[PD10] 孤独感類型による孤独への向き合い方のちがい
成熟した孤独感をもつものと未熟な孤独感をもつものとの比較
キーワード:孤独感類型尺度, 孤独, 発達
落合 (1983) が開発した孤独感類型尺度LSO (Loneliness Scale of Ochiai) にはふたつの次元がある。ひとつはLSO-U次元であり,人間同士の理解・共感の可能性についての感じ(考え)方の次元である。もうひとつはLSO-E次元であり,人間の個別性の自覚についての次元である。LSO-U次元とLSO-E次元のふたつの得点から,4つの型に孤独感を分類することができる。A型がもっとも未熟なタイプと考えられ,その後,B型,C型と続き,もっとも成熟したタイプがD型であると考えられている。
則定 (2008) は,中学生を対象に,孤独感と学校適応・精神的健康との関連を検討している。その結果,D型はA型よりも孤立志向が強く,不安と不眠の高いことがわかっている。D型は人間の個別性に気づいているため,問題があれば自分自身で問題に向き合い解決しようとし,結果,不安が高まると考えることができる。本研究では,孤独に対して,A型は気分を紛らわすなどする方略をとり,D型は問題に向き合う方略をとると仮説し,この仮説の検討を行った。
方 法
調査協力者 大学生71名を対象とした。
手続き まず,後述する孤独感類型尺度への回答を求めた。1ヶ月以上期間をあけ,アンケート調査を行った。なお,本研究は所属機関に設置された倫理委員会の審査を受け,承認されている。
測定尺度 落合(1983)の作成した16項目(5件法)からなる孤独感類型尺度を用いた。
アンケート調査 (1)どのようなときに孤独を感じるのか,(2)孤独を感じたときにどのように対処するのかを自由に回答してもらった。
結果と考察
無記入など不備のあるデータを削除した。削除後,残った38名分のデータについて分析した。孤独感類型尺度への回答から,調査対象者の孤独感をタイプ分けしたところ,A型が11名,B型が0名,C型が4名,D型が15 名,分類できないものが8名であった。
孤独感類型A型,D型が孤独を感じる時 アンケート調査から得られた,(1)「どのようなときに孤独を感じるか」に対する自由回答を研究者2名で分析した。孤独を感じるときを,「疎外されていると感じたとき」,「劣等感を抱いたとき」,「喪失体験をもったとき」,「孤立しているとき」等と分類した。カイ二乗検定を用いて,孤独感のタイプ間で孤独を感じるときにちがいがあるか分析したところ,A型はD 型に比べて,喪失体験をもったときに孤独を感じることがわかった(χ2(1)=5.37, p =.02)。疎外,劣等,孤立については,A 型,D 型でそれぞれの経験のありなしに差はなかった。
孤独感類型A型,D型の孤独へ対処 アンケート調査から得られた,(2)「孤独を感じたときにどのように対処するか」に対する自由回答を分析した。対処法略を,「気晴らしをする」,「孤独から逃げずに向き合う」に分類することができた。カイ二乗検定を用いて,孤独感のタイプ間で孤独への対処法にちがいがるか分析したところ,A型は孤独を感じたときに気晴らしをし,D型は孤独に向き合う傾向のあることがわかった(χ2(1)=5.10, p=.02)。孤独は疎外感や劣等感といった生活感情を伴うものであり,孤独から逃げずに向き合うことには精神的な苦痛が伴うことが予想される。則定 (2008) の研究で,D型の不安感がA型よりも高かったのも,問題に向き合うD型の行動傾向によるものだと考えられる。
則定 (2008) は,中学生を対象に,孤独感と学校適応・精神的健康との関連を検討している。その結果,D型はA型よりも孤立志向が強く,不安と不眠の高いことがわかっている。D型は人間の個別性に気づいているため,問題があれば自分自身で問題に向き合い解決しようとし,結果,不安が高まると考えることができる。本研究では,孤独に対して,A型は気分を紛らわすなどする方略をとり,D型は問題に向き合う方略をとると仮説し,この仮説の検討を行った。
方 法
調査協力者 大学生71名を対象とした。
手続き まず,後述する孤独感類型尺度への回答を求めた。1ヶ月以上期間をあけ,アンケート調査を行った。なお,本研究は所属機関に設置された倫理委員会の審査を受け,承認されている。
測定尺度 落合(1983)の作成した16項目(5件法)からなる孤独感類型尺度を用いた。
アンケート調査 (1)どのようなときに孤独を感じるのか,(2)孤独を感じたときにどのように対処するのかを自由に回答してもらった。
結果と考察
無記入など不備のあるデータを削除した。削除後,残った38名分のデータについて分析した。孤独感類型尺度への回答から,調査対象者の孤独感をタイプ分けしたところ,A型が11名,B型が0名,C型が4名,D型が15 名,分類できないものが8名であった。
孤独感類型A型,D型が孤独を感じる時 アンケート調査から得られた,(1)「どのようなときに孤独を感じるか」に対する自由回答を研究者2名で分析した。孤独を感じるときを,「疎外されていると感じたとき」,「劣等感を抱いたとき」,「喪失体験をもったとき」,「孤立しているとき」等と分類した。カイ二乗検定を用いて,孤独感のタイプ間で孤独を感じるときにちがいがあるか分析したところ,A型はD 型に比べて,喪失体験をもったときに孤独を感じることがわかった(χ2(1)=5.37, p =.02)。疎外,劣等,孤立については,A 型,D 型でそれぞれの経験のありなしに差はなかった。
孤独感類型A型,D型の孤独へ対処 アンケート調査から得られた,(2)「孤独を感じたときにどのように対処するか」に対する自由回答を分析した。対処法略を,「気晴らしをする」,「孤独から逃げずに向き合う」に分類することができた。カイ二乗検定を用いて,孤独感のタイプ間で孤独への対処法にちがいがるか分析したところ,A型は孤独を感じたときに気晴らしをし,D型は孤独に向き合う傾向のあることがわかった(χ2(1)=5.10, p=.02)。孤独は疎外感や劣等感といった生活感情を伴うものであり,孤独から逃げずに向き合うことには精神的な苦痛が伴うことが予想される。則定 (2008) の研究で,D型の不安感がA型よりも高かったのも,問題に向き合うD型の行動傾向によるものだと考えられる。