[PB24] 英単語学習方略の変容プロセスに関する質的検討
Keywords:学習方略, 英単語学習
問題と目的
従来の英単語学習方略研究では,分類および学力との関係(e.g.,堀野・市川,1997)や,方略の使い方の特徴(e.g.,Gu & Johnson,1996),方略使用を促す介入(e.g.,Atay & Ozbulgan,2007)などの知見が得られている。しかし,発達的な観点と質的な観点からの検討が不足していると考えられる。
そこで本研究は,大学生に対する遡及的なインタビューを通して,英単語学習方略の変容プロセスを明らかにすることを目的とする。その中で,学習方略を必要に応じて多様化させるため,またより効果的に用いるための示唆を得る。
方 法
予備調査 大学生5名に半構造化面接を行い,先行研究も踏まえて本調査の質問項目を検討した。
本調査 大学生14名に半構造化面接を行った。(1)学習方法,(2)リソース,(3)指導内容,(4)英単語学習のイメージ,(5)成績,について質問した。
分析方法 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(木下,2003)を用いた。
結果と考察
結果図は下図のようになった。多くの学習者が徐々に方略を多様化させる一方で,そうでない学習者も確認され,プロセスは3つに大別された。
変容の促進 単語学習に改善の必要性を感じていることが,新たな方略を試すことにつながっていた。また,方略を使う目的や方法が指導に伴わないと,使用があまり促されない様子であった。
質的な差異 同じ方略でもその使い方や使い分け方に個人差があった。方略に関するメタ認知的知識の有無が関係する可能性もある。また,反復方略に関して,集中学習から分散学習への変化が見られた。方略を使う場面・目的・方法といった側面をより深く考慮した研究も今後必要だろう。
単語帳への依存 多くの学習者にとって,単語帳での単語と訳語との暗記が,単語学習とイコールのようであった。単語学習に文章が重要であるという認識があまりない可能性もあり,このことは単語学習に対する誤信念も助長させうる。単語帳の使い方には再検討の余地があるだろう。
従来の英単語学習方略研究では,分類および学力との関係(e.g.,堀野・市川,1997)や,方略の使い方の特徴(e.g.,Gu & Johnson,1996),方略使用を促す介入(e.g.,Atay & Ozbulgan,2007)などの知見が得られている。しかし,発達的な観点と質的な観点からの検討が不足していると考えられる。
そこで本研究は,大学生に対する遡及的なインタビューを通して,英単語学習方略の変容プロセスを明らかにすることを目的とする。その中で,学習方略を必要に応じて多様化させるため,またより効果的に用いるための示唆を得る。
方 法
予備調査 大学生5名に半構造化面接を行い,先行研究も踏まえて本調査の質問項目を検討した。
本調査 大学生14名に半構造化面接を行った。(1)学習方法,(2)リソース,(3)指導内容,(4)英単語学習のイメージ,(5)成績,について質問した。
分析方法 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(木下,2003)を用いた。
結果と考察
結果図は下図のようになった。多くの学習者が徐々に方略を多様化させる一方で,そうでない学習者も確認され,プロセスは3つに大別された。
変容の促進 単語学習に改善の必要性を感じていることが,新たな方略を試すことにつながっていた。また,方略を使う目的や方法が指導に伴わないと,使用があまり促されない様子であった。
質的な差異 同じ方略でもその使い方や使い分け方に個人差があった。方略に関するメタ認知的知識の有無が関係する可能性もある。また,反復方略に関して,集中学習から分散学習への変化が見られた。方略を使う場面・目的・方法といった側面をより深く考慮した研究も今後必要だろう。
単語帳への依存 多くの学習者にとって,単語帳での単語と訳語との暗記が,単語学習とイコールのようであった。単語学習に文章が重要であるという認識があまりない可能性もあり,このことは単語学習に対する誤信念も助長させうる。単語帳の使い方には再検討の余地があるだろう。