[PD52] ストレスマネジメント教育
アロマテラピーによる乳幼児の母親のケア
キーワード:ストレス, 母親, アロマテラピー
問題と目的
近年,ストレスを緩和する方法としてアロマテラピーが注目され,母親の育児ストレスマネジメントとして期待されている。しかし,その効果に関する実証的研究はほとんどない。本研究は,母親の生理的反応及び心理的反応に及ぼす影響に焦点を当て,アロマテラピーがストレスをどのように軽減するのかに関して実証的に検討することを目的とした。
研究方法
本研究の対象者は,アロマテラピー教室に参加している乳幼児の母親80名,実施期間は平成29年5月~9月までの5ヵ月間であった。アロマテラピーを実施しなかった群と,アロマテラピーを1回のみ実施群,5回継続実施群,10回継続実施群の4グループ(各20名)に分別し,アロマテラピー実施前後の意識調査と唾液中のアミラーゼ値の比較を行った。アロマテラピー実施群では,教室内に精油を用いて香りを散布(30分間)したが,実施しなかった群には香りを嗅がせずに,定義や効果など講義のみを行った。得られたデータに関して,4(グループ)×2(事前・事後)の分散分析を行った。
結果・考察
アミラーゼ値 事前にストレスがあると感じている人は98%とほぼ全員であったが,アロマテラピー1回実施後には唾液アミラーゼ値は有意に低下した。(F(3. 76)=12.30,P≺0.01; 1>2=3=4)。中でも5回継続後に一番の群間差がみられ(F(3. 76)=18.51,P≺0.01;1>2>3=4),交感神経を抑えることが明らかになった。一方実施していない群は,平均値7.8KU/L 程度の上昇が見られ,ストレス負荷を行った他の研究より半分の値の上昇が観測された。1回のみの実施ではなく継続した方がより効果的な結果を示す事が示唆された。
意識調査 アロマテラピーを継続実施することで,イライラが落ち着き,不安が取れるなどして子どもに対する否定的な感情が減少した。この結果から,アロマテラピーを継続することにより子どもとの関わりを楽しむことが出来るようになったことが示唆された。継続したアロマテラピーが,母親のストレスマネジメントを向上させ,その結果,子どもとの関係が改善し,育児ストレス認知を軽減することを助けたと考えられる。さらにアロマテラピーでリラックスしながらメンバーからの受容や共感を得たことも要因であったと考えられる。実施していない群も共感は得られたもののリラックスしながらではなかった事で受容・共感度が低かった。
実施前後のアミラーゼ値・意識調査の変化 ともに個人差が見られた。芳香欲後もアミラーゼ値が上昇した10%の原因はその時の香りを好まなかった事があげられ感受性は人によって異なり,趣味や嗜好が大きく関与している事が示唆された。人の好みに合った精油の使用がより良い効果が得られると考えられる。
今後の課題
アミラーゼ値が実施していない群では25%が低下しており,講義のみでも育児から離れて趣味の勉強に集中する事はストレスマネジメントに有効だったのかもしれない。対象の属性をもっと狭めてストレス要因を分別した見方や母親のニーズについてさらに調べていく必要がある。また,精油の種類によって精神的な効果の違いがあるため種類を限定して検討も重要であろう。今後もデータを集積するとともに,乳幼児の母親はアロマテラピーの効果への期待,関心があるためストレスマネジメントの一つとして,日常生活の中でアロマテラピーの活用方法を提案していきたい。
近年,ストレスを緩和する方法としてアロマテラピーが注目され,母親の育児ストレスマネジメントとして期待されている。しかし,その効果に関する実証的研究はほとんどない。本研究は,母親の生理的反応及び心理的反応に及ぼす影響に焦点を当て,アロマテラピーがストレスをどのように軽減するのかに関して実証的に検討することを目的とした。
研究方法
本研究の対象者は,アロマテラピー教室に参加している乳幼児の母親80名,実施期間は平成29年5月~9月までの5ヵ月間であった。アロマテラピーを実施しなかった群と,アロマテラピーを1回のみ実施群,5回継続実施群,10回継続実施群の4グループ(各20名)に分別し,アロマテラピー実施前後の意識調査と唾液中のアミラーゼ値の比較を行った。アロマテラピー実施群では,教室内に精油を用いて香りを散布(30分間)したが,実施しなかった群には香りを嗅がせずに,定義や効果など講義のみを行った。得られたデータに関して,4(グループ)×2(事前・事後)の分散分析を行った。
結果・考察
アミラーゼ値 事前にストレスがあると感じている人は98%とほぼ全員であったが,アロマテラピー1回実施後には唾液アミラーゼ値は有意に低下した。(F(3. 76)=12.30,P≺0.01; 1>2=3=4)。中でも5回継続後に一番の群間差がみられ(F(3. 76)=18.51,P≺0.01;1>2>3=4),交感神経を抑えることが明らかになった。一方実施していない群は,平均値7.8KU/L 程度の上昇が見られ,ストレス負荷を行った他の研究より半分の値の上昇が観測された。1回のみの実施ではなく継続した方がより効果的な結果を示す事が示唆された。
意識調査 アロマテラピーを継続実施することで,イライラが落ち着き,不安が取れるなどして子どもに対する否定的な感情が減少した。この結果から,アロマテラピーを継続することにより子どもとの関わりを楽しむことが出来るようになったことが示唆された。継続したアロマテラピーが,母親のストレスマネジメントを向上させ,その結果,子どもとの関係が改善し,育児ストレス認知を軽減することを助けたと考えられる。さらにアロマテラピーでリラックスしながらメンバーからの受容や共感を得たことも要因であったと考えられる。実施していない群も共感は得られたもののリラックスしながらではなかった事で受容・共感度が低かった。
実施前後のアミラーゼ値・意識調査の変化 ともに個人差が見られた。芳香欲後もアミラーゼ値が上昇した10%の原因はその時の香りを好まなかった事があげられ感受性は人によって異なり,趣味や嗜好が大きく関与している事が示唆された。人の好みに合った精油の使用がより良い効果が得られると考えられる。
今後の課題
アミラーゼ値が実施していない群では25%が低下しており,講義のみでも育児から離れて趣味の勉強に集中する事はストレスマネジメントに有効だったのかもしれない。対象の属性をもっと狭めてストレス要因を分別した見方や母親のニーズについてさらに調べていく必要がある。また,精油の種類によって精神的な効果の違いがあるため種類を限定して検討も重要であろう。今後もデータを集積するとともに,乳幼児の母親はアロマテラピーの効果への期待,関心があるためストレスマネジメントの一つとして,日常生活の中でアロマテラピーの活用方法を提案していきたい。