日本教育心理学会第60回総会

講演情報

ポスター発表

[PA] ポスター発表 PA(01-78)

2018年9月15日(土) 10:00 〜 12:00 D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号10:00~11:00 偶数番号11:00~12:00

[PA78] テストの下位領域に着目した学力の要因分析

坂本佑太朗 (株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)

キーワード:下位領域, bi-factor モデル

問題と目的
 学力テストの結果解釈時に,下位領域 (subscale) ごとの結果が注目されることがある。下位領域の得点は,bi-factorモデル (Holzinger & Swineford, 1937) を念頭に置けば,テスト全体が測定する構成概念と,当該の下位領域特有の構成概念を反映した得点とも捉えられる。下位領域特有の「学力」を抽出するには,bi-factorモデルを通して潜在特性尺度値を推定することが求められる。
 最近では,学力を細分化して議論する試みが教育社会学の領域でも見られる (鳶島,2016 ; Li, Lei & Pace, 2013)。しかしながら,bi-factorモデルを通して得られる下位領域特有の潜在特性尺度値を使った研究事例の蓄積は十分とはいえない (Gibbons, Bock, Hedecker, Weiss, Segawa, Bhaumik, Kupfer, Frank, Grochocinski & Stover, 2007)。そこで本研究では,テストの下位領域に着目し,その規定要因となる情報との関連から,学力の細分化の可能性を探索することを目的とする。

方  法
使用データ
 わが国におけるPISA2015「読解力」における公開データを使用する。「読解力」に関連する88項目を使用し,下位領域としては,「探求・取り出し」「統合・解釈」「熟考・評価」が設定されている。領域ごとの項目数の内訳はそれぞれ22項目,46項目,20項目である。本研究では,「探求・取り出し」において反応データがすべて欠測であった3名を除き,N=2,690名が分析対象となった。
分析の枠組み
 本分析では,下位領域特有の学力を把握するため,以下の5つの仮説モデルを設定した。
1) 1次元性を仮定したIRTモデル
2) 因子間に相関のない多次元IRTモデル
3) 因子間に相関のある多次元IRTモデル
4) bi-factorモデル
5) グループ因子間に相関のあるbi-factorモデル
各モデルにおける情報量規準はTable1に示す。

結  果
 Table 1より,BICとSABICは3),AICとAICcは4) を支持した。この結果から,わが国におけるPISA2015「読解力」のテスト項目は,「読解力」という1次元の能力を測定しているというよりも,下位領域特有の学力等が反映された多次元的な能力を測定していることを示唆している。
 モデル5)で得られた一般因子としての「読解力」の潜在特性尺度値と,モデル1)の従来のIRT分析によって得られる「読解力」の潜在特性尺度値の関係はFigure1に示す (cor=。994)。下位領域に関する分析結果は当日示す。