点範囲0~2)は児童1.17~1.75,保護者1.23~1.41,保護者の子育てのヒントになった程度の評価得点の平均(得点範囲0~4)は3.13~3.48で,いずれも中程度以上に目標を達成できたと評価していた。
感想についてはKJ法(川喜田,1967)にて内容分析を行った。保護者では「子育ての課題の発見」「行動改善の転機」等のカテゴリが生成された。
親子で行うホームワークを取り入れた“サクセスフル・セルフ”の実践は,親子間コミュニケーションの促進の支援になるだけでなく,保護者の子育て支援に繋がる可能性が示唆された。
文 献
安藤美華代.(2015).児童生徒のいじめ・うつを予防する心理教育“サクセスフル・セルフ”第2版.岡山大学出版会.
川喜田二郎.(1967).発想法:創造性開発のために.中央公論社.
岡﨑由美子,安藤美華代.(2014).心理教育サクセスフル・セルフ”を活用した小学校低学年の親子コミュニケーション支援の試み.岡山大学教師教育開発センター紀要.4巻p56-62.