日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PA] ポスター発表 PA(01-63)

2019年9月14日(土) 10:00 〜 12:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号10:00~11:00
偶数番号11:00~12:00

[PA27] 教職志望学生の志望動機による教育実習経験の効果

南学 (三重大学)

キーワード:教育実習、教職志望、教えることについての態度

問  題
 教職課程における1つの山場として,教育実習を挙げられる。ここで学生は約1ヶ月に渡って学校に入り,授業立案や児童生徒の対応などを実践的に学ぶことになる。教育実習が学生に与える影響については,志望動機を高める(今栄・清水, 1994; 西松, 2008),教師観を現実的にする(今栄・清水, 1994; 三島・林・森, 2011)などの知見が得られているが,学生の個人差について検討された研究は多くない。とくに近年学校を巡る労働環境の劣悪さが喧伝されてきており,また民間企業の就職環境の改善などもあり,教職課程を受講する学生の動機も多様化している。そこで本研究では,教職課程履修学生を志望動機によって分類し,教育実習がどのような効果をもたらすのかについて検討することを目的とする。教職に関する志望動機として,伊田(2005)は,教職志望動機尺度を作成しており,自己志向と安定志向の因子があることを見出している。本研究ではこの尺度を用いて志望動機により分類を行う。
 志望動機の違いによって,学生はそれぞれ異なる視点をもって,実習を経験していくことが予想される。そこで,本研究では,教えることについての態度(早坂・向後, 2017)と,教師のイメージ(三島・林・森, 2011)について比較することにする。
方  法
調査対象・時期 国立A大学の教育学部生の2年生119名(実習前)と3年生106名(実習後)を対象に,11月から調査を実施した。なお,3年生の1名は実習を受けておらず実習前の群として扱った。
質問紙の構成 教えることについての態度尺度(早坂・向後, 2017),教職志望動機尺度(職業イメージおよび個人的経験)(伊田, 2005)教師のイメージ尺度(三島・林・森, 2011),授業のイメージ尺度(三島, 2007)
手続き 調査は,各コース別に調査目的および内容の説明をしたのち,配布した。回収はその場で回収した場合と後日提出箱にて回収した場合がある。この研究は学部倫理規定に従って実施している。
結  果
 実習前後での各尺度得点の平均をTable 1に示す。
 このほかの結果については当日報告する。
引用文献
早坂昌子・向後千春 (2017). 教えることについての態度尺度作成とBig Five性格特性との関連 日本教育工学会論文誌, 41, 1-4.
伊田勝憲 (2005). 教職志望動機測定尺度作成の試み-教師イメージ,個人的経験,理想とする教師像に着目して- 名芸大研究紀要, 26, 15-25.
今栄国晴・清水秀美 (1994). 教育実習が教員志望動機に及ぼす影響-事前・事後測定法による分析- 日本教育工学雑誌, 17, 185-195.
三島知剛 (2007). 教育実習生の実習前後の授業・教師・子どもイメージの変容 日本教育工学会論文誌, 31, 107-114.
三島知剛・林 絵里・森 敏昭 (2011). 教育実習の実習班における実習生の居場所感と実習前後における教職意識の変容 教育心理学研究, 59, 306-319.
西松秀樹 (2008). 教師効力感,教育実習不安,教師志望度に及ぼす教育実習の効果 キャリア教育研究, 25, 59-96.