[PA32] 理学療法士・作業療法士におけるコミュニケーションスキル項目認知に関する教育効果の検討
必要度評定に関する注意度を高めるための評定項目の検討・追加
Keywords:コミュニケーションスキル、教育効果、療法士
はじめに
奥田(2012)は,4年制大学の理学療法士,作業療法士を養成する学部に所属する1年生および4年生を研究参加者として,臨床現場において理学療法士・作業療法士に必要と思われるコミュニケーションスキルなどについて検討を行った。研究参加者に,144項目からなる項目群(4項目群に区分されていた)を提示し,各項目に示されたコミュニケーションスキルなどが,臨床現場において理学療法士・作業療法士に要だと思う程度(以下,必要度とする)と,各項目に示されたことを,今現在の自分自身がうまく実行できると思う程度(以下,可能度とする)について,7段階尺度を用いて評定することを求めた。
その結果,必要度に関しては,各項目群とも1年生群より4年生群の方が,有意に評定平均値が高く(p<0.05),理学療法士,作業療法士に必要とされるコミュニケーションスキルに関して,大学における教育の効果,および臨床現場における実習の効果が表れていることが示唆された。一方,各項目の必要度に関する評定平均値に関しては,各項目群とも,1年生と4年制の評定平均値は高く,両群間の差異は有意水準に達しなかった。
両群ともに,必要度の評定平均値が高くなった要因として,以下のようなことが考えられた。提示した各項目は,先行研究や,理学療法士,作業療法士に必要とされるコミュニケーションスキルに関する書籍などから,臨床現場において,理学療法士,作業療法士に必要とされるコミュニケーションスキルを示す可能性があるものとして収集されていた。このため研究参加者は,全ての項目が,理学療法士,作業療法士に必要なコミュニケーションスキルを示している項目であり,必要度が高いものととらえて(予見をもって),評定を行った可能性が考えられた。研究参加者が,各項目の必要度について十分検討を行わないままに評定していたとすれば,評定の妥当性に疑念が生じることになろう。
このような評定態度を修正する方法の一つは,各評定項目群に,必要度が低いと思われる項目(逆転項目)を含めることである。そこで,本研究では,先行研究で用いた項目に,臨床現場において理学療法士,作業療法士がとることが望ましくない対応を示すものと考えられる逆転項目などを追加して必要度,可能度の評定を求めることとした。
方 法
研究参加者 研究参加者は,4年制大学の理学療法士,作業療法士を養成する学部に所属する大学生80人(1年生50人,3年生30人)で,目的,倫理的配慮などに関する説明を行い,参加同意を得た。
評定項目群 3年生に提示した評定項目群は201項目であった。このうち144項目は,基本的に先行研究と同一のものであった。57項目は,臨床現場において理学療法士,作業療法士が行うことは望ましくない可能性がある項目(逆転項目)などであった。1年生には,先行研究と同じ144項目を提示し,7段階尺度を用いて評定を求めた。
結果および考察
逆提項目を含めた項目群を提示した3年生群では,先行研究と同じ項目群を提示した1年生群に比較し,必要度の評定平均値,最小評定値の平均値は低下し,標準偏差の平均値は高くなった。この結果から,3年生群では,逆転項目を含めた効果が示され,各項目について認知し,検討した上で評定していることが示唆された。
奥田(2012)は,4年制大学の理学療法士,作業療法士を養成する学部に所属する1年生および4年生を研究参加者として,臨床現場において理学療法士・作業療法士に必要と思われるコミュニケーションスキルなどについて検討を行った。研究参加者に,144項目からなる項目群(4項目群に区分されていた)を提示し,各項目に示されたコミュニケーションスキルなどが,臨床現場において理学療法士・作業療法士に要だと思う程度(以下,必要度とする)と,各項目に示されたことを,今現在の自分自身がうまく実行できると思う程度(以下,可能度とする)について,7段階尺度を用いて評定することを求めた。
その結果,必要度に関しては,各項目群とも1年生群より4年生群の方が,有意に評定平均値が高く(p<0.05),理学療法士,作業療法士に必要とされるコミュニケーションスキルに関して,大学における教育の効果,および臨床現場における実習の効果が表れていることが示唆された。一方,各項目の必要度に関する評定平均値に関しては,各項目群とも,1年生と4年制の評定平均値は高く,両群間の差異は有意水準に達しなかった。
両群ともに,必要度の評定平均値が高くなった要因として,以下のようなことが考えられた。提示した各項目は,先行研究や,理学療法士,作業療法士に必要とされるコミュニケーションスキルに関する書籍などから,臨床現場において,理学療法士,作業療法士に必要とされるコミュニケーションスキルを示す可能性があるものとして収集されていた。このため研究参加者は,全ての項目が,理学療法士,作業療法士に必要なコミュニケーションスキルを示している項目であり,必要度が高いものととらえて(予見をもって),評定を行った可能性が考えられた。研究参加者が,各項目の必要度について十分検討を行わないままに評定していたとすれば,評定の妥当性に疑念が生じることになろう。
このような評定態度を修正する方法の一つは,各評定項目群に,必要度が低いと思われる項目(逆転項目)を含めることである。そこで,本研究では,先行研究で用いた項目に,臨床現場において理学療法士,作業療法士がとることが望ましくない対応を示すものと考えられる逆転項目などを追加して必要度,可能度の評定を求めることとした。
方 法
研究参加者 研究参加者は,4年制大学の理学療法士,作業療法士を養成する学部に所属する大学生80人(1年生50人,3年生30人)で,目的,倫理的配慮などに関する説明を行い,参加同意を得た。
評定項目群 3年生に提示した評定項目群は201項目であった。このうち144項目は,基本的に先行研究と同一のものであった。57項目は,臨床現場において理学療法士,作業療法士が行うことは望ましくない可能性がある項目(逆転項目)などであった。1年生には,先行研究と同じ144項目を提示し,7段階尺度を用いて評定を求めた。
結果および考察
逆提項目を含めた項目群を提示した3年生群では,先行研究と同じ項目群を提示した1年生群に比較し,必要度の評定平均値,最小評定値の平均値は低下し,標準偏差の平均値は高くなった。この結果から,3年生群では,逆転項目を含めた効果が示され,各項目について認知し,検討した上で評定していることが示唆された。