日本教育心理学会第60回総会

講演情報

ポスター発表

[PD] ポスター発表 PD(01-70)

2018年9月16日(日) 10:00 〜 12:00 D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号10:00~11:00 偶数番号11:00~12:00

[PD13] コーチングを活用した授業実践の効果(1)

学生の振り返りに表れた学び

鳥羽きよ子1, 藤村あきほ2, 西垣悦代3 (1.ハートランドしぎさん看護専門学校, 2.立命館大学大学院, 3.関西医科大学)

キーワード:コーチング, ピア・コーチング, KH coder

背景と目的
 人との良い関係を持てることは人生に大きな影響がある。そのためには自身の在り方が大切である。これらの姿勢を学び,身に付けることは看護学生のみならずこれからの人生を生きていく若者にとって大きな力になると考える。
 筆者らはコーチングがその目的にかなっていると考えた。コーチングマインドとは,コーチングにおいてコーチが人に安心感を与え,承認し,評価,判断,否定せず傾聴する姿勢である。コーチはクライアントに対して共感と思いやりを持って接し,その人の在り方を認知し,質問から気づきを促し行動に繋げ,励まし寄り添うものである。
 本研究は筆者がコーチとして看護専門学校で人間関係論の授業を担当する中で,人間関係構築に役立つコーチングマインドを,ワークを通して学生に体感してもらい,その効果を検証したものである。

方  法
 対象は人間関係論を受講している看護専門学校の1年生,37人。学生をランダムなペアに分け,全体でのワーク,グループワーク,ピア・コーチングをおこなった。実施にあたり,以下のルールを設けた。①相手を批判,否定しないこと②相手が自分と向き合い,自分の気持ちを言葉にできるよう促し,相手を認め,承認すること③フィードバックを出し,共感と思いやりを示すことでその実践を促すよう関わること④それぞれが授業で自分の理想の看護師像を描き,宣言した目標に到達するために自己変革にむかうこと⑤毎週,自分の行動の振り返りと目標,行動の修正を行い,お互いに前進,成長できるように相互に見守ること。
 学生は毎回ふり返りを提出したが,今回の分析は,最終回に全体をふり返りコーチとして,およびクライアントとして感じたことを記述した文章をKHコーダーで分析したものである。

結  果
 クライアントとして感じたことについてクラスター分析を行った結果をFigure 1に示す。「嬉しい」「伝える」「励ます」などの語が抽出された。相手との関わりから得られる気づきや学びが前向きな気持ちに繋がっていることが示唆された。一方コーチとして感じたことからは,「励ます」「お互い」「アドバイス」などの語が抽出された。コーチとしても相手との関わりから刺激や学びが得られたことが示された。

考  察
 ピア・コーチングの経験を通して,学生たちが他者から励まされたり,自分が他者を励ます喜びを感じていることがわかった。