[PG04] 幼児期の情動発達と行動特徴との関連に関する研究(4)
情動発達とASD傾向との関連
キーワード:情動発達、行動特徴、幼児
問題と目的
本研究は,幼児期から児童期における情動発達のアセスメント・スケールを開発することを目的とした研究の一部である。本報告では,研究2で抽出された幼児の行動特徴と情動発達との関連を明らかにすることを目的とした。
方 法
1.調査対象:研究1に同じ。
2.調査時期:研究1に同じ。
3.調査内容:(1)情動発達:研究1に同じ。(2)行動特性:研究1に同じ。このうち本報告では研究2で抽出された2つの因子(【ADHD傾向】【ASD傾向】)のうち,ASD傾向の行動特徴を示す幼児の情動発達について検討した。ASD傾向で抽出された6項目の行動特徴の平均得点が3以上の幼児を高群(N=54),3未満の幼児を低群(N=1014)として群分けし検討した。
結果と考察
情動発達の領域別得点においてASD傾向の高群と低群との差を検討するためにt検定を行った。その結果<表現(表情)>以外の6領域において統計的に有意な差がみられた。さらに7領域の情動発達項目(20項目)において項目別にt検定を行った結果、<表現(表情)>の「怒っていることを表情で表現する」「悲しんでいることを表情で表現する」以外の項目において統計的に有意な差がみられた(Table 1)。項目別にみると<理解>と<共感>の領域の項目の差が大きく,<抑制>の領域では否定的な情動の抑制に関する項目の差が大きかった。
以上のことから,ASD傾向の高い幼児は他者の情動を理解することや他者の情動に共感することに難しさを持つことが明らかとなった。また肯定的な情動を表現することが難しい一方で,否定的な情動は抑えることが難しい傾向にあることも示唆された。
付 記
なお,本研究は科学研究費補助金基盤研究(B)「幼児期・児童期の情動発達アセスメント・スケールの開発と保育・教育への応用」(研究代表:本郷一夫)の助成を受けて行われた。
本研究は,幼児期から児童期における情動発達のアセスメント・スケールを開発することを目的とした研究の一部である。本報告では,研究2で抽出された幼児の行動特徴と情動発達との関連を明らかにすることを目的とした。
方 法
1.調査対象:研究1に同じ。
2.調査時期:研究1に同じ。
3.調査内容:(1)情動発達:研究1に同じ。(2)行動特性:研究1に同じ。このうち本報告では研究2で抽出された2つの因子(【ADHD傾向】【ASD傾向】)のうち,ASD傾向の行動特徴を示す幼児の情動発達について検討した。ASD傾向で抽出された6項目の行動特徴の平均得点が3以上の幼児を高群(N=54),3未満の幼児を低群(N=1014)として群分けし検討した。
結果と考察
情動発達の領域別得点においてASD傾向の高群と低群との差を検討するためにt検定を行った。その結果<表現(表情)>以外の6領域において統計的に有意な差がみられた。さらに7領域の情動発達項目(20項目)において項目別にt検定を行った結果、<表現(表情)>の「怒っていることを表情で表現する」「悲しんでいることを表情で表現する」以外の項目において統計的に有意な差がみられた(Table 1)。項目別にみると<理解>と<共感>の領域の項目の差が大きく,<抑制>の領域では否定的な情動の抑制に関する項目の差が大きかった。
以上のことから,ASD傾向の高い幼児は他者の情動を理解することや他者の情動に共感することに難しさを持つことが明らかとなった。また肯定的な情動を表現することが難しい一方で,否定的な情動は抑えることが難しい傾向にあることも示唆された。
付 記
なお,本研究は科学研究費補助金基盤研究(B)「幼児期・児童期の情動発達アセスメント・スケールの開発と保育・教育への応用」(研究代表:本郷一夫)の助成を受けて行われた。