[PA34] Twitter利用と疑似科学信奉との関連(2)
接触する情報の観点から
キーワード:Twitter、疑似科学、情報処理スタイル
問 題
科学的主張の外観を持ちながら,実際には適切な科学的方法論が適用されていない言説は疑似科学(pseudoscience)もしくはニセ科学と呼ばれ,これらに対する肯定的な信念は,疑似科学信奉として超常信奉の一部に位置づけられる。こうした信奉はテレビ番組などのマスメディア接触によって促進されるが(真嶋,2011,小城・坂田・川上, 2011),その背景には,マスメディアでは肯定的な情報が偏って流通し,逆に懐疑的・批判的な情報が非常に少ない情報の非対称性が顕著に認められる。これに対し,インターネットでは一般市民が利用可能な情報が飛躍的に増え,懐疑的な情報も容易に入手可能になっている。そのため疑似科学への多面的で批判的な吟味が行われる素地がある。一方でネット上のコミュニティは関心を共有する同質性の高い集団を形成し,異質な情報を排除して内部的に閉じられた確証的な情報交換に向かう性質がある(エコーチェンバー効果)。こうしたネット利用形態の違いにより疑似科学信奉は異なる影響を受けるのではないだろうか。
方 法
調査対象者 Yahoo!クラウドソーシングによるweb調査。自由記述質問への記載があった回答者1,267名。その後の分析にはトラップ質問を用いて絞り込んだ1,071名(平均42.14歳 SD=8.97 男性548名,女性518名)を分析対象とした。
調査内容 1)疑似科学信奉尺度18項目(「医療系」「日常系」「超常系」) 2) 北村・河合・佐々木(2016)によるTwitter閲読状況尺度13項目(「公共情報」「趣味・娯楽情報」「友人・知人情報」)。3) 内藤・鈴木・坂本(2004)による情報処理スタイル尺度(合理性-直観性)24項目 4)どのような疑似科学(ニセ科学)を知っているかついての自由記述。
結果と考察
自由記述に見られた疑似科学の認識
思いつかない・わからないという回答は290人(23%)。これらを除いた1,701件を24カテゴリに分類カウントした。健康医療系のサプリメントや「水」関係の商品が多く,一般の関心の高さがうかがえる(Table.1)。疑似科学とは言えない伝承迷信も挙げられたが,心理学専門家(日本心理学会調査小委員会,2018)で多かった母性神話・三歳児神話や能力開発系はほとんど見られなかった。
Twitterでの情報接触と信奉について
Twitter利用者数460名を対象に,閲読状況と情報処理スタイルを説明変数,疑似科学信奉を目的変数とする階層的重回帰分析を行った。その結果,直観性の高さが信奉と関連するとともに,主として日常系の疑似科学の場合,直観性と公共情報,および直観性と趣味娯楽情報の閲覧で交互作用が見られた(Figure.1)。単純傾斜検定の結果,直観性が低い人ではTwitterで趣味娯楽情報に触れる頻度が多いと信奉が高く,逆に公共情報閲覧が多いと信奉が低かった。直観的な思考が高いと閲覧情報の違いが見られなかった。直観的に頼らない情報処理スタイルを持つ場合,Twitter閲覧の多寡は,その内容によって疑似科学信奉と逆方向の関係を示すことが明らかとなった。
科学的主張の外観を持ちながら,実際には適切な科学的方法論が適用されていない言説は疑似科学(pseudoscience)もしくはニセ科学と呼ばれ,これらに対する肯定的な信念は,疑似科学信奉として超常信奉の一部に位置づけられる。こうした信奉はテレビ番組などのマスメディア接触によって促進されるが(真嶋,2011,小城・坂田・川上, 2011),その背景には,マスメディアでは肯定的な情報が偏って流通し,逆に懐疑的・批判的な情報が非常に少ない情報の非対称性が顕著に認められる。これに対し,インターネットでは一般市民が利用可能な情報が飛躍的に増え,懐疑的な情報も容易に入手可能になっている。そのため疑似科学への多面的で批判的な吟味が行われる素地がある。一方でネット上のコミュニティは関心を共有する同質性の高い集団を形成し,異質な情報を排除して内部的に閉じられた確証的な情報交換に向かう性質がある(エコーチェンバー効果)。こうしたネット利用形態の違いにより疑似科学信奉は異なる影響を受けるのではないだろうか。
方 法
調査対象者 Yahoo!クラウドソーシングによるweb調査。自由記述質問への記載があった回答者1,267名。その後の分析にはトラップ質問を用いて絞り込んだ1,071名(平均42.14歳 SD=8.97 男性548名,女性518名)を分析対象とした。
調査内容 1)疑似科学信奉尺度18項目(「医療系」「日常系」「超常系」) 2) 北村・河合・佐々木(2016)によるTwitter閲読状況尺度13項目(「公共情報」「趣味・娯楽情報」「友人・知人情報」)。3) 内藤・鈴木・坂本(2004)による情報処理スタイル尺度(合理性-直観性)24項目 4)どのような疑似科学(ニセ科学)を知っているかついての自由記述。
結果と考察
自由記述に見られた疑似科学の認識
思いつかない・わからないという回答は290人(23%)。これらを除いた1,701件を24カテゴリに分類カウントした。健康医療系のサプリメントや「水」関係の商品が多く,一般の関心の高さがうかがえる(Table.1)。疑似科学とは言えない伝承迷信も挙げられたが,心理学専門家(日本心理学会調査小委員会,2018)で多かった母性神話・三歳児神話や能力開発系はほとんど見られなかった。
Twitterでの情報接触と信奉について
Twitter利用者数460名を対象に,閲読状況と情報処理スタイルを説明変数,疑似科学信奉を目的変数とする階層的重回帰分析を行った。その結果,直観性の高さが信奉と関連するとともに,主として日常系の疑似科学の場合,直観性と公共情報,および直観性と趣味娯楽情報の閲覧で交互作用が見られた(Figure.1)。単純傾斜検定の結果,直観性が低い人ではTwitterで趣味娯楽情報に触れる頻度が多いと信奉が高く,逆に公共情報閲覧が多いと信奉が低かった。直観的な思考が高いと閲覧情報の違いが見られなかった。直観的に頼らない情報処理スタイルを持つ場合,Twitter閲覧の多寡は,その内容によって疑似科学信奉と逆方向の関係を示すことが明らかとなった。