[PB03] 保育の場におけるクラス集団づくりに関する研究3
集団場面でのクラスや子どもに対する関わり
Keywords:保育, クラス集団, 保育者の関わり
問題と目的
保育の場において,保育者には子どもたちへの個々のかかわりだけでなく,その発達を促す集団づくりが求められる。本研究は,保育者がクラスの状態をどのように捉えているかを明らかにすること,クラスの状態と保育者のクラスに対する働きかけやその困難さとの関連について検討することを目的とした研究の一部である。研究3では,集団場面でのクラスや個々の子どもに対する保育者の関わりの特徴について検討する。
方 法
1. 調査対象 保育所の3歳以上児クラスで,主として母集団を担当する保育者を対象に質問紙調査を行った。回答が得られた77園235名のデータのうち(回収率73.3%),回答に不備のあったデータを除いた191名のデータを分析した。このうち,異年齢混合クラスの担任保育者は44名だった。
2. 調査時期 2017年7月下旬~8月下旬。
3. 調査内容 (1)クラスの状態 集団場面における子どもの姿(30項目)がどの程度見られるか,「ほとんど見られない(1)」~「いつも見られる(5)」の5段階で尋ねた。(2)保育の困難さ 集団場面におけるクラスや個々の子どもへの関わり(5項目)にどの程度困難さを感じるか,「全く感じない(1)」~「非常に感じる(5)」の5段階で尋ねた。(3)保育者の関わり 集団場面でのクラスや個々の子どもへの関わり(16項目)をどの程度行っているか,「行っていない(1)」~「よく行っている(5)」の5段階で尋ねた。その他,クラスづくりにおいて保育者が心がけていることや積極的に行っている活動・工夫等について,自由記述を求めた。研究3では,(3)の結果について検討を行う。
結果と考察
1. 保育者の関わりの因子構造の検討(Table 1)
保育者の関わりの評定値について探索的因子分析を行った上で,本研究では2因子構造を仮定し,因子の抽出には最尤法,回転方法にはプロマックス回転を用いて因子分析を行った。その結果,因子負荷量が0.35以上を示した12項目を採用した。
2.保育者の関わりの年齢群差の検討(Figure 1)
因子得点ごとに年齢群を独立変数とした1要因の分散分析を行ったところ,〈子どもの相互理解の促進〉で年齢群の主効果が有意だった(F(2,144)=26.33,
p <.01))。そこで多重比較を行ったところ,クラスの年齢が上がるのに伴いこのような関わりを多く行っていることが示唆された。
今後はクラスの状態やその変化と保育者の関わりとの関連について検討が必要である。
保育の場において,保育者には子どもたちへの個々のかかわりだけでなく,その発達を促す集団づくりが求められる。本研究は,保育者がクラスの状態をどのように捉えているかを明らかにすること,クラスの状態と保育者のクラスに対する働きかけやその困難さとの関連について検討することを目的とした研究の一部である。研究3では,集団場面でのクラスや個々の子どもに対する保育者の関わりの特徴について検討する。
方 法
1. 調査対象 保育所の3歳以上児クラスで,主として母集団を担当する保育者を対象に質問紙調査を行った。回答が得られた77園235名のデータのうち(回収率73.3%),回答に不備のあったデータを除いた191名のデータを分析した。このうち,異年齢混合クラスの担任保育者は44名だった。
2. 調査時期 2017年7月下旬~8月下旬。
3. 調査内容 (1)クラスの状態 集団場面における子どもの姿(30項目)がどの程度見られるか,「ほとんど見られない(1)」~「いつも見られる(5)」の5段階で尋ねた。(2)保育の困難さ 集団場面におけるクラスや個々の子どもへの関わり(5項目)にどの程度困難さを感じるか,「全く感じない(1)」~「非常に感じる(5)」の5段階で尋ねた。(3)保育者の関わり 集団場面でのクラスや個々の子どもへの関わり(16項目)をどの程度行っているか,「行っていない(1)」~「よく行っている(5)」の5段階で尋ねた。その他,クラスづくりにおいて保育者が心がけていることや積極的に行っている活動・工夫等について,自由記述を求めた。研究3では,(3)の結果について検討を行う。
結果と考察
1. 保育者の関わりの因子構造の検討(Table 1)
保育者の関わりの評定値について探索的因子分析を行った上で,本研究では2因子構造を仮定し,因子の抽出には最尤法,回転方法にはプロマックス回転を用いて因子分析を行った。その結果,因子負荷量が0.35以上を示した12項目を採用した。
2.保育者の関わりの年齢群差の検討(Figure 1)
因子得点ごとに年齢群を独立変数とした1要因の分散分析を行ったところ,〈子どもの相互理解の促進〉で年齢群の主効果が有意だった(F(2,144)=26.33,
p <.01))。そこで多重比較を行ったところ,クラスの年齢が上がるのに伴いこのような関わりを多く行っていることが示唆された。
今後はクラスの状態やその変化と保育者の関わりとの関連について検討が必要である。