日本教育心理学会第60回総会

講演情報

ポスター発表

[PB] ポスター発表 PB(01-76)

2018年9月15日(土) 13:00 〜 15:00 D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:00~14:00 偶数番号14:00~15:00

[PB55] ADHD系の発達凸凹(発達障害)の小学女児に対して,学習支援,家庭・学校との連携(担任,SC),医療とのコラボによって,本人にとって適切な支援を提供してきたカウンセラーの5年間の実践

高山智 (青山学芸心理)

キーワード:発達障害, スクールカウンセリング, 学業不振

問  題
 筆者の所属する青山学芸心理(以下当方)は,1996年の設立以来,カウンセリングの和語として「安談」という言葉を用い,日本人の文化や風土に合わせた心理相談を提供している。
 安談が従来のカウンセリングと性質を異にしている点は,「緊急対応ができる」「社会資源を案内する」「(相談室以外に)一緒に出向く」「医療との協働ができる」など,本人が生きやすい環境を作るための柔軟で効率的な方略をとる点である。
 日本教育心理学会第58回第59回総会では,幻聴に苦しむ統合失調症の20歳代男性と,一緒にクラッシックコンサートに行けるまでの経過を示した。
 カウンセリングが社会的認知されてきただけに,日本人に適した心理支援が期待される。

目  的
 発達障害の子どもは,本人の気がつかないところで,差別や叱責を受けていることで二次障害となる。保護者の理解,本人の自己受容,そして,周りの協力という流れを作り,その流れを維持するために,臨床家は,いろいろな切り口(視座,方向性)をもって,対応することが必要である。
 本パネルでは,小学5年生から5年間,教育および心理の支援を受けたケースをもとに,発達障害の支援方略を検討する。

事例紹介
 主訴:小5(10歳)冬に来談。学業不振から,在学中の私立小学校からの紹介で来談。
「やっているわりに実りがない」「親子でトラブルがたえない」「やる気にならないと絶対におぼえない」「出ると言われて準備した算数で30点」「学校にプリント忘れが3日間続く」などを主訴とした。
 TK式田中ビネー知能検査 IQ 114(中の上)
 WISC-Ⅲ 全検査IQ 113
 検査者のコメント「注意記憶・数唱課題の成績が低い」「視覚認知に高い能力あり」「デザインへの工夫も得意」。小6年5月末ストレスからつめで腕を自傷行為。Sクリニック受診。ストラテラ服用開始。
 併設中学ではなく,中高一貫の私立中学を2科目受験。弊所で受験指導。進学後も,週一回の個別指導で学習支援継続。中学担任と情報共有。
 中3進級まえにJ診療所に転院。2週に1度の通院。3年5月肩こり頭痛訴えるも頭部MRI検査異常なし。夏休みまで順調に適応。
 3年秋,クラスメートとトラブル(距離感が縮まると発生しやすい)。秋から不登校ぎみ。死にたいとの発言あり。ここから1年かけて,リボトリールから,テグレトール,ドクマチール,ジプレキサまで処方が加わった。
 高校進学するも,1年はじめに,自転車で車に追突。大事にはいたらなかったが,その後,寂しさからたびたびリストカット。担任,学校カウンセラーと情報共有。
 学校に居場所がない(居眠り・保健室)ということから,学業への意欲が減衰。1学期世界史,10月からインチュニブを加える。2学期英語で評定1をとり,進級が危ぶまれる。自己肯定感が低くなり自傷行為が増す。
 冬休み前から学習支援を週2回に増やす。
 2年進級が決まる。春休み中に減薬。
 始業式,担任名・クラスメートの顔ぶれを覚えていない,旧担任・保健室を訪れ帰宅。
 学校カウンセラーと進級後の打ち合わせ。
 医師同席のもと処方の相談。

考  察
 本人の安談,保護者への説明,学習サポートの具体的内容,処方の変遷(医療とのコラボ),そして,社会的資源(学校や塾との連携)の生かし方について,ポスターで詳細を発表する。
 なお,本ケースは当人とその家族に許可を得て抄録に載せている。