日本教育心理学会第62回総会

講演情報

ポスター発表(発達)

[P] ポスター発表(発達): P001-P054

2020年9月19日~21日

[P003] 学生ボランティアと中高生のインタラクションの特徴

学習支援・居場所づくり事業での参与観察から

植竹 温香 (東京大学大学院)

キーワード:ナナメの関係、自己開示、思春期・青年期

本研究では,生活困窮世帯の子どもに対する学習支援・居場所づくり事業を対象とし,その居場所を利用している中高生が,学生ボランティアとどのように相互作用しているのかを,描き出すことを目的とした。研究者がボランティアとして活動に参加して,完全な参与者として観察を行い,フィールドノートに生徒とのやりとりを記録した。分析・考察の結果,積極的なボランティアからのはたらきかけに,生徒が受動的に応じる形から,徐々に,生徒が自発的にボランティアにはたらきかけるようになるという発達モデルが想定された。そのはたらきかけを「自己開示」と捉えると,「ナナメ」の支援者は,自己開示の促進要因としての類似性(Lewis,1972)を有しつつ,自己開示を妨げると考えられる不安要素をほぼもたない存在となっている可能性が考えられた。臨床場面でも,自己開示の意義は指摘されており(葛西・徳永,2003),生活困窮世帯の青少年を支援する際に,「ナナメ」の支援者が生徒の自己開示を促し得る存在として価値を有する可能性は高いだろう。