[PA49] ポジティブ教育の基礎研究(2)
品性の強み質問紙CST24の妥当性について
キーワード:ポジティブ心理学, 品性の強み, 妥当性
ポジティブ心理学は,セリグマンによって提唱された,こころのポジティブな働きという側面に焦点を当てた研究と実践を推し進めようという「心理学の運動」であり(島井,2006),基礎的な研究を踏まえ,2010年以降は応用的な実践研究へと広がってきた。その実践の1つにポジティブ教育が挙げられる。ポジティブ教育を考える上で,本研究で取りあげる品性の強み(character strengths)は重要な概念と考えられる。品性の強みを測定する質問紙は,大竹ら(2005)による日本版生き方の原則調査票VIA-ISがある。本研究では,VIA-ISを参考にして品性の強み質問紙CST24を作成し,青年期を対象とした調査の後,その妥当性の検証を行うことを目的とした。
方 法
調査対象者 インターネット調査会社による調査を実施し,高校生男性429名,高校生女性708名,大学生男性436名,大学生女性665名であった。
調査内容 (1)品性の強み質問紙CST24,(2)主観的幸福感尺度SHS(島井,2004),(3)人生の意味尺度MLQ(Stegerら,2008),(4)感謝尺度GQ6(Hatoriら,2014),(5)知能観(及川,2005)の5点であった。CST24は,VIA-ISを参考にして作成された品性の強みを尋ねる24項目から成る調査票であった。MLQは,人生の意味を保有している度合を測る意味保有得点と,人生の意味を探求している度合を測る意味探究得点に分けられた。
倫理的配慮 本研究は,関西福祉科学大学の研究倫理委員会の承認を受けている(承認番号17-58)。
結 果
CST24に対する探索的因子分析(最尤法promax回転)の結果,「知力」「統制力」「人間力」「対人力」の4因子が抽出された。これら4因子の妥当性の検証として,SHS,MLQ,感謝の3尺度との関連を調べた。
Table 1には,調査対象者全体を対象とした結果を示した。いずれの数値も高い正の相関を示していた。
Table 2には,高校生と大学生に分けて妥当性の検証を行った結果を示した。高校生と大学生の統計量を比べると,「MLQ_保有」と「感謝」の数値は高校生が高く,「MLQ_探究」と「幸福感」の数値は大学生が高いことが分かる。但し,統計的に有意(p<.05)であったのは,「強み_知力」と「感謝」の間(.470と.402)のみであった。
考 察
本研究は,品性の強みを測定する質問紙CST24の妥当性の検証を目的として行われた。
青年期における品性の強みには「知力」「統制力」「人間力」「対人力」の4つの要因が想定され,これら4因子と,主観的幸福感尺度,人生の意味尺度,感謝尺度との相関係数はいずれも高く,青年期における品性の強み4要因の妥当性は示されたと考えられる。
高校生や大学生を対象とした品性の強みを育てる教育プログラムを開発する際には,本研究での4因子を基盤に考える必要があるだろう。
品性の強みと他の4変数との関連には,年齢(高校生と大学生)によって若干の相違があることも示唆された。大学生と比べ高校生では,人生の意味を求め,感謝の気持ちを持ち合わせていることが品性の強みと関連していることから,環境への能動的な関わりが品性の強みに関わっていると思われる。一方,大学生では,人生の意味を保有し,幸福感を持ち合わせていることが品性の強みと関連していることから,現状への充実感が品性の強みに関わっていると思われる。
付 記
本研究は,平成29・30年度関西福祉科学大学共同研究費の助成を受けた。
方 法
調査対象者 インターネット調査会社による調査を実施し,高校生男性429名,高校生女性708名,大学生男性436名,大学生女性665名であった。
調査内容 (1)品性の強み質問紙CST24,(2)主観的幸福感尺度SHS(島井,2004),(3)人生の意味尺度MLQ(Stegerら,2008),(4)感謝尺度GQ6(Hatoriら,2014),(5)知能観(及川,2005)の5点であった。CST24は,VIA-ISを参考にして作成された品性の強みを尋ねる24項目から成る調査票であった。MLQは,人生の意味を保有している度合を測る意味保有得点と,人生の意味を探求している度合を測る意味探究得点に分けられた。
倫理的配慮 本研究は,関西福祉科学大学の研究倫理委員会の承認を受けている(承認番号17-58)。
結 果
CST24に対する探索的因子分析(最尤法promax回転)の結果,「知力」「統制力」「人間力」「対人力」の4因子が抽出された。これら4因子の妥当性の検証として,SHS,MLQ,感謝の3尺度との関連を調べた。
Table 1には,調査対象者全体を対象とした結果を示した。いずれの数値も高い正の相関を示していた。
Table 2には,高校生と大学生に分けて妥当性の検証を行った結果を示した。高校生と大学生の統計量を比べると,「MLQ_保有」と「感謝」の数値は高校生が高く,「MLQ_探究」と「幸福感」の数値は大学生が高いことが分かる。但し,統計的に有意(p<.05)であったのは,「強み_知力」と「感謝」の間(.470と.402)のみであった。
考 察
本研究は,品性の強みを測定する質問紙CST24の妥当性の検証を目的として行われた。
青年期における品性の強みには「知力」「統制力」「人間力」「対人力」の4つの要因が想定され,これら4因子と,主観的幸福感尺度,人生の意味尺度,感謝尺度との相関係数はいずれも高く,青年期における品性の強み4要因の妥当性は示されたと考えられる。
高校生や大学生を対象とした品性の強みを育てる教育プログラムを開発する際には,本研究での4因子を基盤に考える必要があるだろう。
品性の強みと他の4変数との関連には,年齢(高校生と大学生)によって若干の相違があることも示唆された。大学生と比べ高校生では,人生の意味を求め,感謝の気持ちを持ち合わせていることが品性の強みと関連していることから,環境への能動的な関わりが品性の強みに関わっていると思われる。一方,大学生では,人生の意味を保有し,幸福感を持ち合わせていることが品性の強みと関連していることから,現状への充実感が品性の強みに関わっていると思われる。
付 記
本研究は,平成29・30年度関西福祉科学大学共同研究費の助成を受けた。