[PB02] 現代青年の「未知な経験に対する態度」の検討
キーワード:大学生, 未知な経験, 新奇性
目 的
文部科学省は,現代青年を「内向き志向」であると表現しており,新しい環境への苦手意識を抱いている者や主体性が乏しく,新しく行動を起こそうとする学生が少ないことが示唆されている。(小島ら,2014)。さらに初対面とのコミュニケーションに苦手意識を抱いていることも明らかにされており(飯塚,2010),自分からさまざまなことに挑戦している大学生が少ないように考えられる。そのため,本研究において,大学生が「新しくなじみのない経験に積極的に関わろうとする態度」を「未知な経験に対する態度」と定義する。そして,現代青年の「未知な経験に対する態度」の内的構造や特徴について検討する。
方 法
〈調査対象者〉関西の私立大学生1-4年生275名(男性=107名,女性=167名,平均年齢20.16歳)。
〈調査内容〉未知な経験への態度尺度:大学生を対象にした予備調査と,小塩(2002)とCloningr (1987)を参考に項目を作成した。心理学の教員1名と教育学専攻の大学生4人により,作成された項目をもとに妥当性を検討し,最終的に23項目を採用した。回答は「とてもあてはまる」から「まったくあてはまらない」までの5件法であった。
結 果
未知な経験への態度尺度の検討
未知な経験への態度尺度について因子分析を行ったところ,3因子が最も適当と判断した。主因子法,プロマックス回転により3因子を抽出し,第1因子を『対人関係の開拓』と命名した。第2因子を『新しい課題への挑戦』と命名した。第3因子を『環境変化への適応』と命名した(Table 1)。性差を検討したところ,『新しい課題への挑戦』(p<.01)と『環境変化への適応』(p<.001)において, それぞれ女性より男性の方が有意に得点が高かった。
未知な経験への態度のパターンの検討
現代青年における未知な経験への態度のタイプを検討するために,3つの下位尺度得点を標準化し,階層別クラスタ分析を行った。その結果,4つ(積極的活動群,対人関係拡大志向群,自己課題挑戦志向群,消極的内向群)による分類が適切であると考えられた。パターンごとの特徴を検討するために各因子の得点の平均点を2要因の分散分析(混合計画)を用いて算出した(Table 2)。
考 察
3つの下位尺度得点のうち,『新しい課題への挑戦』得点が最も高いことから,対人関係や環境変化における未知な経験よりも物事に対する欲求やポジティブ感情が強いことが考えられた。また,男子学生の方が女子学生よりも未知な経験に対する態度の得点が高いことから,男子の方が積極的な態度を示していると考えられた。4つのクラスタの特徴から男女では未知な経験に対する態度が異なることが示唆された。
引用文献
小塩真司・中谷素之・金子一史・長峰伸治(2002).ネガティブな出来事からの立ち直りを導く心理的特性-精神回復力尺度の作成-カウンセリング研究(35)1p57-65.
文部科学省は,現代青年を「内向き志向」であると表現しており,新しい環境への苦手意識を抱いている者や主体性が乏しく,新しく行動を起こそうとする学生が少ないことが示唆されている。(小島ら,2014)。さらに初対面とのコミュニケーションに苦手意識を抱いていることも明らかにされており(飯塚,2010),自分からさまざまなことに挑戦している大学生が少ないように考えられる。そのため,本研究において,大学生が「新しくなじみのない経験に積極的に関わろうとする態度」を「未知な経験に対する態度」と定義する。そして,現代青年の「未知な経験に対する態度」の内的構造や特徴について検討する。
方 法
〈調査対象者〉関西の私立大学生1-4年生275名(男性=107名,女性=167名,平均年齢20.16歳)。
〈調査内容〉未知な経験への態度尺度:大学生を対象にした予備調査と,小塩(2002)とCloningr (1987)を参考に項目を作成した。心理学の教員1名と教育学専攻の大学生4人により,作成された項目をもとに妥当性を検討し,最終的に23項目を採用した。回答は「とてもあてはまる」から「まったくあてはまらない」までの5件法であった。
結 果
未知な経験への態度尺度の検討
未知な経験への態度尺度について因子分析を行ったところ,3因子が最も適当と判断した。主因子法,プロマックス回転により3因子を抽出し,第1因子を『対人関係の開拓』と命名した。第2因子を『新しい課題への挑戦』と命名した。第3因子を『環境変化への適応』と命名した(Table 1)。性差を検討したところ,『新しい課題への挑戦』(p<.01)と『環境変化への適応』(p<.001)において, それぞれ女性より男性の方が有意に得点が高かった。
未知な経験への態度のパターンの検討
現代青年における未知な経験への態度のタイプを検討するために,3つの下位尺度得点を標準化し,階層別クラスタ分析を行った。その結果,4つ(積極的活動群,対人関係拡大志向群,自己課題挑戦志向群,消極的内向群)による分類が適切であると考えられた。パターンごとの特徴を検討するために各因子の得点の平均点を2要因の分散分析(混合計画)を用いて算出した(Table 2)。
考 察
3つの下位尺度得点のうち,『新しい課題への挑戦』得点が最も高いことから,対人関係や環境変化における未知な経験よりも物事に対する欲求やポジティブ感情が強いことが考えられた。また,男子学生の方が女子学生よりも未知な経験に対する態度の得点が高いことから,男子の方が積極的な態度を示していると考えられた。4つのクラスタの特徴から男女では未知な経験に対する態度が異なることが示唆された。
引用文献
小塩真司・中谷素之・金子一史・長峰伸治(2002).ネガティブな出来事からの立ち直りを導く心理的特性-精神回復力尺度の作成-カウンセリング研究(35)1p57-65.