[PD05] 児童期の情動発達とその特異性に関する研究11
「気になる」児童の共感に影響する要因の検討
キーワード:共感, 「気になる」子, 児童
問題と目的
本研究は,幼児期から児童期における情動発達のアセスメント・スケールを開発することを目的とした研究の一部である。このうち,本研究では日本教育心理学会第59回総会(2017)における報告(2017年;1~5),日本発達心理学会第29回大会における報告(2018年;6~8)に続き,研究1で「気になる」児童と典型発達児との間で情動発達得点の差が顕著だった<共感>に着目した。とりわけ,「気になる」児童の共感に影響する要因について探索的に検討することを目的とした。
方 法
1. 調査対象: 研究9と同じ。このうち本報告では,「気になる」児童1017名(男児848名,女児223名)のデータを分析した。
2. 調査時期: 研究9に同じ。
3. 調査内容: 研究9に同じ。このうち本報告では<共感>(「友だちのうれしい(怒っている・悲しい)気持ちを自分のことのように感じる」)に影響を与える要因として<表情><言葉><抑制><理解>について検討することとした。
結果と考察
1. <共感>の情動発達得点: Figure 1に情動発達得点のうち<共感>領域における「気になる」児童と典型発達児の平均得点を示した。典型発達児の平均得点が3.6であるのに対し,「気になる」児童の平均得点2.7と低かった。研究1から最も顕著に差が生じる項目であることが分かっている。
2. 共感に影響する要因: <共感>を従属変数,<表情><言葉><抑制><理解>を独立変数とする重回帰分析を行った。Table 1には変数間の相関係数を示した。また,Figure 2にはそれぞれの独立変数からの<共感>への標準回帰係数を示した。ここから,<表情>からの<共感>への標準回帰係数は10%の有意傾向にあり,<理解><抑制><言葉>は0.1%水準で有意だった。なかでも他者の情動状態についての<理解>が,他者の多様な感情に共感する上で重要な要因になっていると考えられた。
付 記
なお,本研究は科学研究費補助金(基盤研究B)「幼児期・児童期の情動発達アセスメント・スケールの開発と保育・教育への応用」(研究代表:本郷一夫)の助成を受けて行われた。
本研究は,幼児期から児童期における情動発達のアセスメント・スケールを開発することを目的とした研究の一部である。このうち,本研究では日本教育心理学会第59回総会(2017)における報告(2017年;1~5),日本発達心理学会第29回大会における報告(2018年;6~8)に続き,研究1で「気になる」児童と典型発達児との間で情動発達得点の差が顕著だった<共感>に着目した。とりわけ,「気になる」児童の共感に影響する要因について探索的に検討することを目的とした。
方 法
1. 調査対象: 研究9と同じ。このうち本報告では,「気になる」児童1017名(男児848名,女児223名)のデータを分析した。
2. 調査時期: 研究9に同じ。
3. 調査内容: 研究9に同じ。このうち本報告では<共感>(「友だちのうれしい(怒っている・悲しい)気持ちを自分のことのように感じる」)に影響を与える要因として<表情><言葉><抑制><理解>について検討することとした。
結果と考察
1. <共感>の情動発達得点: Figure 1に情動発達得点のうち<共感>領域における「気になる」児童と典型発達児の平均得点を示した。典型発達児の平均得点が3.6であるのに対し,「気になる」児童の平均得点2.7と低かった。研究1から最も顕著に差が生じる項目であることが分かっている。
2. 共感に影響する要因: <共感>を従属変数,<表情><言葉><抑制><理解>を独立変数とする重回帰分析を行った。Table 1には変数間の相関係数を示した。また,Figure 2にはそれぞれの独立変数からの<共感>への標準回帰係数を示した。ここから,<表情>からの<共感>への標準回帰係数は10%の有意傾向にあり,<理解><抑制><言葉>は0.1%水準で有意だった。なかでも他者の情動状態についての<理解>が,他者の多様な感情に共感する上で重要な要因になっていると考えられた。
付 記
なお,本研究は科学研究費補助金(基盤研究B)「幼児期・児童期の情動発達アセスメント・スケールの開発と保育・教育への応用」(研究代表:本郷一夫)の助成を受けて行われた。