[PD48] 大学生における携帯メール依存,携帯メール利用上のストレス体験,および一人でいられる能力との関連
Keywords:携帯メール依存, ストレス体験, 一人でいられる能力
問 題
近年,携帯電話の普及率は高く,中でも,メール利用は,通話以上に利用率が高いとされる。携帯メールを用いたコミュニケーションは,利便性が高く,ポジティブな側面もあるが,携帯メールへの依存についての問題点や,ストレス体験が生じるなどネガティブな側面の指摘もみられる。そこで,本研究では,携帯メールへの依存に焦点を当て,心理的特性として,一人でいられる能力,携帯メールでのコミュニケーションで生じる体験との関連について,大学生を対象として調べ,考察したいと考える。野本(2000)によると,一人でいても不安にならない状態が発展すると,一人でいる時にくつろぎを感じられたり,自分の世界に没頭できたりするという。一方,一人でいられる能力を確立することが困難となっている場合,孤独への恐怖感が高まり,携帯メールでのコミュニケーションをやめられないなど依存しやすく,ストレス体験も増えるのではと考える。
方 法
調査対象者
大学生131名(男性63名,女性68名)を対象として,質問紙調査を実施した。平均年齢19.89歳(SD=1.57)であった。
質問項目
(1)携帯メール依存:吉田・高井・元吉・五十嵐(2003)の携帯メール依存尺度を用い,5段階で回答を求めた。
(2)携帯メールを用いたコミュニケーションにおけるストレス体験:森脇(2016)の尺度を用い,最
近1ヶ月の間に携帯メールでのやりとりにおける
不快な出来事がどのくらいの頻度で起きたかを,4件法で尋ねた。
(3)一人でいられる能力:野本(2000)の一人でいられる能力尺度を用い,5件法で回答を求めた。
調査手続き
第1回調査時に,「一人でいられる能力」「携帯メールへの依存」を測定し,第2回調査時に,「携帯メールでのストレス体験」を測定した。
結 果
パス解析を行ったところ,Figure 1のような結果が得られた。一人でいられる能力から携帯メール依存に対して,有意な負の標準偏回帰係数の値を得た。また,携帯メール依存から,携帯メール上のストレス体験では,有意な正の標準偏回帰係数の値が得られ,一人でいられる能力から携帯メールのやりとりにおけるストレス体験への標準偏回帰係数の値は有意ではなかった。
考 察
一人でいられる能力が低いと,携帯メール依存傾向が高く,携帯メール依存傾向が高い場合,携帯メール上でのストレスを体験しやすい可能性が示唆された。携帯メールでやりとりを行うことによる精神的健康の悪化を予防するための心理教育等への示唆につながるのではないかと考える。
近年,携帯電話の普及率は高く,中でも,メール利用は,通話以上に利用率が高いとされる。携帯メールを用いたコミュニケーションは,利便性が高く,ポジティブな側面もあるが,携帯メールへの依存についての問題点や,ストレス体験が生じるなどネガティブな側面の指摘もみられる。そこで,本研究では,携帯メールへの依存に焦点を当て,心理的特性として,一人でいられる能力,携帯メールでのコミュニケーションで生じる体験との関連について,大学生を対象として調べ,考察したいと考える。野本(2000)によると,一人でいても不安にならない状態が発展すると,一人でいる時にくつろぎを感じられたり,自分の世界に没頭できたりするという。一方,一人でいられる能力を確立することが困難となっている場合,孤独への恐怖感が高まり,携帯メールでのコミュニケーションをやめられないなど依存しやすく,ストレス体験も増えるのではと考える。
方 法
調査対象者
大学生131名(男性63名,女性68名)を対象として,質問紙調査を実施した。平均年齢19.89歳(SD=1.57)であった。
質問項目
(1)携帯メール依存:吉田・高井・元吉・五十嵐(2003)の携帯メール依存尺度を用い,5段階で回答を求めた。
(2)携帯メールを用いたコミュニケーションにおけるストレス体験:森脇(2016)の尺度を用い,最
近1ヶ月の間に携帯メールでのやりとりにおける
不快な出来事がどのくらいの頻度で起きたかを,4件法で尋ねた。
(3)一人でいられる能力:野本(2000)の一人でいられる能力尺度を用い,5件法で回答を求めた。
調査手続き
第1回調査時に,「一人でいられる能力」「携帯メールへの依存」を測定し,第2回調査時に,「携帯メールでのストレス体験」を測定した。
結 果
パス解析を行ったところ,Figure 1のような結果が得られた。一人でいられる能力から携帯メール依存に対して,有意な負の標準偏回帰係数の値を得た。また,携帯メール依存から,携帯メール上のストレス体験では,有意な正の標準偏回帰係数の値が得られ,一人でいられる能力から携帯メールのやりとりにおけるストレス体験への標準偏回帰係数の値は有意ではなかった。
考 察
一人でいられる能力が低いと,携帯メール依存傾向が高く,携帯メール依存傾向が高い場合,携帯メール上でのストレスを体験しやすい可能性が示唆された。携帯メールでやりとりを行うことによる精神的健康の悪化を予防するための心理教育等への示唆につながるのではないかと考える。