[PC71] 清掃活動における音楽の活用効果の検討
キーワード:清掃活動, 音楽, 中学校
問題と目的
学校掃除はほとんどの小中学校で日本の伝統文化を背景にしながら日常的慣習的に実施されている(平田・土井,2013)。
清掃活動に関する研究は,整理整頓や教室の汚れに関する授業の実施(岡田・土岐,2015)や掃除用具の使い方指導(大竹・藤原,2010)がなされており,生徒が掃除をさぼる事例も報告されている(岸田,2009; 島田,2016; 鈴木,2011)。
朝田(1995)は,学校現場での音楽的教育環境を対象とした研究がなく,今後について朝の音楽,昼の音楽,掃除の音楽についての研究が必要との考えを示しており,学校における音楽の活用に焦点を当てた研究が求められている。学校での音楽の活用について,学級の朝の会において歌を取り入れた実践(伊吹,2011)がされている程度である。
そこで本研究では,清掃活動における音楽の活用効果について検証をすることを目的とする。
方 法
対象:A公立中学校2年生1クラス(N=34)を対象とし, 2017年9月に実施した。調査内容:TDMS-ST(坂入・征矢・木塚,2007),Visual Analog Scaleを用いた清掃の自己評価(“やる気をもって取り組めた”,“集中して取り組めた”,“キレイに掃除できた”,“自分の役割を果たせた”),歩数。使用楽曲:元々協力校において使用されていた楽曲(通常曲)として剣の舞(Aram Il'yich Khachaturian,
1942)を使用した。実験曲として,シバの女王の入城(Handel, Georg Friedrich,1748)を使用した。この実験曲の選定理由は,谷口(1998)による調査で使用された楽曲の中で活動の活性化が期待されるためである。手続き:Figure1の実施手順で実施した。
結 果
気分(活性度)に差異が生じるかどうかについて検討するために繰り返しの対応のある一要因分散分析を行った結果,気分(活性度)に有意な主効果がみられ(F(1,33)=16.13,p<.001),事後検定(LSD法)を行った結果,通常曲よりも実験曲の方が高いことが示された(p<.05)。
自己評価に差異が生じるかどうかについて検討するために繰り返しの対応のある一要因分散分析を行った結果,“やる気をもって取り組めた”(F(2.57,33)=21.24,p<
.001),“集中して取り組めた”(F(3.10,33)=42.21,p<.001),“キレイに掃除できた”(F(2.85,33)=27.39,p<.001),“自分の役割を果たせた”(F(3.06,33)=35.12,p<.001)において有意な主効果がみられた。事後検定(LSD法)を行った結果,“やる気をもって取り組めた”,“集中して取り組めた”,“キレイに掃除できた”,“自分の役割を果たせた”において通常曲よりも実験曲の方が高いことが示された(p<.05)。
歩数(活動量)に差異が生じるかどうかについて検討するためにフリードマン検定を行った結果,有意な差がみられた(χ2(4)=19.79,p<.001)。事後検定として符号検定を行った結果,通常曲よりも実験曲の方が高いことが示された。
考 察
通常曲よりも実験曲の方が中学生の気分(活性度),掃除に対する自己評価及び歩数(活動量)を高めていることが示され,よりよく清掃に取り組むことができていることが明らかになった。
これらの結果は,清掃活動における音楽の活用の重要性を示唆するものである。また,清掃活動の時間における活用にとどまらず,他の時間における音楽の活用にも貢献することができると考えられる。
学校掃除はほとんどの小中学校で日本の伝統文化を背景にしながら日常的慣習的に実施されている(平田・土井,2013)。
清掃活動に関する研究は,整理整頓や教室の汚れに関する授業の実施(岡田・土岐,2015)や掃除用具の使い方指導(大竹・藤原,2010)がなされており,生徒が掃除をさぼる事例も報告されている(岸田,2009; 島田,2016; 鈴木,2011)。
朝田(1995)は,学校現場での音楽的教育環境を対象とした研究がなく,今後について朝の音楽,昼の音楽,掃除の音楽についての研究が必要との考えを示しており,学校における音楽の活用に焦点を当てた研究が求められている。学校での音楽の活用について,学級の朝の会において歌を取り入れた実践(伊吹,2011)がされている程度である。
そこで本研究では,清掃活動における音楽の活用効果について検証をすることを目的とする。
方 法
対象:A公立中学校2年生1クラス(N=34)を対象とし, 2017年9月に実施した。調査内容:TDMS-ST(坂入・征矢・木塚,2007),Visual Analog Scaleを用いた清掃の自己評価(“やる気をもって取り組めた”,“集中して取り組めた”,“キレイに掃除できた”,“自分の役割を果たせた”),歩数。使用楽曲:元々協力校において使用されていた楽曲(通常曲)として剣の舞(Aram Il'yich Khachaturian,
1942)を使用した。実験曲として,シバの女王の入城(Handel, Georg Friedrich,1748)を使用した。この実験曲の選定理由は,谷口(1998)による調査で使用された楽曲の中で活動の活性化が期待されるためである。手続き:Figure1の実施手順で実施した。
結 果
気分(活性度)に差異が生じるかどうかについて検討するために繰り返しの対応のある一要因分散分析を行った結果,気分(活性度)に有意な主効果がみられ(F(1,33)=16.13,p<.001),事後検定(LSD法)を行った結果,通常曲よりも実験曲の方が高いことが示された(p<.05)。
自己評価に差異が生じるかどうかについて検討するために繰り返しの対応のある一要因分散分析を行った結果,“やる気をもって取り組めた”(F(2.57,33)=21.24,p<
.001),“集中して取り組めた”(F(3.10,33)=42.21,p<.001),“キレイに掃除できた”(F(2.85,33)=27.39,p<.001),“自分の役割を果たせた”(F(3.06,33)=35.12,p<.001)において有意な主効果がみられた。事後検定(LSD法)を行った結果,“やる気をもって取り組めた”,“集中して取り組めた”,“キレイに掃除できた”,“自分の役割を果たせた”において通常曲よりも実験曲の方が高いことが示された(p<.05)。
歩数(活動量)に差異が生じるかどうかについて検討するためにフリードマン検定を行った結果,有意な差がみられた(χ2(4)=19.79,p<.001)。事後検定として符号検定を行った結果,通常曲よりも実験曲の方が高いことが示された。
考 察
通常曲よりも実験曲の方が中学生の気分(活性度),掃除に対する自己評価及び歩数(活動量)を高めていることが示され,よりよく清掃に取り組むことができていることが明らかになった。
これらの結果は,清掃活動における音楽の活用の重要性を示唆するものである。また,清掃活動の時間における活用にとどまらず,他の時間における音楽の活用にも貢献することができると考えられる。