[PF55] 特別支援学校での教育実習による授業・教師・子どもイメージの変容
Keywords:特別支援学校, 教育実習, 授業・教師・子どもイメージ
問題と目的
特別支援学校の教員養成には,高い専門性をもった教師を輩出することが求められている。教員養成の中で,教育実習が重要であるとことは周知の事実である。しかしながら,特別支援学校の教育実習が教育実習生に与える影響については十分な検討がなされているとは言えない。そこで本研究では,特別支援学校での教育実習経験が教育実習生に与える影響について,授業・教師・子どもイメージの変容から検討する。
方 法
調査対象:A大学で特別支援教育を専攻し,特別支援学校での教育実習に参加した3年生49名(男性:11名,女性:38名)とした。
調査時期:調査は教育実習の前後に行った。
調査内容:授業・教師・子どもイメージについては三島(2009)を用いた。なお,特別支援学校を想定した回答を求めた。
分析方法:授業・教師・子どもイメージの各因子別に得点を算出した。その後,教育実習前後での得点の変化を検討するため,Wilcoxonの順位和検定を行った。
倫理的配慮:調査協力依頼の際に,研究の目的と意義および倫理的配慮を説明し承諾を得た。
結 果
授業イメージでは,「組み立て」「楽しさ」「不透明」(p<.05)について得点の有意な上昇が認められた(Figure 1)。「組み立て」の上昇については三島(2007)と同様の結果となった。特別支援学校での教育実習でも,授業の計画を主体的に行うことが影響を及ぼしていると考えられる。湯浅(2014)は,障害がある子どもに対して授業を実施する際に,子どもが興味・関心をもつことができる教材を用いることが重要であると述べている。子どもの授業参加を重視した授業づくりが「楽しさ」の上昇に関係しているのではないだろうか。特別支援学校の教師は「日々の見通しに関する困難さを」を感じていることが報告されている(一木・安藤,2010)。教育実習は期間が短いため,より見通しをもつことが困難であると推察される。このことが「不透明」の上昇の一因だろう。
教師イメージでは,「努力家」(p<.05)について得点の有意な上昇が認められた。特別支援学校では,個の教育的ニーズに合わせた授業の展開が求められる。教師が常に子どもの実態を把握し,教材研究をする等の姿が影響しているのではないだろうか。一方で,「サポーター」(p<.05)については得点の有意な減少が認められた(Figure 2)。特別支援学校の教師にとって,子どもの自立の課題に働きかけることが専門的力量である (湯浅,2014)。特別支援学校の教師についての認識が,「子どもをサポートする存在」から「子どもの自立を促す存在」へと変化したのだろう。
子どもイメージでは,「繊細さ」(p<.05)について得点の有意な上昇が認められた(Figure 3)。直井ほか(2015)は,指導教員が一人一人の言動に対して助言する内容を報告した。子どもの言動について微視的な視点で関わることが影響しているのではないだろうか。
なお本研究はサンプル数が十分とは言えないため,結果の解釈には慎重になる必要がある。
特別支援学校の教員養成には,高い専門性をもった教師を輩出することが求められている。教員養成の中で,教育実習が重要であるとことは周知の事実である。しかしながら,特別支援学校の教育実習が教育実習生に与える影響については十分な検討がなされているとは言えない。そこで本研究では,特別支援学校での教育実習経験が教育実習生に与える影響について,授業・教師・子どもイメージの変容から検討する。
方 法
調査対象:A大学で特別支援教育を専攻し,特別支援学校での教育実習に参加した3年生49名(男性:11名,女性:38名)とした。
調査時期:調査は教育実習の前後に行った。
調査内容:授業・教師・子どもイメージについては三島(2009)を用いた。なお,特別支援学校を想定した回答を求めた。
分析方法:授業・教師・子どもイメージの各因子別に得点を算出した。その後,教育実習前後での得点の変化を検討するため,Wilcoxonの順位和検定を行った。
倫理的配慮:調査協力依頼の際に,研究の目的と意義および倫理的配慮を説明し承諾を得た。
結 果
授業イメージでは,「組み立て」「楽しさ」「不透明」(p<.05)について得点の有意な上昇が認められた(Figure 1)。「組み立て」の上昇については三島(2007)と同様の結果となった。特別支援学校での教育実習でも,授業の計画を主体的に行うことが影響を及ぼしていると考えられる。湯浅(2014)は,障害がある子どもに対して授業を実施する際に,子どもが興味・関心をもつことができる教材を用いることが重要であると述べている。子どもの授業参加を重視した授業づくりが「楽しさ」の上昇に関係しているのではないだろうか。特別支援学校の教師は「日々の見通しに関する困難さを」を感じていることが報告されている(一木・安藤,2010)。教育実習は期間が短いため,より見通しをもつことが困難であると推察される。このことが「不透明」の上昇の一因だろう。
教師イメージでは,「努力家」(p<.05)について得点の有意な上昇が認められた。特別支援学校では,個の教育的ニーズに合わせた授業の展開が求められる。教師が常に子どもの実態を把握し,教材研究をする等の姿が影響しているのではないだろうか。一方で,「サポーター」(p<.05)については得点の有意な減少が認められた(Figure 2)。特別支援学校の教師にとって,子どもの自立の課題に働きかけることが専門的力量である (湯浅,2014)。特別支援学校の教師についての認識が,「子どもをサポートする存在」から「子どもの自立を促す存在」へと変化したのだろう。
子どもイメージでは,「繊細さ」(p<.05)について得点の有意な上昇が認められた(Figure 3)。直井ほか(2015)は,指導教員が一人一人の言動に対して助言する内容を報告した。子どもの言動について微視的な視点で関わることが影響しているのではないだろうか。
なお本研究はサンプル数が十分とは言えないため,結果の解釈には慎重になる必要がある。