The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PH(01-78)

ポスター発表 PH(01-78)

Mon. Oct 9, 2017 1:00 PM - 3:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:00 PM - 3:00 PM

[PH69] 中学生の部活動所属の有無や参加態度と生徒のソーシャルスキルの活用との関係

部活動への意欲,コミットメントの度合に注目して

河村明和1, 河村茂雄2 (1.早稲田大学大学院, 2.早稲田大学)

Keywords:部活動, ソーシャルスキル, 参加態度

問題と目的
 中学生にとって,一定水準のソーシャルスキルを活用できることは,学校適応,さらには社会生活を送るうえで重要であることが多くの先行研究で指摘されている。本研究は,部活動に所属している生徒と,部活動に所属していない生徒を対象とし,部活動経験とソーシャルスキルの活用との関連について検討を行うことを目的とした。さらに,部活動に所属している生徒の,意欲やコミットメントの度合から見た,参加態度の違いにおける二群と,部活動に所属していない生徒との間でも検討を行った。
方   法
調査時期:201X年6月中旬から7月にかけて質問紙による調査を実施した。調査時期に関しては,新学期に入学した1年生が部活動に慣れ,また,3年生が部活動に所属している時期を考慮し,この時期に調査を実施した。
調査対象:A県B市C中学校の生徒241名(男子126名,女子115名)を調査の対象とし,すべての項目に対し欠損値がない有効回答者226名(男子125名,女子101名,有効回答率93.8%)を分析の対象とした。
測定用具:中学校を対象とした質問紙による調査を行った。質問用紙は河村 (2001) が作成したソーシャルスキル尺度を用いた。この尺度は,学級生活で必要とされるソーシャルスキルにおいて,対人関係を営む上でのマナーにあたる配慮のスキルと,友だちと能動的にかかわるために必要なかかわりのスキルの二因子で構成されており,それぞれ14 項目で測定されるものである。項目における評定は4件法であり,それぞれ単純加算により得点を算出するものである。また,C中学校の生徒の部活動における平素の参加態度の評定について,より客観的に生徒の様子を判断するための配慮から,本研究の意図を知らされていない,一年間を通してC中学校にインターンシップに行っている大学院生2名が観察し,「生徒の部活動への参加態度(意欲,コミットメントの度合)は良かった」に対して,5件法で回答を求めた。
調査手続き:学校長,学級担任に承諾を得た上で,学級ごとに集団方式で質問紙における調査を実施した。調査を実施するにあたり,この調査は学校の成績に関係がないこと,回答は強制ではなく回答しなくても不利益を被らないこと,回答は担任教師を含め教職員に見られることなく,データ処理されること,個人のプライバシーは守られることが調査参加者に伝えられた。また,上記内容についてはフェイスシートにも明記した。
結   果
1.部活動所属と所属無しの生徒におけるソーシャルスキル得点の比較
 部活動所属の有無において配慮とかかわりのスキルの得点より,t検定による分析を行った。結果,配慮のスキル,かかわりのスキルにおいて,部活動に所属している生徒と部活動に所属していない生徒(以後,無所属とする)との間に有意な差は見られなかった。
2.部活動の参加態度における高群,中低群,部活動所属無しの生徒との間でのソーシャルスキル得点の比較
 特に部活動への意欲やコミットメントしていると見て取れた生徒(以後,参加態度高群とする),部活動への意欲やコミットメントしていると顕著に見て取れなかった生徒(以後,参加態度中低群とする),無所属の生徒において,配慮とかかわりのスキルの得点より,一要因分散分析および,Tukey法による多重比較を行った(Table1)。分析の結果,配慮のスキルにおいて,参加態度高群が,参加態度中低群,無所属の生徒とより有意に得点が高かった。また,かかわりのスキルにおいて,参加態度高群が参加態度中低群より有意に得点が高かった。しかし,参加態度高群と無所属との間には有意な差が見られなかった。
考   察
 本調査の結果1,2より,生徒は部活動に所属しているだけではソーシャルスキルの活用に有意な差はなく,その生徒がどの程度意欲的に部活動に参加し,コミットメントしているかが,ソーシャルスキルの活用に影響与えることが,一部示唆された。