[PD20] 看護学生に対する臓器移植の教育の必要性
看護学生のインタビューより
キーワード:臓器移植, 看護学生, 教育
問題と目的
全国の看護系大学における移植医療に関する調査研究において,移植看護に関する教育を行っている機関はわずか22%であることが明らかとなった(習田,2013)。移植医療を望む患者やドナー,その家族に対して,看護師も大きな役割を担っているため,看護教育においても移植医療に関する教育内容について積極的に検討する必要があるといえる。そこで,移植医療に関する教育を導入していない看護系短期大学に通う1年生~3年生の学生を対象に移植に関する理解や興味,関心についてインタビューを実施し,看護学生が移植医療に対してどのような教育に必要性があると感じているのかを調査した。
方 法
対象者は,同意を得たA短期大学看護学科の1年生7名,2年生6名,3年生6名である。インタビュー内容は,移植医療で働くことの興味について,移植医療の教育のイメージ,移植コーディネーターや看護師について,移植医療の教育の必要性についてである。インタビュー内容をICレコーダーに記録したのちに文章化し,意味内容を損ねないように語の統一を行い,フリーソフトウェアKH-Coderを用い,頻回に出現した語を頻出語としてリスト化し,このリストを用いて階層的クラスタ分析,共起ネットワーク図を作成し考察を行った。
倫理的配慮
研究参加を対象者の自由意思に基づくものであり,随時同意を撤回することが可能であること,その場合でも何ら不利益を被ることはないこと個人情報は個人が特定されないように守秘し,研究及び学会発表後はすべての情報を破棄することを口頭と書面にて説明した。なお本研究は大阪信愛女学院短期大学倫理審査委員会で承認を得た。本研究発表に関連して,開示すべき利益相反関係にある企業等はない。
結果と考察
1年生,2年生,3年生の総抽出語数(使用語数)は,それぞれ2337語(884語),765語(327語),1182語(454語)であった。それぞれ出現回数5回以上の語を基に階層的クラスタ分析を行った結果を表1,2,3に示す。共起ネットワーク図を作成してみると,1年生では,「自分」に中心性を示し,2年生では,「人」,「興味」に中心性を示し,3年生では,「臓器」,「精神」に中心性を示していた。
1年生に特徴的であったのは,移植医療はドラマの中の話で漠然としているためか,多くの語が出現しており,どのような知識が必要であるのかが漠然としている。2年生に特徴的であったのは,臓器移植や,移植を受ける人,そのものに興味があり,臓器の働きや看護についての知識が必要と考えていると推察される。3年生に特徴的であったのは,移植医療は特別な知識が必要で,看護は精神的なサポートが必要であり大変な仕事であるが,興味はあり将来看護師として働くことを強く意識しており,大変そうであるがどのようなサポートが必要かを学びたいと感じていると推察される。
移植医療に関する教育を導入していない短期大学の看護学生ではあるが,学習を重ね,臨床実習も体験している2年生は,臓器の働きに注目し,臓器の働きについて,最終学年の3年生は,これから看護師として働くことを意識して移植医療をとらえようしていたのではないかと考える。
全国の看護系大学における移植医療に関する調査研究において,移植看護に関する教育を行っている機関はわずか22%であることが明らかとなった(習田,2013)。移植医療を望む患者やドナー,その家族に対して,看護師も大きな役割を担っているため,看護教育においても移植医療に関する教育内容について積極的に検討する必要があるといえる。そこで,移植医療に関する教育を導入していない看護系短期大学に通う1年生~3年生の学生を対象に移植に関する理解や興味,関心についてインタビューを実施し,看護学生が移植医療に対してどのような教育に必要性があると感じているのかを調査した。
方 法
対象者は,同意を得たA短期大学看護学科の1年生7名,2年生6名,3年生6名である。インタビュー内容は,移植医療で働くことの興味について,移植医療の教育のイメージ,移植コーディネーターや看護師について,移植医療の教育の必要性についてである。インタビュー内容をICレコーダーに記録したのちに文章化し,意味内容を損ねないように語の統一を行い,フリーソフトウェアKH-Coderを用い,頻回に出現した語を頻出語としてリスト化し,このリストを用いて階層的クラスタ分析,共起ネットワーク図を作成し考察を行った。
倫理的配慮
研究参加を対象者の自由意思に基づくものであり,随時同意を撤回することが可能であること,その場合でも何ら不利益を被ることはないこと個人情報は個人が特定されないように守秘し,研究及び学会発表後はすべての情報を破棄することを口頭と書面にて説明した。なお本研究は大阪信愛女学院短期大学倫理審査委員会で承認を得た。本研究発表に関連して,開示すべき利益相反関係にある企業等はない。
結果と考察
1年生,2年生,3年生の総抽出語数(使用語数)は,それぞれ2337語(884語),765語(327語),1182語(454語)であった。それぞれ出現回数5回以上の語を基に階層的クラスタ分析を行った結果を表1,2,3に示す。共起ネットワーク図を作成してみると,1年生では,「自分」に中心性を示し,2年生では,「人」,「興味」に中心性を示し,3年生では,「臓器」,「精神」に中心性を示していた。
1年生に特徴的であったのは,移植医療はドラマの中の話で漠然としているためか,多くの語が出現しており,どのような知識が必要であるのかが漠然としている。2年生に特徴的であったのは,臓器移植や,移植を受ける人,そのものに興味があり,臓器の働きや看護についての知識が必要と考えていると推察される。3年生に特徴的であったのは,移植医療は特別な知識が必要で,看護は精神的なサポートが必要であり大変な仕事であるが,興味はあり将来看護師として働くことを強く意識しており,大変そうであるがどのようなサポートが必要かを学びたいと感じていると推察される。
移植医療に関する教育を導入していない短期大学の看護学生ではあるが,学習を重ね,臨床実習も体験している2年生は,臓器の働きに注目し,臓器の働きについて,最終学年の3年生は,これから看護師として働くことを意識して移植医療をとらえようしていたのではないかと考える。