[P224] 社会化エージェントの多層的影響に関する研究(29)
エージェント潜在クラスが中学生の共感性に及ぼす因果的影響の再分析
Keywords:社会化、エージェント、共感性
吉澤他(2016)は,各エージェントが効果的な社会化機能を有することを資源と捉え,子どもを取り巻く全エージェントの包括的資源を仮定して,その資源の様態が,共感性に影響することを縦断調査で明らかにした。一方で,事前の共感性が統制されていない問題があった。本研究では,エージェント指標と同年に測定した共感性を統制し,1年後の共感性への影響を検討する。A県内の平均的な特徴を持つ1公立中学校に通う生徒428名と保護者を対象にTime 1,1年生を対象にTime 2に調査を行った。社会化エージェントの得点の様態に基づく潜在クラスを把握するため,潜在プロフィル分析を実施した結果,吉澤他(2016)に整合する6クラスが抽出された。共変量(Time 1の共感性,性別,年齢)を伴う3段階法を用いた分析を実施し,潜在クラス間の抹消結果(Time 2の共感性)を比較した。吉澤他(2016)と同様の全資源の高いクラスに加え,親など特定のエージェント資源の高いクラスにおいても,共感性2側面が一貫して高く,エージェント資源による補完性が示唆された。