[PG49] 大学の相談室における学習支援に関する研究(2)
学習支援が参加児童とその保護者に及ぼす影響
Keywords:学習支援、認知カウンセリング、児童
問題と目的
徳島文理大学では,学習が苦手な児童を対象に,教職を志望する大学生が認知カウンセリングの手法を用いて個別に学習支援を行う活動を開始した。認知カウンセリングとは,認知的な問題のある学習者に対して,その原因を探り,解決を支援する方法である(市川,1993)。本研究では,活動に参加した児童および保護者に実施した調査の結果をもとに,この学習支援活動の効果を検討した。
方 法
調査方法 児童への調査は,学習支援活動に参加した小学生7名に実施した。調査は支援の初回(2018年11月)と最終回(2019年2月)に行った。
保護者への調査は,参加した児童の保護者5名に実施した。なお児童が兄弟で参加している場合には,一人に対して1回回答するよう求めた。質問紙は学習支援活動の最終回の1週間前に配布し,自宅で回答して翌週持参するよう求めた。
質問紙 児童への調査は柏原他(2018)を使用し,本活動に参加したことによる学習に対する認知の変化を調査した。保護者への調査は児玉他(2016)を使用し,本活動に対する満足感について尋ねた。いずれの質問紙も,項目にはすべて4段階で回答させた。
結果と考察
まず児童への調査について,各尺度の平均得点とSDを時期別にTable 1に示した。なお2名の回答に不備があったため,5名のデータを分析に使用した。対応のあるt検定を行った結果,「方略使用頻度」の図表活用方略の得点のみ低下した(p = .06)。これには様々な原因が考えられるが,児童が以前から図表を積極的に使用していたが,本活動によって適切なもののみを使用するようになった,もしくは図表以外の有効な方略を使用するようになった可能性などが考えられる。しかしそれ以外の得点差は有意ではなかった。本活動の効果が小さく質問紙でとらえられない,あるいは児童が初回の質問紙で実際以上に自身の能力や使用頻度を高く評価した可能性があるだろう。
つづいて保護者への調査の平均得点とSDをTable 2に示した。いずれの項目においても得点は高く,本活動への満足度は全体的に高かったといえる。しかし「授業方法・指導技術」や「算数への関心・理解度」の得点は他と比べるとやや低く,大学生の指導技術が十分でなかった可能性がある。
以上のことから,本活動に参加したことによって児童は図表をより使用するようになったこと,本活動への保護者の満足度も高いことが示唆された。一方で,今後より効果的な支援を行うためには大学生の指導力向上が必要であろう。
徳島文理大学では,学習が苦手な児童を対象に,教職を志望する大学生が認知カウンセリングの手法を用いて個別に学習支援を行う活動を開始した。認知カウンセリングとは,認知的な問題のある学習者に対して,その原因を探り,解決を支援する方法である(市川,1993)。本研究では,活動に参加した児童および保護者に実施した調査の結果をもとに,この学習支援活動の効果を検討した。
方 法
調査方法 児童への調査は,学習支援活動に参加した小学生7名に実施した。調査は支援の初回(2018年11月)と最終回(2019年2月)に行った。
保護者への調査は,参加した児童の保護者5名に実施した。なお児童が兄弟で参加している場合には,一人に対して1回回答するよう求めた。質問紙は学習支援活動の最終回の1週間前に配布し,自宅で回答して翌週持参するよう求めた。
質問紙 児童への調査は柏原他(2018)を使用し,本活動に参加したことによる学習に対する認知の変化を調査した。保護者への調査は児玉他(2016)を使用し,本活動に対する満足感について尋ねた。いずれの質問紙も,項目にはすべて4段階で回答させた。
結果と考察
まず児童への調査について,各尺度の平均得点とSDを時期別にTable 1に示した。なお2名の回答に不備があったため,5名のデータを分析に使用した。対応のあるt検定を行った結果,「方略使用頻度」の図表活用方略の得点のみ低下した(p = .06)。これには様々な原因が考えられるが,児童が以前から図表を積極的に使用していたが,本活動によって適切なもののみを使用するようになった,もしくは図表以外の有効な方略を使用するようになった可能性などが考えられる。しかしそれ以外の得点差は有意ではなかった。本活動の効果が小さく質問紙でとらえられない,あるいは児童が初回の質問紙で実際以上に自身の能力や使用頻度を高く評価した可能性があるだろう。
つづいて保護者への調査の平均得点とSDをTable 2に示した。いずれの項目においても得点は高く,本活動への満足度は全体的に高かったといえる。しかし「授業方法・指導技術」や「算数への関心・理解度」の得点は他と比べるとやや低く,大学生の指導技術が十分でなかった可能性がある。
以上のことから,本活動に参加したことによって児童は図表をより使用するようになったこと,本活動への保護者の満足度も高いことが示唆された。一方で,今後より効果的な支援を行うためには大学生の指導力向上が必要であろう。