日本教育心理学会第60回総会

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ポスター発表

[PD] ポスター発表 PD(01-70)

2018年9月16日(日) 10:00 〜 12:00 D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号10:00~11:00 偶数番号11:00~12:00

[PD62] 保育者の社会性と情動の学習(SEL-8N)の実施経験がプログラム達成度と子どもの社会性育成に対する効力感に及ぼす効果

山田洋平1, 小泉令三2 (1.島根県立大学, 2.福岡教育大学)

キーワード:社会性と情動の学習, 幼児, 心理教育プログラム

問題・目的
 山田・小泉(2017)では,幼児対象のSELプログラム(Social and Emotional Learning of 8 Abilities at Nursery School;以下,SEL-8N)による幼児に対する実施効果が示された。本研究では,SEL-8Nの実施者である保育者に及ぼす効果に焦点を当てる。つまり,本研究の目的は,SEL-8N実施経験がSEL-8Nの達成度と幼児の社会性育成に対する効力感(以下,保育者効力感)に及ぼす効果を検討することである。

方  法
調査対象者:SEL-8Nを実施しているA県内私立幼稚園1園の学級担任12名(年少・年中・年長各4名)。調査時期:2018年2月。調査内容:1)SEL-8N実施経験年数(以下,経験年数),2)SEL-8Nの達成度(以下,達成度),2017年度に実施した各活動について,どの程度活動のねらいを達成できたかを7件法で回答。3)「人間関係」保育者効力感尺度(以下,保育者効力感尺度)(西山,2005)の6つの下位領域(Ⅰ人とかかわる基盤をつくる,Ⅱ発達的視点で子どもの育ちを捉える,Ⅲ基本的な生活習慣・態度を育てる,Ⅳ子ども同士の関係を育てる,Ⅴ関係性の広がりを支える,Ⅵ自己の育ちを支える)各2項目の計12項目。各項目について,SEL-8Nの実践を通じてどの程度できるようになったかを7件法で回答。

結  果
分析前の手続き:学級担任の平均経験年数(2.75年)を基準に,2群(多群・少群ともに6名)に分類した。達成度については,全活動の加算平均を達成度得点とした。保育者効力感尺度については,下位領域ごとの加算平均を下位得点とした。(1)経験年数が達成度に及ぼす効果:経験年数による達成度の違いをt検定によって検討した結果,有意差は見られなかった(多群5.26,少群5.24;t(10)=.043,n.s.,効果量r=.01)。(2)経験年数が保育者効力感に及ぼす効果:経験年数による保育者効力感の違いを,保育者効力感尺度全体と下位領域ごとにt検定による検討を行った。その結果(Table参照),「Ⅰ人とかかわる基盤をつくる」以外の全ての下位領域で有意傾向が示され(いずれもp<.10),経験年数が多い群が少ない群の得点よりも高かった。

考  察
 (1)SEL-8Nの達成度については,経験年数の両群ともに得点が5.2以上であり,全体として一定の達成度が示されたが,SEL-8Nの実施経験年数の違いが達成度に影響を及ぼさなかった。この点については,経験年数が多い学級担任ほど自己評価が厳格になっている可能性が考えられる。
 (2)SEL-8Nの実施経験年数が多いほど,保育者効力感が高い傾向が示された。本研究においては,SEL-8Nの実施経験を重ねるほど,SEL-8Nの実施者として身につけた子どもの社会性育成に関する知識や技能を,普段の保育場面に応用できるようになることが示唆された。

引用文献
西山 修 (2005). 幼児の人とかかわる力を育むための保育者効力感尺度の開発 乳幼児教育学研究,14,101-108.
山田洋平・小泉令三 (2017).  幼児対象の社会性と情動の学習(SEL-8N)プログラムの実践効果―保護者評定を含めた検討― 日本教育心理学会第59回総会発表論文集, 171.