日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PB] ポスター発表 PB(01-67)

2019年9月14日(土) 13:00 〜 15:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間 奇数番号13:00~14:00 偶数番号14:00~15:00

[PB38] ポジティブ教育と成育環境要因(3)

強み4要因と学校・家庭の目標構造

島井哲志1, 竹橋洋毅2, 宇惠弘3, 津田恭充4 (1.関西福祉科学大学, 2.奈良女子大学, 3.関西福祉科学大学, 4.関西福祉科学大学)

キーワード:目標構造、達成目標、強み

問  題
 24種類の強み(character strengths)について,勇気,独創性などの知力,自己制御,思慮深さなどの統制力,希望,審美心などの人間力,親切心,親密性などの対人力の4要因が示されている。
 強みに関しては,介入法などの報告があるが,どのように強みが育成されるのかといった環境要因の検討はほとんどないのが現状である。
 ここでは,強みの4要因得点とグリットの関係を検討し,その後,第1報告と同様に回帰分析を用いて,強み4要因と子どもの頃の社会的要因の関係について検討した。
方  法
調査手続きと対象 インターネット調査で実施し,対象者は就労者1,600名(20-59歳の男女)。
調査内容 現在のグリット(竹橋ら, 2018),人格的強み(CST-24)のほか,社会的要因について,中学時代の学校の関わり:学校の習得重視,遂行重視(Roeserら, 1996),学校享受感,親の習得重視,遂行重視,社会性重視,親からの愛着(内海, 2013),幼少期の裕福さと予測困難性(Griskeviciusら, 2013)。強みの4要因得点は合計し平均値を用いた。なお,一連の発表は,同じデータセットを用いた分析である。なお,本研究は関西福祉科学大学研究倫理審査(承認番号18-46)を受けて実施された。
結果と考察
 強みとグリットの相関結果を見ると(Table1),すべての強みが,全体には関連があったが,下位因子では,興味の一貫性では関連はほとんどなかったのに対して,努力では関連が明確であった。
強みの4要因を従属変数とし,報告1と同じ独立変数を用いてステップワイズ法による重回帰分析を行った(Table2)。全般的に,強みには学校や親の習得重視が関連をもち,また,人間力や対人力の強みでは,親の社会重視が大きな関連があった。強みを育成していく働きかけとしては,社会に役立つ人間となることを親が望むことが重要な役割をもつ可能性を示した。
付  記
 本研究は,平成30・31年度関西福祉科学大学共同研究費による。