[PH11] 青年期における母子関係尺度の作成
キーワード:青年期, 母子関係, 同一視
問題と目的
親子関係のあり方は,親の養育行動・態度に対する子どもの認知が影響していることが考えられている。親子関係のなかでも母親との関係は父親と比べて子どもと接する時間が多く,より密接した関係を持つ。とりわけ,母親と女子の関係は男子に比べてその影響は大きいとされている。また,青年期では自らと親を客観視し始め,意識的・無意識的に親を同一視あるいは異質視しようと努める(西平,1990)。若原(2003)は,親を愛する態度が親を同一視する程度と関連していることを明らかにした。親子関係を理解する上で,同一視を考慮することは重要であると考えられる。
本研究では,大学生が認知する母親への態度および同一視を測定する項目による尺度を再構成し,因子分析結果をもとに青年期における母子関係尺度を作成することを目的とする。
方 法
対象者 愛知県内の大学生116名(男性62名,女性54名,平均年齢20.90歳,SD=1.23)を対象に質問紙調査を行った。
調査内容 態度に関する項目は,櫻井(2004)の「母親との関係に関する認識」尺度,小高()の「青年の母に対する態度・行動について」尺度を選定,参考に作成した。同一視に関する項目は若原(2003)の「親への同一視」尺度から項目を選定,参考に作成した。
結果と考察
選定および新たに作成した全44項目に対して因子分析(主因子法・Promax回転)を行った。固有値の推移と解釈可能性から4因子構造が妥当であると判断した。因子負荷量が.40未満の項目,信頼性・妥当性の低かった項目を削除し,再度4因子を仮定して因子分析(主因子法・Promax回転)を行った。最終的に26項目を選択した。因子負荷量の高い項目の内容から,第1因子の7項目を「親密」因子,第2因子の7項目を「不承」因子,第3因子の7項目を「モデル」因子,第4因子の5項目を「取り入れ」因子と命名した(Table1)。4因子間の累積寄与率は53.30%であった。
また,尺度の内的一貫性を検討するため,Cronbachのα係数を算出したところ,「親密」因子で.90,「不承」因子で.82,「モデル」因子で.90,「取り入れ」因子で.79,と高く,満足しうる内的一貫性が認められた。
引用文献
小高恵(2000). 親一青年関係尺度の作成の試み 南大阪大学紀要,3,87-96.
西平直喜(2000). 成人になること:生育史心理学から. 東京大学出版会.
櫻井登世子・本多潤子(2004). 「なりたい親」におよぼす思春期の親子関係の影響 人間福祉研究,7,65-76.
若原まどか(2003). 青年が認識する親への愛情や尊敬と,同一視および充実感との関連 発達心理学研究,14,39-50.
親子関係のあり方は,親の養育行動・態度に対する子どもの認知が影響していることが考えられている。親子関係のなかでも母親との関係は父親と比べて子どもと接する時間が多く,より密接した関係を持つ。とりわけ,母親と女子の関係は男子に比べてその影響は大きいとされている。また,青年期では自らと親を客観視し始め,意識的・無意識的に親を同一視あるいは異質視しようと努める(西平,1990)。若原(2003)は,親を愛する態度が親を同一視する程度と関連していることを明らかにした。親子関係を理解する上で,同一視を考慮することは重要であると考えられる。
本研究では,大学生が認知する母親への態度および同一視を測定する項目による尺度を再構成し,因子分析結果をもとに青年期における母子関係尺度を作成することを目的とする。
方 法
対象者 愛知県内の大学生116名(男性62名,女性54名,平均年齢20.90歳,SD=1.23)を対象に質問紙調査を行った。
調査内容 態度に関する項目は,櫻井(2004)の「母親との関係に関する認識」尺度,小高()の「青年の母に対する態度・行動について」尺度を選定,参考に作成した。同一視に関する項目は若原(2003)の「親への同一視」尺度から項目を選定,参考に作成した。
結果と考察
選定および新たに作成した全44項目に対して因子分析(主因子法・Promax回転)を行った。固有値の推移と解釈可能性から4因子構造が妥当であると判断した。因子負荷量が.40未満の項目,信頼性・妥当性の低かった項目を削除し,再度4因子を仮定して因子分析(主因子法・Promax回転)を行った。最終的に26項目を選択した。因子負荷量の高い項目の内容から,第1因子の7項目を「親密」因子,第2因子の7項目を「不承」因子,第3因子の7項目を「モデル」因子,第4因子の5項目を「取り入れ」因子と命名した(Table1)。4因子間の累積寄与率は53.30%であった。
また,尺度の内的一貫性を検討するため,Cronbachのα係数を算出したところ,「親密」因子で.90,「不承」因子で.82,「モデル」因子で.90,「取り入れ」因子で.79,と高く,満足しうる内的一貫性が認められた。
引用文献
小高恵(2000). 親一青年関係尺度の作成の試み 南大阪大学紀要,3,87-96.
西平直喜(2000). 成人になること:生育史心理学から. 東京大学出版会.
櫻井登世子・本多潤子(2004). 「なりたい親」におよぼす思春期の親子関係の影響 人間福祉研究,7,65-76.
若原まどか(2003). 青年が認識する親への愛情や尊敬と,同一視および充実感との関連 発達心理学研究,14,39-50.