[PC04] 父親の育児・家事参加に対する母親の受け止め方尺度作成の試み
信頼性および妥当性の検討
キーワード:父親の育児・家事, 母親の受け止め方, 因子分析
問題と目的
母親の育児に関する否定的感情軽減方法の1つとして,父親の育児参加が有効である(柏木・若松,1994)。父親の育児・家事参加の要因は様々であるが(石井クンツ,2013),母親側の要因も重要である(青木,2009)。そこで本研究では,母親側の要因として,特に父親の育児・家事参加に対する母親の受け止め方である母親の認知や感情に着目し,それらを測定する尺度を作成することを目的とする。また,母親の認知する父親の育児サポートは,情緒的,情報的,手段的サポートの3種類で構造化される(中嶋・桑田・林ら,2000)ことから受け止め方尺度は,3種類のサポートごとに作成する。
方 法
調査対象者 茨城県内または長野県内の保育園,幼稚園,託児所に通う乳幼児期の子どもを持つ母親723人に質問紙を配布した。分析対象者は334人であった。
調査内容 (1)フェイスシート(年齢,職業,子どもの数と年齢,同居家族,父親以外のサポー
トに関して尋ねる項目),(2)夫婦関係満足尺度(諸井,1996),(6項目,4件法),(3)育児ストレス尺度(清水・関水,2010),(16項目,5件法),(4)育児機能アセスメントツールⅠ(荒木田・中野ら,2003)のうち育児満足感,家族の情緒的機能
(以下:情緒支援感),家族の育児サポート(以下:育児支援感)(11項目,5件法)(5)父親の育児・家事参加に対する母親の受け止め方尺度原案 (95項目,5件法)の質問紙に回答を求めた。
結果と考察
各サポートに対する受け止め方の因子構造を検討するため,因子分析を実施した。その結果,情緒的サポートに対する受け止め方尺度は「サポートによる復調」,「父親との連帯感」,「サポートへの肯定的評価」,「視野の広がり」の4因子,情報的サポートに対する受け止め方尺度は「視野の広がり」,「父親への信頼感・安堵」,「否定的受け止め」の3因子,手段的サポートに対する受け止め方尺度は「肯定的受け止め」,「否定的受け止め」,「父親の成長」,「自分への肯定的認知」の4因子の因子構造となった。また,同じ感情や認知であっても,サポートの種類によって,因子へのまとまり方は異なっていた。この結果から,サポートの種類によって,受け止め方は質的に異なると考えられる。各下位尺度のCronbachのα係数は,.87~.97を示し,十分な内的一貫性が確認された。各サポートに対する受け止め方尺度の併存的妥当性を検討するため,偏相関分析を行った(Table 1)。その結果,全ての下位尺度は予測とおおよそ一致した結果が得られ,一定の妥当性が確認できたと考えられる。
母親の育児に関する否定的感情軽減方法の1つとして,父親の育児参加が有効である(柏木・若松,1994)。父親の育児・家事参加の要因は様々であるが(石井クンツ,2013),母親側の要因も重要である(青木,2009)。そこで本研究では,母親側の要因として,特に父親の育児・家事参加に対する母親の受け止め方である母親の認知や感情に着目し,それらを測定する尺度を作成することを目的とする。また,母親の認知する父親の育児サポートは,情緒的,情報的,手段的サポートの3種類で構造化される(中嶋・桑田・林ら,2000)ことから受け止め方尺度は,3種類のサポートごとに作成する。
方 法
調査対象者 茨城県内または長野県内の保育園,幼稚園,託児所に通う乳幼児期の子どもを持つ母親723人に質問紙を配布した。分析対象者は334人であった。
調査内容 (1)フェイスシート(年齢,職業,子どもの数と年齢,同居家族,父親以外のサポー
トに関して尋ねる項目),(2)夫婦関係満足尺度(諸井,1996),(6項目,4件法),(3)育児ストレス尺度(清水・関水,2010),(16項目,5件法),(4)育児機能アセスメントツールⅠ(荒木田・中野ら,2003)のうち育児満足感,家族の情緒的機能
(以下:情緒支援感),家族の育児サポート(以下:育児支援感)(11項目,5件法)(5)父親の育児・家事参加に対する母親の受け止め方尺度原案 (95項目,5件法)の質問紙に回答を求めた。
結果と考察
各サポートに対する受け止め方の因子構造を検討するため,因子分析を実施した。その結果,情緒的サポートに対する受け止め方尺度は「サポートによる復調」,「父親との連帯感」,「サポートへの肯定的評価」,「視野の広がり」の4因子,情報的サポートに対する受け止め方尺度は「視野の広がり」,「父親への信頼感・安堵」,「否定的受け止め」の3因子,手段的サポートに対する受け止め方尺度は「肯定的受け止め」,「否定的受け止め」,「父親の成長」,「自分への肯定的認知」の4因子の因子構造となった。また,同じ感情や認知であっても,サポートの種類によって,因子へのまとまり方は異なっていた。この結果から,サポートの種類によって,受け止め方は質的に異なると考えられる。各下位尺度のCronbachのα係数は,.87~.97を示し,十分な内的一貫性が確認された。各サポートに対する受け止め方尺度の併存的妥当性を検討するため,偏相関分析を行った(Table 1)。その結果,全ての下位尺度は予測とおおよそ一致した結果が得られ,一定の妥当性が確認できたと考えられる。