[PA59] 保育者・教員養成大学における不適応予防のための実践
―生活面と学習面から学生をアセスメントする―
キーワード:不適応予防、学校生活満足度尺度、大学生
問題と目的
大学生の中途退学者は,全学生数(中途退学者,休学者を含む2,991,573人)のうち 2.65%(79,311人)であり,中途退学の理由とその割合を見ると,①経済的理由20.4%(16,181人),②転学15.4%(12,240人),③学業不振14.5%(11,503人),④就職13.4%(10,627人)となっている(文部科学省,2014)。大学では,学生が中途退学に至る前の,大学に来ている段階でどのような学生支援を行うのかについて問われていると考えられる。
本研究では学校生活面および学習面における不適応感の視点から学生をスクリーニングし,中途退学に至る前に学生を支援する方策について検討することを目的とした。
方 法
調査内容 調査対象の大学生に「Hyper-QU(大学生版)(河村,2010)」中の「学校生活満足度尺度」,「学校生活意欲尺度」,「ソーシャルスキル尺度」への回答を求めた。
1) 学校生活満足度尺度(河村,2010)
学校生活満足度尺度は,大学生活における満足度を承認得点と被侵害・不適応得点の2つの下位尺度から測定するものである。また,承認得点と被侵害・不適応得点を縦横の2軸にとり,学生の学校生活における満足感を「学級生活満足群」「非承認群」「侵害行為認知群」「学級生活不満足群(要支援群)」4群に分けて理解するものである。
2)取得単位および累積GPA
学生の取得単位数および累積GPA(Grade Point Average)から,学習面での不適応を把握することとした。
調査手続き 1年生は前期7月と後期12月に,2年生は後期12月に,3年生は2年次の3月末に行われる新年度のオリエンテーション時に用紙を配布し,学生の同意を得て実施した。
結果と考察
1.調査結果
(1)気になる学生の抽出
①要支援群の学生の把握
学校生活面における学生の不適応感については,要支援群の学生を抽出して把握した。ただし,これまで学生の情報は担任しか知り得なかったため,学科の教員全員が,支援が必要な学生の様子を把握できるように一覧表を作成した。
②不適応感をもつ学生の把握
Hyper-QU(大学生版)では,「1.精神面や情緒面に強い不安を抱える傾向のある学生」,「2.侵害行為(いじめ)等を受けていると感じている学生」,「3.孤立感が強い学生」,「4.退学・転学を考える傾向のある学生」,「5.学習意欲が低い学生」,「6.人間関係やソーシャルスキルに課題のある学生」を特定できる。情報共有した方がよいと思われる内容を取り上げ,一覧表に記した。
③取得単位と累積GPAの把握
学習面についての不適応感については,学生の取得単位数やGPAから把握した。
2.実践結果
本調査および実践から,以下のことが明らかになった。①生活面と学習面の両方から不適応傾向を示している学生をアセスメントし,早期に把握することで,教員からのサポートを増やすことができれば,学生の学校生活満足度および学校生活意欲は高まる。特に教員との関係および学校の支援体制得点が高まる。②単位取得状況やGPAを確認することで,生活面もしくは学習面の一方で苦戦している学生,両方で苦戦している学生など,支援ニーズの大きさが分かり,どの学生から支援をすればよいかが明確になる。また大学内のサポート機関の教職員と協働して対応することが可能となり,対応のスピードが速くなると考えらえる。
大学生の中途退学者は,全学生数(中途退学者,休学者を含む2,991,573人)のうち 2.65%(79,311人)であり,中途退学の理由とその割合を見ると,①経済的理由20.4%(16,181人),②転学15.4%(12,240人),③学業不振14.5%(11,503人),④就職13.4%(10,627人)となっている(文部科学省,2014)。大学では,学生が中途退学に至る前の,大学に来ている段階でどのような学生支援を行うのかについて問われていると考えられる。
本研究では学校生活面および学習面における不適応感の視点から学生をスクリーニングし,中途退学に至る前に学生を支援する方策について検討することを目的とした。
方 法
調査内容 調査対象の大学生に「Hyper-QU(大学生版)(河村,2010)」中の「学校生活満足度尺度」,「学校生活意欲尺度」,「ソーシャルスキル尺度」への回答を求めた。
1) 学校生活満足度尺度(河村,2010)
学校生活満足度尺度は,大学生活における満足度を承認得点と被侵害・不適応得点の2つの下位尺度から測定するものである。また,承認得点と被侵害・不適応得点を縦横の2軸にとり,学生の学校生活における満足感を「学級生活満足群」「非承認群」「侵害行為認知群」「学級生活不満足群(要支援群)」4群に分けて理解するものである。
2)取得単位および累積GPA
学生の取得単位数および累積GPA(Grade Point Average)から,学習面での不適応を把握することとした。
調査手続き 1年生は前期7月と後期12月に,2年生は後期12月に,3年生は2年次の3月末に行われる新年度のオリエンテーション時に用紙を配布し,学生の同意を得て実施した。
結果と考察
1.調査結果
(1)気になる学生の抽出
①要支援群の学生の把握
学校生活面における学生の不適応感については,要支援群の学生を抽出して把握した。ただし,これまで学生の情報は担任しか知り得なかったため,学科の教員全員が,支援が必要な学生の様子を把握できるように一覧表を作成した。
②不適応感をもつ学生の把握
Hyper-QU(大学生版)では,「1.精神面や情緒面に強い不安を抱える傾向のある学生」,「2.侵害行為(いじめ)等を受けていると感じている学生」,「3.孤立感が強い学生」,「4.退学・転学を考える傾向のある学生」,「5.学習意欲が低い学生」,「6.人間関係やソーシャルスキルに課題のある学生」を特定できる。情報共有した方がよいと思われる内容を取り上げ,一覧表に記した。
③取得単位と累積GPAの把握
学習面についての不適応感については,学生の取得単位数やGPAから把握した。
2.実践結果
本調査および実践から,以下のことが明らかになった。①生活面と学習面の両方から不適応傾向を示している学生をアセスメントし,早期に把握することで,教員からのサポートを増やすことができれば,学生の学校生活満足度および学校生活意欲は高まる。特に教員との関係および学校の支援体制得点が高まる。②単位取得状況やGPAを確認することで,生活面もしくは学習面の一方で苦戦している学生,両方で苦戦している学生など,支援ニーズの大きさが分かり,どの学生から支援をすればよいかが明確になる。また大学内のサポート機関の教職員と協働して対応することが可能となり,対応のスピードが速くなると考えらえる。