[PA47] 母親に対する保育施設のソーシャルサポート尺度の作成
全国子育てアンケート調査を活用して
キーワード:保育施設, ソーシャルサポート, 育児満足
問題と目的
近年,育児を実質的に担う母親に対するサポート対策の具体化に焦点をあてる意義の大きさが指摘されている(岩田1997)。渡邉ほか(2017)は,育児におけるソーシャルサポートが,育児負担感,不安感を軽減する可能性を示した。しかし,渡邉ほか(2017)が利用したソーシャルサポート尺度は,手島(2003)が作成した「精神的サポート,育児へルプ,居場所つくりの3因子」であり,子どもの育児を長時間担う「保育施設(保育園・幼稚園)」に関連したソーシャルサポート項目は,含まれていなかった。
そこで本研究は,保育施設に焦点を当て,「母親に対する保育施設のソーシャルサポート(以下,園SSと略す)」が,育児満足及び育児不安にどのような寄与をしているのか,園SSを測定する尺度を作成して検討する。
方 法
調査対象は,既婚,かつ,現在1人以上の子どもを保育施設に通わせている母親とした。データ収集は,ネットリサーチ会社を介し,全国子育てアンケート調査(2018年2月)として行った。園SS尺度は,「あなたのお子様が通う園や保護者との関係について教えてください」と問いかけ,小質問39問に回答する形式をとった。さらに育児満足,育児不安の測定は,吉田ほか(2013)が作成した尺度の一部を利用した。回答方法は,「全く当てはまらない~非常によく当てはまる」までの6件法を用いた。
結果と考察
調査の結果,平均年齢(SD):36.8歳(4.7)の母親1000人から回答があった。園SS尺度作成のため,39問の小質問について探索的因子分析を行った。最終的な因子分析結果をTable1に示す。園SS尺度は,第1因子「保育施設と母親との関わり」,第2因子「保育施設に通う母親同士の関わり」という2因子構造となった。
次に育児満足(α=.89),育児不安(α=.91),園SS尺度間の相関係数を求めたところ,「育児満足/育児不安」は,r=-.41(p<.01)と負の相関があった。「園SS/育児満足」は,r=.41(p<.01)の正の相関,一方,「園SS/育児不安」は,r=-.12の無相関となった。
考察すると,園SSは,育児満足の向上には寄与する一方,渡邉ほか(2017)と異なり,育児不安の軽減に寄与しない可能性が示唆された。
近年,育児を実質的に担う母親に対するサポート対策の具体化に焦点をあてる意義の大きさが指摘されている(岩田1997)。渡邉ほか(2017)は,育児におけるソーシャルサポートが,育児負担感,不安感を軽減する可能性を示した。しかし,渡邉ほか(2017)が利用したソーシャルサポート尺度は,手島(2003)が作成した「精神的サポート,育児へルプ,居場所つくりの3因子」であり,子どもの育児を長時間担う「保育施設(保育園・幼稚園)」に関連したソーシャルサポート項目は,含まれていなかった。
そこで本研究は,保育施設に焦点を当て,「母親に対する保育施設のソーシャルサポート(以下,園SSと略す)」が,育児満足及び育児不安にどのような寄与をしているのか,園SSを測定する尺度を作成して検討する。
方 法
調査対象は,既婚,かつ,現在1人以上の子どもを保育施設に通わせている母親とした。データ収集は,ネットリサーチ会社を介し,全国子育てアンケート調査(2018年2月)として行った。園SS尺度は,「あなたのお子様が通う園や保護者との関係について教えてください」と問いかけ,小質問39問に回答する形式をとった。さらに育児満足,育児不安の測定は,吉田ほか(2013)が作成した尺度の一部を利用した。回答方法は,「全く当てはまらない~非常によく当てはまる」までの6件法を用いた。
結果と考察
調査の結果,平均年齢(SD):36.8歳(4.7)の母親1000人から回答があった。園SS尺度作成のため,39問の小質問について探索的因子分析を行った。最終的な因子分析結果をTable1に示す。園SS尺度は,第1因子「保育施設と母親との関わり」,第2因子「保育施設に通う母親同士の関わり」という2因子構造となった。
次に育児満足(α=.89),育児不安(α=.91),園SS尺度間の相関係数を求めたところ,「育児満足/育児不安」は,r=-.41(p<.01)と負の相関があった。「園SS/育児満足」は,r=.41(p<.01)の正の相関,一方,「園SS/育児不安」は,r=-.12の無相関となった。
考察すると,園SSは,育児満足の向上には寄与する一方,渡邉ほか(2017)と異なり,育児不安の軽減に寄与しない可能性が示唆された。